300年前の眉メイクテクも…! 江戸時代女子たちのリアルな日常
ananweb / 2020年8月11日 20時0分
六本木のサントリー美術館で、リニューアルオープン記念展I『ART in LIFE, LIFE and BEAUTY』がはじまりました。今展では、化粧道具や髪飾り、メイク指南書など、女子の心をがっちりつかんでくれるアート&工芸品が登場。その華やかな世界をレポートします!
■ 隈研吾デザインでリニューアル!
【女子的アートナビ】vol. 180
2019年の秋から改修工事のため休館していたサントリー美術館が、7月にリニューアルオープンしました。
まずは、改修工事後の新しいエントランスをご覧ください。受付カウンターは「水」をイメージしたもので、建築家の隈研吾さんによるデザインです。そもそも、この美術館の内装を設計したのも隈さん。なので、エントランス全体が調和のとれた心地よい空間になっています。
それでは、展示室に入ってみます。展覧会名にもなっている「ART in LIFE(生活の中の美)」とは、サントリー美術館の基本理念。1961年の開館以来、同館では絵画などの芸術作品だけでなく、日常生活の中で使われていた美しい調度品や道具なども収集し、公開していました。
リニューアル後初となる今展では、そのコレクションの中からセレクトされた「生活を彩る美しいものたち」が紹介されています。
■ 江戸時代のメイク指南書!
展示室では、「装い」「祝祭」「異国趣味」のテーマ別に着物や工芸品、絵画などが並んでいます。
まず注目したいのが、江戸時代の化粧道具。婚礼調度のひとつとして用意されたもので、漆地に平蒔絵が施されていてとても豪華です。
道具類を見ると、鏡や櫛、ブラシ類などはおなじみのものですが、珍しいのが「歯黒箱」。いわゆる「お歯黒」をするための道具です。
今は白い歯が当たり前なので、黒い歯なんて大昔の風習…と思ってしまいそうですが、お歯黒禁止令が出たのは明治になってから。ほんの150年前まで、成人・既婚女性などの歯は「黒」が主流だったのですね。
こちらは、『化粧眉作口伝』。上流階級の女性に欠かせない眉メイクテクが、図版入りでわかりやすく書かれています。眉を剃って、おでこの上部に黒い点のような眉を描く、あの「まろ眉」にもテクニックがあったのですね。
どの位置に、どんな濃度で眉を描けば自分が美人に見えるのか、真剣に研究したのかもしれません。江戸時代女子たちのメイク時間を想像してみるのも楽しいです。
こちらは、ヘアスタイルを図解したもの。明治維新後、西洋の女性たちの髪形に影響を受けた「束髪」が普及。日本髪に比べて手軽で、自分でも結えるということで、「イギリス結び」などさまざまなスタイルがあったようです。各図の上にある囲みも要チェック。鏡が描かれ、別の角度からの見え方もわかるようになっています。
■ 必見! リアルな戦国武将
今展では、古美術と現代作家による作品のコラボも見どころのひとつになっています。
例えば、桃山時代の伝・豊臣秀次所用《朱漆塗矢筈札紺糸素懸威具足》と同じケースに展示されているのは、現代美術家の野口哲哉さんが制作したリアルなミニチュア戦国武将。
単にビジュアルとして見るだけでもユーモアがあり楽しいのですが、作品のコンセプトを知ると、さらに興味が持てます。
サントリー美術館が所蔵する具足は、豊臣秀次伝来といわれていますが、歴史的資料の裏付けはないとのこと。制作年も桃山ではなく江戸時代という意見もあるいっぽうで、具足には実戦痕もあり、謎が残されています。
そんな経緯がある具足とコラボすることになった野口さんは、具足の伝来を推測して「木下利房」という武将を着用者と仮定。本作品《WHO ARE YOU~木下利房と仮定~》が誕生したそうです。
こちらは、17世紀の作品《賀茂競馬図屛風》との野口さんのコラボ。まるで侍たちが屏風に描かれている競馬を楽しんでいるようです。(※賀茂競馬とは平安時代より行われている神事)
ほかにも、現代美術家の山口晃さんや山本太郎さん、若宮隆志さんが出品。ウィットに富んだ現代アートと古美術のコラボは想像以上に刺激的です。昔の屏風や工芸品などにあまり興味がない人でも、きっと新たな楽しみ方を発見できると思います。
この展覧会は途中で展示替えがあります。ぜひ前期と後期、二回にわけて楽しんでみてください。会期は9月13日まで。
■ Information
会期 : ~9月13日(日)
時間 : 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日 : 火曜日(9月8日は開館)
入館料(税込): 一般¥1,500、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料
会場:サントリー美術館
※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
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