え、私たちが“栄養不足”? 女性の不調の悪循環はこうやって生まれる
ananweb / 2020年4月22日 20時40分
健康の大切さを、日本中そして世界中の人々が実感している2020年。改めて、私たちのカラダを中から強くする方法について見つめ直します。
■ 食べるものから健康と美意識を高める。
いま、私たちの体はどういう問題に向き合っているのか。米国先端医療学会理事の満尾正先生に伺いました。
* * *
飽食の時代と矛盾するように、偏った食生活や室内主体のライフスタイルによる「現代型栄養失調」は年々増え続けています。栄養不足になれば当然、体調が悪くなり、それを薬で治そうとしてさらに体に負担をかける悪循環にも陥ります。
しかし、栄養不足を自覚している人はほとんどいないはず。これは日本の栄養に対する知識や理解が、諸外国に比べて大きく遅れていることに原因があります。たとえばアメリカは、医療費がけた外れに高いこともあり、病気を回避するべく「栄養が健康に直結する」という常識が根付いている。日本もひとりひとりが栄養への意識を変えることが必要です。
若い女性に足りない栄養素の両横綱は、鉄分とビタミンDです。冷え、だるさ、片頭痛、気分の落ち込みなどの不定愁訴、便秘や肌荒れなど女性に多い不調は、これらの栄養素の不足が大きく関わっています。言い換えれば、栄養を継続して補っていくことで、症状は改善されるケースがほとんどなのです。
体は自分が食べたものでできていて、健康の基盤は「栄養」が支えています。栄養をバランスよく摂って心身がすこやかであれば、肌や髪、爪は美しく、体重も適正に戻りやすくなります。健康と美を、食べるもので叶える。輝いて生きる手だてとして、ぜひ取り入れてください。
■ いま女性の体に起きている危機。
■ 【1】全般的な栄養不足。
食生活が乱れがちなライフスタイルや栄養知識の欠如などから、現代人の多くは栄養が足りていない状態。さらに女性たちに根強い“痩せたい願望”も栄養不足に拍車をかけている。「栄養不足に無自覚なうえ、カロリーに気を取られて食事の量を減らし、ますます悪化している人が多い印象です。糖質制限が流行りましたが、過剰に糖質をカットするのは体に負担がかかりますし、ダイエットの観点から見ても、必要な栄養を摂取しないときれいに痩せることはできません」(満尾先生)
■ 【2】ビタミンDの意識の低さ。
鮭や青魚に含まれ、日光に当たることでも生成されるビタミンDは、骨の強化、免疫力向上、アレルギー症状やうつの改善など、ホルモンに近い働きをする重要な栄養素。美白意識の高い女性はとりわけ不足している可能性が。「ビタミンDの欠乏は母乳にも関わるため、子どもの骨軟化症など次世代への影響も指摘されています。出産を考えている方はとくに、魚を食べる、日光浴、サプリ、いずれかで補給を。サプリはビタミンD3として1日あたり、1000IU~2000IUのものを目安に」
■ 【3】20代でも深刻な鉄分不足。
閉経前の女性は毎月の生理出血によりどうしても鉄分不足に。鉄分が足りないと全身が酸欠のような状態になり、「鉄欠乏性貧血」や冷え、だるさ、朝起きられないなどの症状を誘発する。「健康診断などの血液検査で『MCV』(平均赤血球容積)の値をチェックしてみましょう。85以下なら鉄分不足なので、意識して補給を。鉄分には動物性タンパク質に含まれる『ヘム鉄』と大豆や青菜など植物性の『非ヘム鉄』があり、ヘム鉄のほうが吸収されやすいため、鶏レバーがおすすめです」
■ 【4】旬の野菜の過少補給。
野菜はただ摂るだけではダメ。栄養価が高い、旬の時期の収穫直後のものを選べば、体への負担も軽減できる。栄養損失が少ない蒸し調理が◎。「ただでさえ現代の野菜は、生産効率を追求した品種改良、土壌の劣化などにより、50年前と比較して栄養価が激減したというデータもあり、できるだけ栄養価が高い状態のものを選ぶことが大切です。また、夏野菜に体を冷やす作用があるように、旬以外の時期に食べると体に負担がかかることも頭に入れておきましょう」
満尾 正先生 アンチエイジング専門クリニック「満尾クリニック」院長。米国先端医療学会理事。著書に『食べる投資~ハーバードが教える世界最高の食事術〜』(アチーブメント出版)などがある。
※『anan』2020年4月29日号より。イラスト・micca 取材、文・熊坂麻美
(by anan編集部)
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