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爪に細かい縦線がある人は要注意 危ない「鉄欠乏」の世界

ananweb / 2020年5月3日 20時30分

爪に細かい縦線がある人は要注意 危ない「鉄欠乏」の世界

健康と美のために、現代女性は、鉄分補給が急務です。「貧血じゃないから鉄は足りている」と思っていませんか? 実は、昨今の研究では、「貧血じゃなくても鉄欠乏」という人が急増中! 鉄が足りていないとどうなるのか、Q&A形式でお答えします。
■ Q.鉄が足りないとどうなる?

■ A.精神面や肌トラブルなど、あらゆる不調の原因に!

鉄不足というと、フラつきやめまいなどの貧血症状を思い浮かべる人が多いはず。でも実際は、精神面から肌トラブルに至るまで、あらゆる体の不調に繋がるといっても過言ではないそう。

「鉄は全身の細胞のエネルギー産生に欠かせないミネラルのひとつなので、脳を含めたすべての臓器に影響を与えます。疲れやすさだけでなく、集中力の低下、情動の不安定さ、憂うつなどを引き起こします。皮膚や髪をつくる際にも鉄は必要なので、不足すると肌荒れやシミ、抜け毛などの原因にもなります。また、妊婦の鉄欠乏は胎児の中枢神経系の発達に取り返しのつかない影響を与える可能性が。もし妊娠を希望するのなら、妊娠前から鉄をしっかり補っておくことが重要です」

■ Q.鉄分を意識して摂っていても 不調…。この原因って?


■ A.鉄を摂っても吸収できない。体内炎症に要注意。

奥平先生によると、“鉄欠乏”には体全体のフェリチン(貯蔵鉄)が単純に足りていない“鉄不足型”以外に、もう一つ別のパターンもあるそう。

「フェリチン(蓄え)は一定量あるのに、体の中に炎症があるせいで、鉄の利用や吸収が阻害される“炎症型”です。ここでいう炎症には、感染症や花粉症、アトピー性皮膚炎、肥満の他、寝不足や過労など日常生活における慢性的なストレスによる不調も含まれます。特に爪に細かい縦線がある人は要注意。こうした症状がある場合、いくら鉄を摂取しても腸から吸収できず、余った鉄が悪玉菌のエサとなり、腸内環境が悪化してしまうことも。また、体の必要なところに鉄を移動することができなくなり、鉄があっても使えない、という状況に陥ってしまいます」

■ Q.体内の炎症を抑えるにはどうしたらいい?

■ A.食事や生活を見直し、炎症の原因にアプローチ。

体に炎症がある場合、むやみにサプリで鉄を補っても効果的とはいえない。

「まずは炎症の原因に直接対処することが肝心です。たとえば肥満や脂肪肝であれば、スイーツや甘い飲み物、パンやパスタなどの糖質を控えること。腸や体に炎症がある場合は、その原因となる食べ物を減らし、抗酸化・抗炎症食材を増やしましょう。ビタミンCやビタミンE、緑黄色野菜には抗酸化作用がありますし、魚油やえごま油などオメガ3系の油には抗炎症作用があります。また腸内環境を整える海藻やきのこなどの食物繊維や発酵食品を積極的に摂ることもおすすめです。さらに過労や不眠であれば、生活を見直し、十分な睡眠をとることも大切。できることから実践してみてください」

■ Q.鉄分を効果的に摂る方法は?

■ A.食材を組み合わせれば吸収率もよりUP!

「実は、一括りに“鉄分”といっても、3つの種類があります。動物性タンパク質に多く含まれる“ヘム鉄”、植物性や動物性タンパク質に含まれる“非ヘム鉄”、それと人工的に作られた“キレート鉄”です。この中でもヘム鉄は15~20%と吸収率が良いため、食事で鉄を補うなら動物性のタンパク質を中心に摂取するのがおすすめです」

また鉄欠乏改善には鉄をサポートする他の栄養素も一緒に摂ることが理想。

「特に、タンパク質とビタミンB群は欠かせません。さらに、鉄を含む食材を酸味のあるものと一緒に摂ったり、香味野菜や香辛料を食事に加えて胃酸の分泌を促したり、よく噛んで食べ物を細かく砕くことでも鉄の吸収を高めることができます」

■ Q.サプリメントで補給する時に注意すべきポイントは?

■ A.炎症の有無&鉄剤の種類や飲み方に注意。

なかなか自炊できず、外食中心の人は、サプリメントで鉄を補うのも手。ただし、次のことに注意して。

「鉄のサプリメントを飲む前には、炎症の有無を確認する必要があります。炎症があると、腸での鉄の吸収が低下するため、余った鉄が腸の悪玉菌のエサとなって腸内環境を悪化させる可能性があるからです。なるべく自己判断はせず、炎症の有無を医療機関で診断してもらいましょう。病院などで処方される鉄剤は“非ヘム鉄”で、胃腸の負担になりやすいので食事と一緒に摂るのがおすすめです。吐き気や胃腸の不快感などの症状が出る場合は、胃腸にやさしいヘム鉄やキレート鉄、鉄代謝をサポートする漢方・人参養栄湯などを活用するのもいいでしょう」

奥平智之先生 医療法人山口病院副院長 精神科医・漢方医。「日本栄養精神医学研究会」会長。“メンタルヘルスは食事から”をモットーに栄養学や東洋医学を取り入れた臨床を行っている。『マンガでわかる 食べてうつぬけ 鉄欠乏女子救出ガイド』(主婦の友社)など著書多数。

※『anan』2020年4月29日号より。イラスト・石山さやか 取材、文・瀬尾麻美

(by anan編集部)

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