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たった5分で免疫力と気分up!…今知りたい「心落ち着き瞑想」簡単解説 #28

ananweb / 2020年3月12日 19時10分

たった5分で免疫力と気分up!…今知りたい「心落ち着き瞑想」簡単解説 #28

レディー・ガガ、ビル・ゲイツ、ミランダ・カー、ジャック・ドーシー(Twitter創業者)、松下幸之助……と名前を挙げだすとキリがありませんが、美しいセレブやビリオネアの成功者に、瞑想が日課という人がたくさんいます。忙しい毎日の中で普段の行動をストップする瞑想が、イライラやストレスが減ったり、仕事の能率やクリエイティビティが高まったり、周りや自分に優しくできると良いことづくめ。さらにはアンチエイジングや免疫力が高まることも科学的に解明されているので、今この時期こそ試したいものです。でもやっぱり難しそう…。そこで今回は禅センターやエサレン研究所などに住み込み、日米仏韓20箇所以上で瞑想してみた元anan編集者が、すぐできる瞑想のコツを解説します。
文・土居彩

【マック・マインドフルネス時代の瞑想探し。「魂ナビ」が欲しい!】vol. 28


■ 瞑想で免疫力も、リラックス効果も高まる。

マインドフルネス瞑想という言葉を聞いたことがありますか? これはもともと仏教の瞑想法がルーツですが医療分野に広めたのは、ジョン・カバット・ジンという博士です。

彼が今から40年ほど前に、マサチューセッツ大学のメディカル・スクールでMBSRというマインドフルネス瞑想を取り入れたストレス軽減プログラムを開発しました。そこで患者たちの痛みへの向き合い方、感じ方、ストレスの度合いが瞑想の力で変わることがわかって証拠が取れたことから、教育、ビジネスの分野にも取り入れられるようになりました。

前置きが長くなりましたが、さてこの瞑想、心だけではなく体の健康にも良いとされるんです。例えばさきほどのカバット・ジン博士と、ダライ・ラマ14世と瞑想研究を行ってきたリチャード・デイビッドソンという博士が共同で、6週間のMBSR瞑想でインフルエンザ ウィルスへの抗体が上がり、さらに4か月間続けると前向きな気持ちに関係する脳の部分(前側左部分)の活動が活性化されると発表し、世界をあっと言わせたことがあります(1)。

また歳をとると短くなるという染色体のキャップのようなテロメアが瞑想で短くなりにくくなるのではという、アンチエイジング効果があるとするものも(2)。そこでマスク、手洗いに合わせて、免疫力も沈みがちの気分も上げたい今こそ、瞑想を習慣化したいものです。

■ 難しくて当然! 瞑想には大きく2種類ある。

でも、なんだか瞑想って難しそう。やってみたけど続かなかったという人も多いのでは? その理由は巷のマインドフルネス瞑想では、1ステップ飛び級して教えられているからです。まず瞑想には大きくわけて以下の2種類あるんです。

1. 呼吸に集中して、静かな心に落ち着けるタイプ(サマタ瞑想)
2. 起こっていることをクリアに理解してそれを受け入れるタイプ(ヴィパッサナー瞑想)

ちなみに1の瞑想のサマタとは「落ち着く」という意味です。そこでここではわかりやすく「心落ち着き瞑想」と呼びますね。医療やビジネス分野などで行われるマインドフルネスは、2のヴィッパサナー瞑想法をベースとする場合が多いです。これは「心落ち着き瞑想」で心を静かにしたことを前提としています。つまり1の瞑想法をマスターしていないところで、いきなり2のマインドフルネス瞑想と言われても難しいのは当たり前なんです。

ということで今回は5分間の「心落ち着き瞑想」を解説します。心落ち着き瞑想だけでも、リラックス状態の脳波 α波が出てきて、ストレスが軽減され、免疫力もアップすると考えられているので(3)、まずこれを一途にやってみましょう。

■ 瞑想は、軽い気持ちでやるのがコツ。

私がいろいろと教わったなかで、自分一人で瞑想するときにはこれがしっくりくるなと思った方法をお伝えします。そこで楽しくストレスなく、みなさんが気持ち良いスタイルにアレンジしてください。続けるコツは、とにかくまずは軽い気持ちでやることです。

難しいとか、しんどいとか、うまくやろうとか、目標を抱きすぎて現実とのギャップに辛くなると当然やる気も失せますので、必死にならず心を一休みさせるためのご褒美タイムだと思ってやってください。そこで眉間にしわが寄ってきたら、まずスマイルから。

場所は、一人で5分間静かに座れるところを見つけましょう。時間はいつでもみなさんの好きなタイミングで。でも初めは「朝起きて直ぐ」とか「寝る前に」と決めておいたほうが続けやすいと思います。

私は夜寝る前と、原稿を書きながら頭がこんがらがってきたり、心がザワザワしたときもそのままメールや電話を返さないように2分間ほど座ることもあります。朝起きたときはまた別のことをやっているのですが、それは別の機会にでもご紹介しますね。

座りかたは何度も言いますが、まずは瞑想が気持ちいいと思えることが大事です。だからフリースタイルでいきましょう。ここでは参考までに私がしっくりくると思った方法をご紹介していますが、好きにアレンジしちゃってください。ベッドの上でも椅子に座ってもOK。けれどもラクに座るために外せないポイントはやっぱりあります。上半身をリラックスして、下半身はどっしり安定させる。背筋はスッと伸ばす、この2点は出来るだけ守ってください。

■ 基本の座り方。

1. 姿勢をまっすぐ、ラクに座る。
あぐらでもいいですし、とにかく無理がない姿勢で座ってください。私は自分がラクに感じるほうの足を片方だけ反対側の太ももの上に乗せています。坐骨と両膝の4点をしっかり地面につけるように座ると安定します。専用の坐布がなくても、座布団やタオルを使って、高さを調節すると座る時間が長くなってもラクに座れます。

