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「SMAPが好きでした」ビッケブランカ、多彩な趣向が生んだ最新作裏話

ananweb / 2020年2月29日 20時50分

「SMAPが好きでした」ビッケブランカ、多彩な趣向が生んだ最新作裏話

音楽をこよなく愛する、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。【音楽通信】第30回目に登場するのは、あふれる個性で多様性のある楽曲を生み出し、美しいファルセットボイスも聴かせるシンガーソングライターのビッケブランカさん!
写真・土佐麻理子

■ いまも小学生のときの延長線上にいる


【音楽通信】vol. 30

小学校の頃から作曲を始め、音楽活動を目標に大学進学のため上京後、2016年10月にメジャーデビューを果たしたビッケブランカさん。独創的なピアノスタイルで、一度聴いたらクセになるような多様性のある楽曲が注目を浴びています。

2020年3月4日に、3rdアルバム『Devil』をリリースするビッケブランカさんに、お話をうかがいました。

ーー影響を受けた音楽がバラエティ豊かなラインナップだそうですね。

もともと両親が音楽好きで、家でも車の中でもいつも曲がかかっていたんです。幼少期にミュージックビデオを観てマイケル・ジャクソンにハマって、アイドルとして流行していたSMAPも好きになって。20歳ぐらいのときには、MIKAやエルトン・ジョンを好きになりましたね。

ーーそんななかでご自身で音楽をやろうと思ったきっかけは何だったんですか。

小学校の給食のときに、教室にあるテレビにSMAPが流れて、友達と当て振りをして遊んで目立つこと、まねごとをするのが好きだったんですね。クラスにいる変なやつでした(笑)。いまもその延長線上にいます。

ーー以前はバンド活動をされたこともあるそうですが、バンドやソロ活動も、そのときどきの自然な選択だったのですか。

そうですね。大学生のときに上京して、そのときは出演者とはいえ、まだライブハウスにお金を払ってやるライブをしていたんですよ。だからひとりよりもメンバーがいたほうがいいと思って、5人組のバンドを作りました。そこからライブをしたり、いろいろ経験したりすると、お金を払ってライブをやるのはどうかと思うようになって。

バンドはメンバー全員の意見を聞かないといけないこともあって、いろいろと知っていくうちに、ソロ活動をするようになりました。ソロだと、うまくいったら自分の頑張りの結果、うまくいかなかったら自分の準備不足ですから、反省するのも自分を褒めるのも、ひとりのほうが簡単です。

ーー2016年にミニアルバム『Slave of Love』でメジャーデビューされましたね。

デビューはうれしいことではあったんですが、当時はデビューすることだけが目標ではなくなっていました。実は大学生のときにレコード会社にデモテープを送ったことがあって、大学3年生で1度、いまのレコード会社とは別のところと契約をして大学をやめているんです。だから、2016年の段階ではいろいろなことを知りすぎていたんですよね。

子どものときは、メジャーデビューするだけですごいと思っていたんですが、それが何もすごくないことがわかりました。デビューした先にある、仲間と協力して、結果を出して、それを何年も続けていくことこそが成功だとわかってしまったのが25歳ぐらいのとき。だから、デビューしたこと自体はひとつの通過点だと冷静にとらえていたんです。

ーー2019年には、サブスクリプションサービス“Spotify”のTV CM曲となった3rd シングル「Ca Va?」がヒットして反響があったと思いますが、ご自身ではやはり冷静にその状況を見ていたのでしょうか。

いえ、とてもうれしかったですよ。ソロ活動を始めた頃は、例えばライブだったら、ひとりでステージをしてちゃんとやれたかどうか、失敗したとしたら自分の集中力が足りなかったとわかりやすい。でもそんな次元じゃないと考えるようになっただけなんです。

ひとりで何かを成すなんて、どんな仕事でも不可能じゃないですか。「Ca Va?」の反響があったことで、自分ではよくわからない宣伝の仕事やアライアンスなど、それぞれプロの人にお願いして、もちろん自分でやることは任せてもらってという、協力体制を築けるようになっていましたね。

