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野田洋次郎が絶賛する三浦透子、今度は森山直太朗ら参加の新作完成

ananweb / 2020年5月15日 20時10分

野田洋次郎が絶賛する三浦透子、今度は森山直太朗ら参加の新作完成

音楽をこよなく愛する、ライター・エディター・コラムニストのかわむらあみりです。【音楽通信】第37回目に登場するのは、新海誠監督作『天気の子』の音楽を担当していたRADWIMPSに、ボーカリストとして抜擢され話題を呼んだのも記憶に新しい、歌手で女優の三浦透子さん!
■ 「2代目なっちゃん」から『天気の子』ボーカリストへ


【音楽通信】vol. 37

2002年の5歳のときに、清涼飲料水『なっちゃん』のCMで女優デビューした、三浦透子さん。2020年は『ロマンスドール』や『架空OL日記』などの映画に出演するなど、これまでに数々の映画やドラマで活躍しています。

歌手としては、大ヒットした新海誠監督作『天気の子』(2019年)の音楽を担当していたRADWIMPSにボーカリストとして大抜擢されました。

「役者の歌声というよりも世界そのものの響きのような、個人の感情を少しだけ越えたような何かを、まっすぐに運んできてくれる声」(新海監督)、「どんな天気をも晴れにしてしまうような圧倒的で不思議な力を持つ」(RADWIMPS 野田洋次郎)と称されて、その歌声にも注目が集まっています。

そんな三浦さんが、2020年5月27日に1stミニアルバム『ASTERISK』をリリースされるということで、お話をうかがいました。

ーー5歳のときに『なっちゃん』のCMに出演され、2代目なっちゃんに抜擢された当時のことは覚えていますか。また、もともと女優を目指していたのでしょうか。

当時のことは、ひどく現場で迷惑をかけたということだけはしっかり覚えています。とにかく調子乗りで大人の言うことを聞かない子どもだったので、まわりのみなさんは本当に苦労したと思います。

もともと私も家族も芸能界に興味があったわけではなく、習い事で通っていたダンススクールの友達と一緒に、ふらっとオーディションに参加しました。CMが決まった後も、母親は、「思い出作りになれば良いかな」くらいの気持ちだったと聞いています。ですから、ここまで続ける仕事になるとは、そのときはまったく思っていませんでした。

ーー結果として、5歳から現在まで女優としてご活躍されていますが、目標とする俳優さんや憧れの作品、監督はいますか。

目標というのとは少し違いますが、田中絹代さん、京マチ子さん、乙羽信子さんはとても好きな俳優です。相米慎二監督の『台風クラブ』(1985年)、ツァイ・ミンリャン監督の『青春神話』(1992年)は初期の映画体験だというのもありますが、私にとって特別な作品です。

ーーでは、歌手活動を始めたきっかけを教えてください。

タナダユキ監督と役者としてCMの撮影をご一緒したときに、ワンフレーズだけ歌うシーンがありました。その際、「声が良い」とおっしゃっていただいて以降、タナダ監督のCMや映画の音楽の仕事をさせていただくようになったのがきっかけです。

ーー映画『天気の子』(2019年)のボーカリストとして、主題歌「祝祭 feat.三浦透子」と「グランドエスケープ feat.三浦透子」で大抜擢されました。ご自身の歌声が、新海誠監督とRADWIMPSの野田洋次郎さんを唸らせたことやおふたりの印象を教えてください。

もともと「歌の仕事をしっかりやりたい」という気持ちが心のどこかにはあったので、新海さんと野田さんの反応は素直にうれしかったです。ボーカリストとして新しいチャレンジをすることに対して、とにかく楽しみな気持ちが一番でした。

新海さんは、私がお会いしたときは特に忙しい時期だったと思いますが、いつお会いしてもとても穏やか。常にリスペクトを感じる丁寧な言葉でお話ししてくださるのが印象的です。野田さんは、妥協せず、私に対してもプロフェッショナルとして接してくださいました。

おふたりとも、それぞれの分野の先頭を走っている方々ですが、どなたにも変わらない姿勢がとても素敵です。

——2019年は『ミュージックステーション』や『第70回NHK紅白歌合戦』などにRADWIMPSさんと共に初出演されましたが、歌番組はいかがでしたか。歌の現場と、お芝居の現場との違いや心境の違いは。

2019年は本当にいろいろな景色を見させていただきました。本当に想像していなかった出来事ばかりで、心の整理をする時間がなかったのが逆に良かったと、いまでは思います。どのステージもただただ楽しかったな、という印象が強いです。

