AI、デビュー20周年を迎えて「心で、音で、通じ合える」新作を完成
ananweb / 2020年7月8日 19時0分
【音楽通信】第40回目に登場するのは、愛にあふれるパワフルなボーカルで、いつも聴き手をハッピーにさせてくれる、AIさん!
取材、文・かわむらあみり
【音楽通信】vol. 40
■ 毎日を精一杯過ごしていたら20年経っていた
2000年11月にシングル「Cry,just Cry」でデビューされてから、20周年イヤーを迎えている、シンガーソングライターのAIさん。アメリカで生まれ、鹿児島で育ったAIさんは、そのワールドワイドな感性と確かな実力で、国境をボーダレスに飛び越えて大活躍。
また、「Story」「ハピネス」「みんながみんな英雄」などの大ヒット曲を世に送り出し、これまでに3度のNHK紅白歌合戦出場、第59回日本レコード大賞・優秀作品賞を受賞するなど、AIさんの歌声は私たちの心に着実に届いています。
そんなAIさんが、2020年7月8日に、アニバーサリーミニアルバム『IT’S ALL ME –Vol.1』をリリースされるということで、お話をうかがいました。
ーーデビュー20周年ですが、これまでを振り返ってみていかがですか。
この20年はいろいろなことがありました。デビューした頃は自信に満ちあふれていたのですが、なかなか売れなかったり、ライブにお客さんが来てくれなかったりといったところから、ちょっとずつやってきた感じがあります。
ーー徐々にアーティスト活動に手応えを感じたのはどのようなときでしょうか。
ライブにお客さんが来てくれるようになって、そこから手紙をいただけるようになったときですね。「え! 私に手紙をくれるの!? これがファンレターだ!」と、すごくびっくりしました(笑)。でも、とてもうれしかったですね。ライブのあとに待っていてくれる人もいて、「サインください」と言ってくれて。私、サインないけどなあと思いながら署名して(笑)。なつかしいです。
最近は、普通にライブをさせてもらえるようになって、すごくありがたいと思っています。自分としてはこの20年間、毎日をなんとか過ごすので精一杯。それを繰り返していたら、気づくと20年も経っていたという感じですね。
ーーこの20年のなかで、安室奈美恵さんやEXILE ATSUSHIさん、The Jacksons、チャカ・カーン、最近では長渕剛さんといったそうそうたる面々とコラボレーションされていますね。
いろいろな方がいらっしゃいますが、コラボレーションするたびに、勉強になっています。みなさんに共通しているのは、「自分が本当にリスペクトしている人たち」ということですね。もしその人の曲が趣味じゃなかったら、コラボしていません。自分ではなく、コラボしてきたまわりの人たちがすごい人たちなので、それによって活かされてきた気がするんです。
■ 世界中の人々が仲良くなるよう、音楽でつなぎたい
ーー2020年7月8日に、豪華タイアップ曲や海外アーティストのフィーチャリング曲を収録した、アニバーサリーミニアルバム『IT’S ALL ME –Vol.1』をリリースされます。どのような思いを込めたアルバムですか。
もともとこのアルバムを作るときに、東京オリンピックの開催予定があって、世界各国から日本にさまざまな人が来ると思っていました。万が一、外国の方が私の曲を聴いたときでも「ウェルカム!」という気持ちが強くて、世界平和を目指して「人々が仲良くしてほしい、人と人を音楽でつなぎたい」というメッセージを込めて作ったんです。
国同士でけんかしたり、トップ同士が争っていたりしますが、私たちは仲悪くなりたくないじゃないですか。アルバムだと、3曲目「kokoro feat.jenn Morel,Joelii」はドミニカ出身の女性ラッパーと、5曲目「You Never Know feat.MJ116」は台湾のヒップホップグループといった海外のアーティストとコラボしていますが、それぞれいろいろなことがあっても、私たちは仲良くなれる。
世界に向けて、アジア人でも、白人でも、黒人でも、ヒスパニックでも関係なく、「言葉がわかりあわなくても、心で、音で、通じ合える」と思っていて。こういう曲は、これからもずっと作っていきたいですね。
ーー6曲目「僕らを待つ場所」は、映画『AI崩壊』(2020年公開)の主題歌となったバラードです。