また、背筋をスッとさせるのもラクに座るためのコツ。筋力でまっすぐしようとせず、積み木を重ねるように坐骨、背骨、首と乗せていきましょう。坐骨の二点の出っ張りが立つように座り、首は自分が思うより少し後ろに引くのがポイント。普段の生活の中でこの姿勢が定着すると疲れにくくなったり、お腹が引き締まるという嬉しい効果もありますよ。

■ 坐骨を立ててまっすぐ座った状態。

2. 両手でガチョウの卵を作る。
手のひらを上向きに、左手を右手に乗せて、4本の指を重ねます。親指同士の先端を優しくつけて大きなガチョウの卵の形にします。私は下腹部の少し下あたりに手を置いていますが、とんでもなく疲れていて肩の力を極限まで抜きたいときは、ズボンに乗せたりもします。

禅では手の形は心のバロメーターだと考えられています。例えば力んでいたり、イライラしていると親指が上がり、

眠かったり、集中していないときは親指が下がってしまいます。

3. 無駄な力を抜く。
肩、顎、首、腹部の力を抜いて、リラックスします。お腹の力は、前方から胃のあたりを人差し指で優しく押されたように1cmぐらい後ろに引くと抜けやすいですよ。

4. 目は閉じるか、半眼で。
私は大抵目を閉じて行っていますが、そのほうがいろいろ考えてしまいそうなときや、とても眠たいときは、目をぼんやりとして視線を落とし、1mぐらい先を見つめます。

準備ができたら、5分のタイマーをスタート! 瞑想が終わった後はα波というリラックス状態の脳波になり、ちょっとまどろんだようなボーッとした状態になります。以前にビーッッッ!とアラームが鳴って「おおおおぉっっ!」と通常以上にけたたましく感じ、恐怖体験になってしまったことがありました。そこでチャイムの音は穏やかな鐘など優しい音色を選んでくださいね。いったん姿勢を作ったら、体はなるべくもう動かしません。

■ 鼻下・唇上は、意識が帰るマイホーム。

呼吸は全て鼻で行います。まずはゆっくりと深呼吸します。お腹が大きく膨らんだり小さくしぼんだりします。息を吐くたびに肩の力を抜きます。それを10回ほど繰り返したら、普通の呼吸にもどします。「吸う」「吐く」の呼吸に意識を向けます。鼻の下と上唇の間の場所だけに集中します。ここをホーム、愛しき我が家だと思ってください。この我が家ゾーンにかかる空気の微細な動きを感じます。意識が逸れたら、必ずまた我が家に戻ります。

■ 心がさまよったら戻る、ホームゾーンはココ!

「あー、今日のランチ何にしよう」
「明日、企画書の締め切りだ!」
「本当、〇〇がムカつく」
「一体、今で何分経ったのかな…?」

と、当然頭の中に何かが浮かびます。浮かびますよ、それはもう! 坐禅堂などで座っていると、みんな涼しそうな顔をして、大仏みたいに身動きせず結跏趺坐(右足を左腿、左足を右腿にのせるという、超絶に体の柔軟性が問われる座り方)を組んでいたりするので焦りますが。禅センターで聞きまわったところ、みーんな誰しも頭の中はパレード状態とのことでした(笑)。だから安心して!

浮かんだものを追わず、払おうともせず、鼻の下と上唇の間の我が家、ホームに出直します。呼吸は自然のままに、ホーム上の「吸う」「吐く」に意識を向けます。意識がそれたら? ホームです。これを繰り返します。するといずれ5分のタイマーが鳴るので、ゆっくりと目の前に焦点を合わせてください。

まずはこの「心落ち着き瞑想」を4日間、好きな時間に5分間やってみてください。この心落ち着き瞑想にもマインドフルネス瞑想にもリラックスしたり、問題を抱えていてもテンパりにくくなる効果があると実感しますが、山の登り方と山頂からの景色の味わい方が少し違います。この心落ち着き瞑想に慣れたところで、次回はマインドフルネス瞑想のやり方をお伝えしますので、ぜひご一緒しましょう。

■ 土居彩

編集者。東京の薪割り暮らしを綴るブログ『東京マキワリ日記、ときどき山伏つき。』。株式会社マガジンハウスに14年間勤め、anan編集部、Hanako編集部にて編集者として、広告部ではファッション誌Ginzaのマーケティング&広告営業を務める。’15年8月〜’17年5月、カリフォルニア大学バークレー校心理学部にてダチャー・ケトナー博士の研究室で学ぶ。’18年9月〜’19年1月、7月、ニュー・メキシコ州サンタフェにあるウパヤ禅センターに暮らしながら、ジョアン・ハリファックス師に師事。現在は、書道家・平和活動家、禅研究家の棚橋一晃氏の著書『Painting Peace(平和を描く)』(シャンバラ社)、芸術家で社会活動家の小田まゆみ氏の『Sarasvati’s Gift』(シャンバラ社)を翻訳中。

参考
1. Davidson, R.et.al(2003). Alterations in Brain and Immune Function Produced by Mindfulness
Meditation.Psychosomatic Medicine 65:564–570. DOI: 10.1097/01.PSY.0000077505.67574.E3
2. Alda, M. et. al (2016). Zen meditation, Length of Telomeres, and the Role of Experiential Avoidance and Compassion. Mindfulness , 7, 651–659 DOI 10.1007/s12671-016-0500-5
3. 『自分を変える気づきの瞑想法』A.スマナサーラ著(サンガ)


©filadendron/Gettyimages

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