ただ、こういう流れは、いずれ落ちつくものだという認識もしっかりありました。CM『なっちゃん』のときと同じですね。『天気の子』で体験させてもらったことは、ある意味、一番華やかなところ。これから自分で歩いていくときには、歌もお芝居も一歩ずつ、丁寧にやりたいという思いが強いです。

歌とお芝居の細かな違いはたくさん感じますが、一貫した“自分がやる”ということをいまは意識しています。

■ 新作は本格的に音楽と向き合うけじめの作品

ーー5月27日に1stミニアルバム『ASTERISK』をリリースされます。2017年にカバーアルバムをリリースされてから、今回が初めてのオリジナルアルバムとなりますね。

はい、今回のリリースは素直にとてもうれしいです。自分名義でのオリジナル作品というのは、やはりいままでとは感覚が全然違いますね。私にとっては、本格的にこれから音楽と向き合っていこうという、けじめの作品でもあります。最初の一歩なので、みなさんからどんな反応が返ってくるのか、とても楽しみです。

ーー収録曲の、映画『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』(近日公開予定)の主題歌「uzu」は、まるで子守唄のようにも聴こえるやさしい歌ですね。歌詞のない歌ですが、心がけたことはありますか。作曲をした森山直太朗さんとは曲について話し合うことはあったのでしょうか。

ムヒカさんの物語や言葉から、観る側が受け取る感情はさまざまだと思います。エンドロールは、そういう映画の余韻を邪魔しない、言葉を反芻し、自分と向き合うような時間になればいいなと思いました。

歌詞のない歌になったのは、田部井一真監督や直太朗さん、みんなのそういう思いから。直太朗さんが、「寝起きみたいな感じがいいな」とおっしゃっていたので、“歌う”というよりは、声を“鳴らす”というようなイメージで歌いました。

レコーディングでは、メロディ以外の決まりは何もなくて、とにかく自由。直太朗さんの人柄も相まって、のびのびとリラックスして純粋に音楽を楽しめる贅沢な時間でした。このアルバムの中で最初にレコーディングをしたのが「uzu」でしたが、これが最初でとても良かったです。

ーー収録曲「ブルーハワイ」は曽我部恵一さんが作曲した曲です。曽我部さんのバンド、サニーデイ・サービスはもともとよく聴いていたそうですが、今回は三浦さんのオリジナル楽曲を歌われてみていかがでしたか。

2017年にリリースしたカバーアルバムの際にも、サニーデイ・サービスの楽曲「東京」を歌わせていただきました。今回はその流れでまた、オリジナル作品でも楽曲を提供していただけるというのは、とても感慨深いです。

曽我部さんはふわふわ漂っているような不思議な存在感の方で、お話ししていてすごく楽しかったです。その反面、曽我部さんの頭の中ははかり知れなくて、いったいどんな曲になるのだろうと、まったく予想ができませんでした。いただいた曲は、まるで自分が見透かされているかのようで驚きました。心にすっと落ちてくる歌詞とメロディで、一番自然に歌うことができたんです。

ーー収録曲「FISHANDCHIPS」は、赤い公園の津野米咲さんが担当された曲ですが、ラップや和洋折衷のようなサウンドなど、おもしろい楽曲だと感じました。

今回は、今までとは違ったアプローチで声を聴かせたいというのが、アルバムのテーマとして最初にありました。「FISHANDCHIPS」はまさにそのコンセプトにあった曲だと思います。これまで歌ってきたオーガニックな楽曲とは違って、音数もたくさん、これでもかというくらい盛り込んで、遊び尽くしてもらいました。

そのなかで、私の声をどうたたせるか。私もたくさん声で遊んで、ニュアンスもいろいろ試しながら歌いました。今までは、どれだけ削ぎ落として歌えるかということをテーマに歌ってきたので、とても楽しいチャレンジでした。中毒性があって、個人的にも一番よくリピートしているかもしれません。

ーーそのほか、映画『天気の子』のRADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」のカバーや、スカート・澤部渡さんが作曲した「波がたった」など、多彩な楽曲が詰まったアルバムです。今回、7組のアーティストが制作に参加されていますね。

7アーティストのみなさんは、私の希望でお願いさせていただいた方がほとんどで、本当にとても光栄です。何よりも今回、一番大事にしたのは“7つのカラーで声を見せる”こと。ただ私がご一緒したいという理由だけで選ぶと偏りが出て難しかったので、そのバランスは慎重に考えました。