“AI”崩壊なのに“AI”が歌うというのは、最初はギャグなのかな、どうしようかなと(笑)。映画は人工知能の話でしたが、主題歌は逆に人間味のある音楽にしたいと思いました。ミュージックビデオでも、いつもは感動を避けるのですが、この曲に関しては「泣きたいんです」と監督に言って、ドキュメントのように仕上がりました。レコーディングでもこの曲は感情的になって泣いてしまったので、その感動をみなさんにも味わってほしいなと。泣いてすっきりすることもありますし、そういう曲も必要だと思ったんです。
ーー1曲目の「ギフト」は、2020年4月24日に配信された新しい曲ですね。
もともとテレビ番組(TBSテレビ『王様のブランチ』のテーマソング)で流れることが決まっていたんですが、テレビはひとりで観ている人もいれば、夫婦で観ている人も、怒っている人も、幸せな人もいろんな人が観ますよね。だから、どんな人が観て、この曲を聴いても、気持ちがすっきりするものにしようと意識して作った曲です。
ーーイラストレーターのChocomooさんが手がけた「ギフト」のリリックビデオもあたたかい感じがしました。
Chocomooは最高なんですよ。彼女の絵で、パソコン同士がつながっていて、握手をしているイメージのものがあるんですが、コロナ禍で活動を自粛していたり制限していたりするいまの状況にぴったりだと思いましたね。
ーー今回、『IT’S ALL ME』の“–Vol.1”ということですが、今後も続くのですね。
ほかにもいい曲がいっぱいあるので1枚には収まらないのと、少しメッセージが違ったところもあるので、続いていく感じもいいんじゃないかと。“–Vol.1”も1曲ごとに大事に作っているので、曲数は少ないのですが、そのぶん曲をちゃんと聴いてほしいというメッセージもあります。
■ なるべくポジティブなものを発信したい
ーーAIさんを拝見していると、こちらまで元気になれるようなパワーやあたたかさを感じます。ご自身では、いつも前向きにいようと心がけていらっしゃるのですか。
お客さんや聴いてくれる人の前といった、外に発信するものは、なるべくポジティブなものにしようと意識しています。暗い気持ちは、家族や近い存在の人の前で出せばいいから。もしも外に自分の暗いテンションを出していっても、みんなからしたら関係ないことですよね。大変なのはみんなも一緒なので、メッセージなども前向きなものを心がけています。
ーー活動自粛や制限は解除されましたが、現在、AIさんはおうちでどのように過ごしていますか。
自粛、制限があったときは、買い物もひとりで行っていましたし、子どもが小さいので一緒に連れていって何かあってはいけないので、外に出ませんでしたね。感染しないようにということもありますが、もしも感染していて気づかずに私や夫が外に出て、たとえばテレビのお仕事で共演者にうつしてしまうようなことがあってもいけないから、いろいろと考えて過ごしています。自粛が解除されてからは、久しぶりに子どもと一緒に公園に遊びに行きました。
ーーおうち時間が長くなって、興味を持ち始めたことはありますか。
料理をどれだけ楽に作るかですね(笑)。もともと料理をすることが好きで、食材を切るのがストレス発散になるんです。どれだけ正確に野菜が切れるか、どれとどれを混ぜたら、どんな味になるかというゲームみたいだなと(笑)。料理をしているときは自分の時間になるので、楽しいですね。
あとはやっぱり、子育てですね。コロナ禍になる以前は、仕事で外出する機会も多く、集中して子育てできないところがあって、自分を正したいと思っていました。いまは1日の流れを見ながら、自分の性格も研究しながら、子どもと過ごしています。
以前はベビーシッターさんもいたし、一緒に外出するときは関係者の方に抱っこしてもらったりも。いまのように24時間、何か月も子どもと一緒ということはなかなかなかったので、とてもうれしいですね。
ーーそのお気持ちわかります! ところでAIさんはおしゃれなイメージがありますが、普段はメイクなどどうされていますか。
普段は全然メイクしないんですよ。この髪の毛も自分で染めました。いまの時期は、美容室に行くのもまだ控えようと思って、とりあえず自分でなんでもやろうと思っているんです。今回のミニアルバムのジャケ写も、全部自分でやりました。服だけ、スタイリストの方に持ってきてもらって着替えて、メイクも自分でして、準備して、撮影現場もカメラマンと私だけだったんです。
