「食べすぎ」は“胃熱”が原因 トマトやセロリでクールダウン
ananweb / 2020年2月27日 19時0分
中医学や養生法に詳しい櫻井大典さんによる「Daily(デイリー)養生」。今回のテーマは「食べすぎ」です。
■ “胃熱”を取り除き、食欲をコントロール。
寒さの中にも春の気配が感じられる今日この頃。薄着の季節に向け、ダイエットを始めようという人も多いのではないでしょうか? 今回はダイエット成功を阻む「食べすぎ」について考えてみたいと思います。
■ ストレスから熱が溜まり、食べすぎるという仕組み。
必要な量を食べているはずなのにもっと食べたい、しばらくすると甘いものが欲しくなる。中医学では、こうした「食べすぎ」は胃にこもった熱、「胃熱」によって引き起こされると考えます。熱は基本的に亢進(こうしん)状態を作り出す要素であり、食欲も熱によって増幅されるもののひとつなのです。
胃熱の原因としてまず挙げられるのは、偏った食べ方。脂っこいものや味の濃いもの、辛いものは胃に熱を持たせ、必要以上に食欲を刺激します。
さらに熱が溜まる大きな原因となるのが、ストレス。緊張や不安は気の巡りを滞らせますが、一方で体はそれを押し流そうとするため、摩擦熱のような熱が生じます。何かにひっかかって止まっている送風ファンの羽根を無理に回そうとして、モーターが過熱気味になっている。そんなふうにイメージすると分かりやすいかもしれません。
■ トマトやセロリなどで、胃の中をクールダウン。
こうした熱による食べすぎ状態に気づいたら、まずは先ほど挙げた熱のもととなる脂っこいものや辛いものなどを避け、同時に胃を冷ます食べ物を摂りましょう。冷却作用があるのはトマトなどの夏野菜全般と、セロリやグレープフルーツなど。野菜は生だと体を冷やすので、普段は火を通して食べることをおすすめしていますが、胃熱によって食欲が止まらないときはあえて生のままでOK。ちなみにアイスクリームなどの冷たいものは胃を冷やしすぎ、働きを妨げるのでおすすめできません。ほどほどにクールダウンするなら、生野菜がベターです。
食べすぎは消化を担う「脾」や「胃」を疲弊させますが、脾胃は気や血、潤いのもととなる「津液(しんえき)」を作り出すところでもあります。この働きが乱れると皮膚の乾燥や目の疲れ、頭痛などの不調のほか、憂鬱感などの原因にも。ダイエットの観点からだけでなく、心身の健康やアンチエイジングのためにも食べすぎは禁物。胃熱を溜めない生活を心がけたいですね。
さくらい・だいすけ 漢方専門家、国際中医師。中医学の心得や養生法をゆるくつぶやくツイッターが人気。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)ほか、監修書・著書多数。
※『anan』2020年3月4日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子
(by anan編集部)
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