【体質別】あなたのタイプをチェック! 春を快適に過ごすための“ゆる養生”
ananweb / 2020年3月23日 21時0分
食べて、休んで、整えて。“ゆる養生”で春の不調をケアしよう! 国際中医専門員の櫻井大典先生が、春を快適に過ごすための養生法を体質別にアドバイス。まずは自分の体質をチェックしてみて。
■ 揺らぎやすい春こそ、養生。
ゆるゆる漢方家の櫻井大典です。改めて「養生」とは何かというと、中医学をベースとした漢方の考えの一つ。日々の食事や生活習慣を整えることで健康なカラダをつくり、不調を予防することです。人間には欲望がありますが、欲望の赴くままに日々食べたり遊んでばかりいては、心身の不調は免れません。江戸時代の儒学者の貝原益軒が健康長寿の心得を説く『養生訓』でも“慎み”が大切とありますが、食べて遊んで食べて…と過ごすのでなく、食べては慎み、遊んでは慎むというリズムが健康に繋がるのです。
養生における健康とは、カラダの構成要素である“気・血・水”の調和がとれた状態を指します。そのバランスは季節や生活リズムによる影響を受けやすい。春は新しいことが増える時期で、気血を巡らせる“肝”(肝臓)のバランスが乱れ、消化器官に関わる“腎”(腎臓)が弱化。よって気の巡りが滞りやすく、慢性的な疲労感などを感じやすい時期です。春夏秋冬という言葉もありますが、春は“始まり”の季節。できることから少しずつ、ゆるくでいい。来る夏や秋、冬を快適に過ごすためにも養生を始めませんか。
■ カラダを支える、3つの大黒柱。
気(き):生命を維持して活動させるエネルギーの源で、全身を巡って臓腑の機能を司る。体温調節や新陳代謝の促進などに働く。
血(けつ):血液のこと。全身の臓器と組織に栄養と潤いを与え、各機能を活性化させる働きを持つ。精神安定にも作用する。
水(すい):血液以外の体液すべてのこと。体内を巡り皮膚や毛髪を潤し、関節を滑らかにして保護。胃腸液や汗、鼻水、涙、唾液も「水」。
■ 体質チェックリスト
自分に当てはまる症状にチェックをつけよう。3つ以上当てはまるものがあなたのタイプ。チェックが多い場合は、複数タイプに及ぶことも。
■ A
□疲れやすい
□無気力感がある
□汗をかきやすい
□風邪をひくことが多い
□手足が冷える
□息切れしやすい
□下痢になりやすい
□食欲があまりない
■ B
□怒りっぽい
□ため息をよくつく
□のどや胸がつかえる
□ゲップがよく出る
□生活が不規則
□よく頭痛がする
□月経前は体調を崩す
□おならが多い
■ C
□顔色が悪い、色白
□立ちくらみをよくする
□眠りが浅い
□皮膚にツヤがない
□経血量が少ない
□足がつりやすい
□髪の毛が抜けやすい
□目が疲れやすい
■ D
□顔色や唇の色が悪い
□頭痛がする
□肩こりに悩んでいる
□手足が冷えやすい
□アザができやすい
□クマがある
□月経異常がある
□肌がザラザラしている
■ E
□微熱がある
□口やのどが渇きやすい
□耳鳴りが起きやすい
□コロコロ状の便が出る
□肌や髪の毛の乾燥
□のぼせやすい
□乾いた咳がよく出る
□冷たい飲み物が好き
■ F
□全身が重くてだるい
□お酒をよく飲む
□揚げ物をよく食べる
□ニキビができやすい
□ぽっちゃりしている
□痰が時々からむ
□舌苔が厚い
□甘いものが好き
■ Aが3個以上当てはまる人は…気虚(ききょ)タイプ
慢性的に気が不足気味。まずは気力の回復から。
気が慢性的に不足しているために、免疫力が低下して体調を崩しやすくなっている状態。消化器官系が弱ると、無駄に気を消耗したり、食事を摂ってもカラダに必要なエネルギーをうまく産出できなくなり、疲労感や倦怠感、花粉症、冷え症、食欲不振、下痢などの不調を招きやすく。さらに気虚タイプは、症状が常態化しがちなのも特徴。
「無気力感や体力不足に陥りがちなので、まずは睡眠と休息が大切です」
【春に注意したい不調と対策】
新生活のスタートやそれに伴う新たな出会いなど、春は活動の幅が広がりやすい季節。ただしエネルギーが全体的に不足している気虚タイプの人は、春の訪れにうまく対応できず疲弊しやすい。
「エネルギーを蓄えるために、やはりしっかり睡眠を取ることが一番。日中も定期的に休息の時間を取りましょう」
■ Bが3個以上当てはまる人は…気滞(きたい)タイプ
自律神経の乱れが原因で春は心身の不調が顕著に。
文字通り、気の巡りが滞っている状態。ストレスや心配事が続くと、気の巡りを制御する自律神経のコントロールが乱れて心身ともに不安定に。
「気滞タイプの不調は身体面では片頭痛、腸内環境やPMSの悪化など。精神面では憂うつやイライラ、気分のアップダウンが激しくなる傾向が」