■ アルバムは自分の年表としても信憑性のあるもの

ーー3月4日に3rdアルバム『Devil』がリリースされます。1曲目「Devil」はインストで、アルバムの表題曲でもありますね。

シングルをたくさん出したので、それをまとめたアルバムを出したかったのと、ツアーをやりたかったんです。毎回、1曲目はこういうアルバムタイトルのインストやショートソングを入れているんですが、「Devil」は、1番最後にできた曲なんですよ。毎回、アルバムの収録曲が全部できたあとに、アルバム名と、1曲目ができるんです。

ーー今回集まった楽曲から『Devil』とアルバムタイトルを付けたのは、どのあたりがDevilなのでしょうか。

なんかもう、悪いなっていうイメージから……そんなに深い意味はないんです(笑)。ただ、ひとことでバーンとくるインパクトを重視していますね。前作のアルバム『wizard』と比べたら、今作はより統一性がなくて、よりきちんとしようとしていない感じがあるんです。

『wizard』は“魔法使い”という意味で、どちらかというと正義寄りだと思っているので、それに対抗するという意味でも今回は悪の『Devil』という感覚です。そういうことでいうと、さらにこの次のアルバムは、正義と悪の対決を見る人という意味で、“レフェリー”とタイトルを付けるかもしれないですね(笑)。

ーー『Devil』はポップな楽曲やダンサブルなナンバーなど、いろいろな表情の見えるアルバムだと感じました。

自分では「いろいろな表情を見せてやるぞー!」と意気込んで作っているわけではないのですが、そのときに好きな曲、曲調、瞬間のトレンドを大切に作っています。気づくと「昨日からこの曲しか聴いてないな」「このジャンルしか聴いてないな」という状況になって、「じゃあこんな曲を作ろう」と制作に入ります。

だからこの制作期間での自分のブームがアルバムに詰まっている感じですね。面白く、意欲任せに作りきれるし、振り返ったときに「ああ、このときはこんなジャンルが好きだったんだな」と自分の年表としても信憑性のあるものにするために、一瞬の感覚で作っているんです。

ーーすべてご自身で作詞、作曲、編曲をされていますが、いつもどのように曲作りをしているのですか。

ポンとひらめいておりてきた曲はなくて、「作んなきゃ」という思いで、いろいろな音楽を無意識に頭の中に取り入れているんです。その状態でパソコンの前に座って、音楽制作ソフトに向き合っていますね。

ポンポンと1個ずつキックを入れて、スネアを入れて、ピアノを弾いてみて、「違うな、ああでもない」と葛藤しつつ、勝手にスピードがついてもうそこから出られなくなっている間にアイデアがどんどん出てきて、曲ができあがります。インスピレーションを溜め込んで、出す場所は、パソコンの画面上にインプットという感じです。

ーー今回のアルバムで、とくに思い入れのある曲は。

「Ca Va?」を作ったときに音楽性に何もとらわれない状態だったので、そのときと同じような感覚で作ってみようと思ったものが、2曲目の「Shekebon!」です。そして4曲目の「Save This Love」は、日本を見ずに、世界標準を最低限たたきだす心意気で作りました。だから、歌詞も英語ですし、発音もちゃんとしています。

■ 初のホールツアーも自由度を高く柔軟に展開

ーー最後に作った曲は1曲目の「Devil」ということでしたが、7曲目の「かたうた」は取材時の資料に歌詞がなかったので、こちらも最後のほうに作った曲なのですか。

「かたうた」は、これからもずっと歌詞は載せないんです。歌っている内容が個人的すぎるから、わざわざそれを言葉にして伝えようなんて僕は思いませんよ、という設定なんですよ。実際に発売するときも、「恥ずかしいのでここには書いてません」とだけひとこと入れて、歌詞はありません。聴いていただくだけで十分です、という曲です。

ーーそうだったのですね。他の歌詞では、「・」(なかぐろ)が多用されているのも特徴的だと思いましたが、こちらも意図して入れているのですか。

以前、歌詞が改行されて明記されていることにデザイン的にうんざりしたので、歌詞を立方体に明記したくて、「・」で区切っています。むちゃくちゃ練って凝ってという感じでもないんですが、反射的に感じたことはなるべく伝えて、このように作ってもらいました。

ーー4月からは全国ツアー「Tour de Devil 2020」が開催されますね。どのようなステージになりますか。

初めてのホールツアーなんですよ。椅子があるところでは、自分でもどうなるかまだ想像がつかないんですが、多分楽しいだろうなと思いますね。すでに東京の中野サンプラザ公演はソールドアウトしているので、ありがたいことです。