ーージャケ写でAIさんが抱えているものは何ですか。
“煙”なんです。下からワッと煙が出たときに写真を撮って、後から色をつけました。アートディレクターのとんだ林蘭さんからのアイデアです。パッと見たときに何かを抱きしめているイメージでインパクトがあるなと。自分だったら子どもがいるので抱きしめている感じもありますし、それぞれの人にとっての“大事なもの”を抱きしめるというイメージですね。
ーー今後の状況にもよるとは思いますが、11月からは全国ツアーの予定がありますね。
ツアーはやりたいですけどね、これがどうなるかはわからなくて。もしツアーができるとしたら、20周年ということで昔の曲もやって、ベストツアーのようにしたいです。いまライブハウスだと透明のカーテンで区切っていたりしますが、ホールツアーだとどうやって安全性を保つか。安心して来てもらえるようにして、楽しんでもらいたい。もし開催できたら、感動して大号泣しそうですね(笑)。
■ 取材後記
AIさんの力強い歌声と笑顔は、私たちを元気にさせてくれるパワーがあります。今回は、Zoomでインタビューさせていただきましたが、ひとつずつ丁寧にご対応してくださいました。アーティストとして、女性として、ママとして、誰もが応援したくなる魅力いっぱいのAIさんのニューミニアルバムを、まずはチェックしてみてくださいね。
AI PROFILE
アメリカ合衆国ロサンゼルス生まれ。鹿児島県鹿児島市育ち。ゴスペルクワイアーで鍛えた本格的な歌唱力、L.Aアートスクールで学んだダンスのセンス、完璧な英語、バイリンガルでラップもこなせるストリート感覚を持つ。アンダーグラウンドからオーバーグラウンドまで指示を得ている。
2000年11月、シングル「Cry,just Cry」でデビュー。2005年5月にリリースしたシングル「Story」が大ヒット。2009年9月、1stベストアルバム『BEST A.I.』はオリコンチャート1位を獲得し、名実ともにトップアーティストの座を確立する。その後も「ハピネス」、「みんながみんな英雄」などの大ヒット曲を世に送り出す。
これまでに3度のNHK紅白歌合戦出場、第59回日本レコード大賞・優秀作品賞を受賞。自身の生い立ち、バックボーンである“和”と“洋”の両極を掲げ奏でるのは、予定調和の聴き心地いい楽曲ではなく、新鮮な驚きと純粋な感動を与えるサウンド・メイキング。
2019年11月、デビュー20周年イヤーを迎え、20周年記念ベストアルバム『感謝!!!!! – Thank you for 20 years NEW &BEST -』を発表。2020年1月、シングル「僕らを待つ場所」、6月9日に「長渕剛 feat. AI『しゃくなげ色の空』」を配信リリース。7月8日、アニバーサリーミニアルバム『IT’S ALL ME –Vol.1-』を発売。9月から10月に予定していた7公演は中止・延期とし、11月3日から2021年3月14日まで、「AI 20周年記念全国ツアー」を開催予定。
■ Information
New Release
『IT’S ALL ME – Vol.1』
(収録曲)
01. ギフト
02. GOOD AS GOLD
03. Kokoro feat. Jenn Morel, Joelii
04. Summer Magic – Japanese Version
05. You Never Know feat. MJ116
06. 僕らを待つ場所
2020年7月8日発売
*CD収録内容は通常盤・初回限定盤共通
(通常盤)
UPCH- 20554
¥1,600(税別)
(初回限定盤)
UPCH- 29369(CD+DVD)
¥2,000(税別)
*初回限定特典ボーナスDVD付き。シングル曲MV+メッセージ&スペシャルメドレー映像。
【初回限定盤特典DVD】
1.「Summer Magic」Music Video 2.「You Never Know feat. MJ116」Music Video 3.「僕らを待つ場所」Music Video 4.「ギフト」 Lyric Video (feat. Chocomoo)
5.AI’s メッセージ&スペシャルメドレー (Stay Home Version)。
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