それぞれのアーティストさんとしっかりコミュニケーションを取るところからはじめて、参加できるところはオケ録りもなるべく見学させていただきました。曲が違えば、毎レコーディング、課題も違います。曲数は少ないですが、とても濃密なレコーディング期間でした。

ーー『ASTERISK』というタイトルに込めた思いと、実際に完成して聴かれた印象を教えてください。

記号の「*(アスタリスク)」は、掛け算記号としても使われますが、その“掛け算”という意味合いが今回のアルバムにとてもしっくりきたので、このタイトルにしました。良いコラボレーションというのは、やはり私が受け身になりきってしまうと成立しない。もらった歌を歌う、というところから一歩先に進んで、“関わる”という意思表示でもあります。

また、「アスタリスク」には、ギリシャ語で「小さな星」という意味があると、後から調べて知りました。星や光のイメージも、今回のアルバムビジュアルとも合っていて、良いタイトルになったかなと思っています。

7曲すべて本当に違った曲なので、聴き応えもある反面、アルバムを通して聞いても30分かからないという、気軽さが気に入っています。

■ 変わることと、変わらないこと、そのどちらも大事

ーー女優、歌手としてご活躍の三浦さんですが、普段から美容面などで気をつけていることは。

私は中学の頃と高校の頃の2回、ひどい肌荒れに悩んだことがあります。こればっかりは、この方法が一番と言い切れないのが難しいところですが、私の場合は朝の洗顔をやめたことが一番効果がありました。自分の肌の特徴を理解することが大事だと思っています。

ーーよく聴くアーティストや楽曲はありますか。

人生で一番聴いたのは、NUMBER GIRL。私の青春のバンドです。最近はエレクトロやジャズなどインストを聴くことが多くなりました。あとは、大貫妙子さん、吉田美奈子さんなどの70〜80年代の日本の音楽も聴いています。

いまはたくさん時間もあるし、音楽の活動を始めたという意味でも、いろいろと吸収する必要がある時期だと思うので、周りの信頼できる人から、さまざまな音楽を教わっています。

ーーいま興味のあることはなんですか。

建築に興味があります。はじめはただ建物を見るのが好きなだけでしたが、ル・コルビュジエ(モダニズム建築の礎を築いた20世紀を代表する建築家)の「住宅は住むための機械である」という言葉に惹かれて、それ以来、その建物が建てられた背景や建築家の持つ哲学にも興味を持つようになりました。

昨年、ロシア・アヴァンギャルド建築のお話の舞台に出演したこともあって、その分野を勉強したのも影響しています。駒場東大前にある日本民藝館も、はじめは建物が好きで通い始めましたが、いまは民藝品や民藝の考え方にも興味を持つようになりました。ものづくりの裏側にあるものに興味があるのかもしれません。

ーー現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、世界的に活動自粛制限がありますが、三浦さんはどんなふうにおうちで過ごされていますか。

こういう時期は、特別なことはしないで、いつも通りを心がけています。つい何かやらなくてはと意識しすぎてしまいますが、変わることと、変わらないこと、そのどちらも私は大事だと思っているんです。いま時間が与えられたと思って、しっかり自分と向き合い、考える時間にしたいです。


■ 取材後記

女優として活躍しながらも、歌手としても存在感を発揮されている三浦透子さん。その透明感のある心地よい歌声は、新海監督や野田さんではなくとも、魅了されてしまうに違いありません。そんな三浦さんがリリースされるミニアルバムをまずはチェックしてみてくださいね。

■ 三浦透子 PROFILE

1996年10月20日、北海道生まれ。女優としては、2002年、サントリー『なっちゃん』のCMでデビュー。 その後、映画、ドラマなどで本格的に女優としての活動を開始。近年は2018年、映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』でヒロインを務め、2020年、映画『ロマンスドール』や映画『架空OL日記』などにも出演。

歌手としては、2017年、90年代の名曲をアコースティックカバーした企画アルバム『かくしてわたしは、透明からはじめることにした』でCDデビュー。2019年、新海誠監督最新作『天気の子』の音楽を担当していたRADWIMPSにボーカリストとして大抜擢され、その歌声にも注目が集まる。

2020年5月27日、1stミニアルバム『ASTERISK』をリリース。

■ Information

New Release
『ASTERISK』

(収録曲)
01.uzu
02.愛にできることはまだあるかい
03.蜜蜂
04.おちつけ
05.波がたった
06.ブルーハワイ
07. FISHANDCHIPS

2020年5月27日発売
(初回仕様)
UPCH-29362
¥2,000(税別)
※初回仕様出荷終了次第、同価格の通常仕様(UPCH-20542)に切り替わります。

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