アルバムの曲は披露すると思いますが、制作のときと一緒で、当日のリハーサルの場で思いついたことをやると思います。最初にどうするのか考えるほど、臨む気持ちがこわばりそうですし、正解が狭まる気がするんですよ。

だから直前ぐらいに、パッパッパッと、「楽しい! 面白い!」と瞬間的に思ったことを取り入れてやりたいですね、自由度の高い感じで。“ライブ”という言葉通り、本番中でも曲順も変えます。

そのときに見て、感じたこと、思ったことをみなさんにも伝えるというスタイルで、なんとかこれまでかたちになってきているので、それをもっと柔軟にやっていけたらいいなと思っています。

■ 音楽活動もゲーム配信もさらに力を入れていく

ーーおやすみのときは、どのように過ごしていますか。

家から一歩も出ずに、ずっとゲームをしていますね。世界で3本の指に入る「FORTNITE」という、ファンシーな戦争ゲームを外国人の友達と一緒にやっていて、もう気分転換でゲームをするという域を出て、ゲームをする様子を生中継してメディア化しているんです。

Twitch(ツイッチ)というアメリカのプラットフォームがあって、アメリカだとゲーム配信ではYouTubeよりも大人気で、それが日本に来たのでTwitchでゲーム実況をしているんです。Twitchから認証マークをもらっていて、ある程度、プロとしてゲーム実況もやっています。

ーーゲームのプロとはすごいですね。ところで、まったく違う話題で恐縮ですが、好きな女性のタイプはありますか。

話の機微を感じてくれる、話のわかる女性がいいですね。ふたりで思い出を共有していくときに、同じ感覚でいろいろなことを話せるとうれしいから、賢い人がタイプです。

ーー教えていただいてありがとうございます。では最後に、今後はどのような展開をお考えでしょうか。

まず手始めに、きっと雑誌『anan』さんの連載を始めることになるはずです(笑)。そして音楽活動については自分で曲を作ったり、人に曲を提供したり、外国人のアーティストに歌ってもらってプロデューサーDJのように世界を一緒にまわったりしていきたいですね。

ゲームについても、ちゃんとしたクオリティで、強さもデザイン性も高めたゲーム配信をしていければ。2020年はやることが増えるだろうなという予想をしているので、期待していてください。

■ 取材後記

とても寒い冬のある日。びゅうびゅうと風が吹くなか、外のテラスでの撮影に挑んでくださったビッケブランカさん。インタビューでは、クレバーでユーモラスな顔も見せてくださいました。そんな変幻自在なサウンドと、艶やかなボーカルを聴かせるビッケブランカさんのニューアルバムをまずはチェックしてみてくださいね。

■ ビッケブランカ PROFILE

2016年、ミニアルバム「Slave of Love」でメジャーデビュー。2018年、2ndアルバム『wizard』収録曲「まっしろ」がドラマの挿入歌に抜擢され、同アルバムツアーを全国7都市開催し、各地ソールドアウト。

2019年にリリースした3rdシングル「Ca Va?」が音楽配信サービスのSpotifyのTV CMに起用され、2019年度6月度銘柄別CM好感度トップ10入り(CM総研調べ)。東名阪ライブツアーはすべてソールドアウト。夏の”Zoff”サングラスコレクションのビジュアルモデルに抜擢されるなど、音楽以外の分野でも活躍。12月、「白熊」をデジタルリリース。

2020年、3月4日、3rdアルバム『Devil』をリリース。4月3日から全国ツアー「Tour de Devil 2020」を開催。

■ Information

New Release
『Devil』

(収録曲)
01.Devil
02.Shekebon!
03.Ca Va?
04.TARA - 2020 Mix
05.白熊 - Main Version
06.かたうた
07.Black Catcher
08.Save This Love
09.Heal Me
10.Lucky Ending
11.Avalanche
※収録曲は3形態すべて共通。

2020年3月4日発売

[CD only]
AVCD-96459 ¥3,000(税別)

[CD+DVD]
AVCD-96457/B  ¥4,500(税別)

[CD+Blu-ray]
AVCD-96458/B ¥4,500(税別)

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