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免疫力低下は精神にも悪影響 いまこそ知りたい体内の“5つの力”

ananweb / 2020年4月23日 19時40分

免疫力低下は精神にも悪影響 いまこそ知りたい体内の“5つの力”

いま、私たちの体はどういう問題に向き合っているのか。健康の大切さを、日本中そして世界中の人々が実感している2020年。改めて、私たちのカラダを中から強くする方法について見つめ直します。
■ 私たちが高めたい、体内の力。


■ 【細胞力】鉄分をしっかり補給して全身の細胞を活性化させて。

人間の体は37兆個もの細胞でできている。皮膚、神経、筋肉、血液など、それぞれの細胞が大切な役割を担い、体を適切に動かし、必要な物質をつくり、ばい菌などの侵入を防いでいる。その細胞の働きに関わる栄養素として注目されるのが、鉄分。鉄分不足の影響は貧血にとどまらず、細胞の力を低下させて心身にさまざまな弊害をもたらす。

「鉄分は全身の細胞のエネルギーや神経伝達物質の産生に欠かせない重要なミネラルです。脳を含めたすべての臓器に影響を与え、肌や髪のハリ、集中力の低下やうつ症状などとも関わってきます」(山口病院副院長・奥平智之先生)

生理のある女性は、慢性的に鉄分が不足している。貧血症状がなくても毎日鉄分を補給するのが理想だが、奥平先生によると、体内に炎症があると、鉄分を摂っても効果が表れにくいという。「ただ漫然と鉄分を補給するのではなく、炎症に心当たりのある人は生活を見直し、細胞のすみずみまで鉄分をいきわたらせる素地づくりを同時に行うことが肝要です。鉄の力で細胞の働きを活発にさせれば、心身ともに健康になり美しさにも磨きがかかるでしょう」

■ 【消化力】食べすぎない、よく噛む…食習慣の見直しで消化力UP。

食べ物は口から入って即、栄養素として働くわけではない。しっかり口で咀嚼して、胃腸で消化・吸収された栄養素を、肝臓で利用しやすい物質に分解・合成して(代謝)、必要に応じてエネルギーに変換したり、全身の器官や臓器に送り出して初めて機能する。

現代人は、食べすぎやよく噛まない習慣、不規則な食生活、添加物を含む食事などから消化力が低下していると、ハタイクリニック院長・西脇俊二先生は指摘。

「消化・吸収・代謝という消化力が落ちると、栄養価の高い食事をしても体にうまく取り込まれません。その結果、消化液のコントロールが利かなくなりさらに消化力が弱まることに。また、未消化物が腸内に残ることで腸内環境が悪化する、相関関係にある脳に影響を与えて、免疫力を下げるといったトラブルも起こりやすくなります。一回一回の食事を正しく消化することは健康と美を保つうえでとても大切なことなのです」

消化力を高めれば、食べ物の栄養素をスムーズに利用できるようになり、アレルギー症状や冷え症など、さまざまなトラブルが改善できるという。消化力の向上を目指し、食習慣を見直してみよう。

■ 【疲労回復力】食事やサプリで適切な栄養をチャージして疲れ知らずの体に。

ストレスにさらされやすい現代人は、とかく疲労を溜め込みがち。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生によると、疲労はすべて「自律神経の中枢の疲れ」から起きるという。

「過度なストレスがかかると、交感神経が優位な状態が続いて自律神経が過活動になります。その状態が続くと、神経細胞に活性酸素が発生して細胞をさびさせてしまう。さびた細胞は本来の活動ができなくなり、自律神経の機能が低下する。これが疲労の正体です」

疲労回復には、活性酸素による酸化ストレスを軽減する、抗酸化成分を豊富に含む食品を摂ることが効果的。野菜では、リコピンを含むトマトや、カロテンが豊富な緑黄色野菜がおすすめ。

「リコピンやカロテンの抗酸化力は強いものの2時間ほどで効果が消滅するため、こまめに摂るのがベターです。科学的実証で、疲労回復にもっとも効果があるとされるのは鶏むね肉や豚ロース、マグロなどに含まれる『イミダペプチド』。一度摂取すると脳内で再合成され、抗酸化力が続いて持ちがいいのが特徴です」

必要な栄養素を日常的に摂取して、疲れが溜まりにくい体をつくろう。

■ 【排出力】毒素排出のカギを握る、腸内環境。ビフィズス菌でしっかり整えよう。

口から摂取した食物には、人の体には不要な成分も。腸は、まず小腸で食物の栄養を吸収し、大腸で体に不要で有害な物質を固形化して排泄するという、とても重要な器官です。しかし、近年、生活習慣が原因で、乱れやすいという現実が。そんな腸内環境を整えることは、人の健康のカギといえそう。

「過度なダイエットや不規則な生活で食事を制限したり、ストレスが溜まって大腸の蠕動運動が弱まると便秘になりやすくなる。結果、腸内の環境が悪化して悪玉菌がはびこり腸壁を傷め、そこから有害物質が血液に乗って、全身に運ばれてしまうことも。肌の吹き出物や不快感などさまざまな全身の症状にもつながります。これを防ぐためにも、善玉菌の代表である“ビフィズス菌”と、そのエサになる食物繊維を積極的に摂ることがおすすめ。大腸内でビフィズス菌が元気に活動することで悪玉菌の増加を抑える役割もはたし、腸内フローラ(腸内で多種多様な細菌が生息する様相)を良い状態に保ちます。大腸が健康なら、本来規則的に排泄されるべき便がバナナ状に固形化され便通も改善。肌荒れやイライラも解消されます」(医学博士・松井輝明先生)

■ 【免疫力】ビタミンDで免疫力を強化。心も体も丈夫にしなやかに。

免疫とは、体内で発生したがん細胞や外から侵入した病原菌を撃退して健康を保つ自己防衛機能のこと。免疫力が下がると、風邪やインフルエンザなどウイルス性の病気にかかりやすくなるほか、精神的にうつうつとしたり、やる気が低下したり、体にも心にも悪影響が及ぶ。

免疫力をアップさせて元気で過ごすために摂るべき栄養素は、ビタミンD。これまでビタミンDは骨を強くする働きが注目されていたが、近年の研究で全身の免疫系細胞に影響を与えることがわかってきたそう。

「さまざまな病気やアレルギーから身を守るためにも、ビタミンDの“免疫調整ホルモン”としての機能はとても重要です。しかし、日焼けを嫌う日本人は、日光を浴びてビタミンDを生成するチャンスが非常に少ないうえに、ビタミンDを豊富に含む鮭やイワシの摂取量も減っていて、ビタミンDの血中濃度が非常に低い。まずは、足りていないことをしっかり自覚しましょう。そのうえで、サプリメントで補給するという手段も選択肢に入れて、ビタミンDを摂取する意識を高めてください」(日本機能性医学研究所所長・斎藤糧三先生)

※『anan』2020年4月29日号より。イラスト・micca  取材、文・熊坂麻美

(by anan編集部)

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