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新型コロナでも“インフォデミック” デマの拡散を防止するには?

ananweb / 2020年4月9日 19時0分

新型コロナでも“インフォデミック” デマの拡散を防止するには?

意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「インフォデミック」です。
■ 伝染力は脅威に。報道の仕方にも注意が必要です。


「インフォデミック」とは、information(情報)とepidemic(伝染、流行)を組み合わせた造語で、誤った情報が拡散されることにより、正しい情報を得にくくなり、社会が混乱する様を指します。新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の流行を受け、WHOがこう呼んだのをきっかけに、日本でも使われるようになりました。海外では2009年の新型インフルエンザの流行のときに、「パンデミック(pandemic 世界的大流行)」とともにSNSなどで使われていました。

新型コロナウイルスに関しては、「お湯を飲めば感染予防になる」「ニンニクを食べるとよい」などの誤情報が広まりました。また、欧米や中東では、「アジア人は新型コロナウイルスを持っている」という間違った思い込みが広がってしまい、アジア人差別が起き、大きな問題になっています。

インフォデミックをみなさんが実感したのはトイレットペーパーではないでしょうか。「トイレットペーパーがなくなる」というのは根拠のないデマでしたが、「なくなるかもしれない」という情報が拡散されたことにより、不安から人々はトイレットペーパーを買い占め、本当に市場に出回らなくなってしまいました。これをアメリカの社会学者マートンの言葉で「予言の自己成就」と言います。嘘や思い込みでも、その予言を人々が信じて行動することにより、現実になってしまうのです。ニュースでは、店の空になった棚を映し、「トイレットペーパーが売り切れました」と報道されましたが、それでは不安を助長し、買い占めをさらに加速させます。「デマです」と伝えたところで、デマは収まりません。それよりも、受け手の行動を先回りして、次の入荷予定や出荷量を具体的に示すことのほうが効果的でしょう。情報発信側も、デマが社会を動かしてしまう危険を自覚するべきです。報道機関には、ファクトチェックの普及活動を行う団体を応援してほしいですね。また、個々人の軽い気持ちのリツイートが、デマに加担してしまう場合も。シェアする前にいったん立ち止まり、不確定なものは拡散しないようにしましょう。

堀 潤 ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)公開中。

※『anan』2020年4月15日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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