気は月経バイオリズムの影響も受けやすいため、月経前や排卵期はとくに注意が必要。
【春に注意したい不調と対策】
春は、気をコントロールする肝臓が弱りやすく、気の巡りにも影響が大きい。よって気滞タイプの人にとっては一年の中でも最も不調が出やすいシーズンとなりがち。気の滞りの原因となるストレスをどうコントロールするかを常に考え、対処したい。
「お香などのアロマは効果的。柑橘系やフローラルなど好きな香りで気分転換を」
■ Cが3個以上当てはまる人は…血虚(けっきょ)タイプ
活力のもとの血が不足。食事や生活で血を補おう。
血が不足している状態。原因として、生理や偏食などによる栄養不足が挙げられる。症状には、めまいや不眠、眼精疲労、不安、吐き気、息切れなど。
「活動するパワーはあっても鎮静するパワーが少ないため、眠りが浅く疲れやすい。また血が不足すると消化吸収力も低下し、さらに全身に栄養が行き渡りにくくなるので、乾燥肌など肌も荒れやすく。血は夜につくられるので、23時ごろには布団に入る習慣を」
【春に注意したい不調と対策】
春になると活動エネルギーが高まるが、その鎮静に働く血が、血虚タイプの人には不足しており、いつも以上に不眠や集中力低下の傾向が強まる。よって血を補う赤(トマトやマグロなど)や黒(黒豆や黒キクラゲなど)の食材を食べるのがおすすめ。
「目の酷使は血を消耗するので、スマホやTVの時間をなるべく減らしましょう」
■ Dが3個以上当てはまる人は…お血(けつ)(※「お」は病垂れに於)タイプ
血の巡りが滞りがち。軽めの運動で血流改善!
運動不足や冷え、ストレスなどが原因で血の巡りが悪化している状態。よく見られる不調は頭痛や冷えの悪化、目の下のクマ、慢性的な肩こり、シミやソバカスなど。なかには月経の痛みを引き起こしたり、経血にレバー状の塊が交じることも。
「血流障害の原因はさまざまですが、血行改善には軽い運動がとても有効。心地いい呼吸を意識しながら行うことが大切です」
【春に注意したい不調と対策】
昼夜の寒暖差や春特有の移ろいやすい陽気が原因で、頭痛や生理痛が悪化しやすい。
「ストレッチやヨガ、太極拳などがおすすめです。穏やかな呼吸を心がけて気が循環するのを意識しましょう。エネルギーを消耗するような激しい運動ではなく、あくまで気の流れを整えるイメージでカラダを動かしてください」
■ Eが3個以上当てはまる人は…陰虚(いんきょ)タイプ
潤い不足で熱を溜めがち。過剰に汗をかくことは避けて。
カラダの中の潤い(体液などの水分)が慢性的に不足している状態。陰虚タイプの人は、カラダを潤し熱を冷ます働きのある水が少ないため、体内に熱がこもってしまう。よく見られる不調はのぼせやほてり、乾燥肌、口の渇き、便秘、空咳など。女性の場合は年齢を重ねるとともに潤いは不足しやすくなるので、対策を忘れずに。
「血と同様、水も夜につくられるのでしっかり睡眠を取ることが重要です」
【春に注意したい不調と対策】
もともと水分が足りない陰虚タイプの人は、気温の上昇とともにのぼせやすくなる傾向がある。それに伴い、イライラなど精神面で不調を感じることも。
「中医学でカラダの潤いを補うとされる白い食材(豆腐、白菜、白ごまなど)が吉。また汗も潤いのひとつなので、発汗を促す辛い食べ物やサウナなどは避けましょう」
■ Fが3個以上当てはまる人は…痰湿(たんしつ)タイプ
不要物が体内に蓄積。食生活の改善が解決の鍵。
水の巡りが悪く、不要物が溜まっている状態。カラダが重く感じたりだるさがあるのは、体内に過剰な水分が滞っているのが原因。よく見られる不調はむくみや胃もたれ、下痢や軟便など。デトックスを要する痰湿タイプの人は、高湿度で“水はけ”が悪くなる雨の日や低気圧の日に不調が出やすい。
「不要物が溜まる原因の一つは胃腸を酷使する食生活の乱れ。食物繊維や水分豊富な食材を摂りましょう」
【春に注意したい不調と対策】
現代において春は花見や歓送迎会などのイベントが多く、お酒やジャンクフードなどを口にする機会が増える時期。不要物が溜まりやすい痰湿タイプの人は、脂が多い食事、味が濃い食事、カラダを冷やす食事を今より少しでも控えるよう心がけて。
「デトックス作用を持つ豆類や海藻類、葉もの野菜を加熱して食べましょう」
さくらい・だいすけ 国際中医専門員。『体をおいしくととのえる! 食べる漢方』(小社刊)など著書多数。養生法などをつぶやくツイッターも人気(@PandaKanpo)。
※『anan』2020年3月25日号より。イラスト・原田桃子 取材、文・門上奈央
(by anan編集部)
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