接戦の「アメリカ大統領選挙」 ポイントは“中国への姿勢”
ananweb / 2020年11月4日 17時0分
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「アメリカ大統領選挙2020」です。
対中国関係、経済政策が勝敗を分けるポイントに。
共和党のドナルド・トランプ候補vs民主党のジョー・バイデン候補で繰り広げられているアメリカ大統領選挙。選挙活動中にトランプ氏が新型コロナウイルに感染するなど、混乱もありましたが最後まで接戦が続いています。
選挙戦のポイントの一つは対中国。トランプ氏は中国に対して強い姿勢を示し、内政を固めようとしました。WeChatの禁止やファーウェイへの制裁、香港や新疆ウイグル自治区問題への抗議などです。一方、民主党は中国に対して親和的な立場。バイデン氏の次男がビジネスで中国と太いパイプを築いており、「国を中国に売るのか」とトランプ氏は激しく突いてきました。
この4年の間に経済が悪化していれば、現職の大統領は支持されないでしょうが、新型コロナにより少し落ち込んだとはいえ、アメリカの経済は堅調。「アメリカファースト」と、国内に工場を呼び戻し雇用を作り、国内で消費する政策が功を奏したため、経済界はトランプ氏の再選を願っています。これに対してバイデン氏が主に掲げているのは気候変動への対応や、人種差別への対抗などの大きなテーマ。大切な問題なのですが、明日の暮らしに直結するものではないため、有権者がそれを重要視するのかどうか。
日本にとっては、民主党政権下では貿易交渉が厳しくなると言われており、日本の財界は代々共和党政府を歓迎してきました。自民党政権ではアメリカと二人三脚で日米同盟を深化させ、米軍の負担を日本がサポートし、中国や朝鮮半島をともに牽制するという流れが続いていました。
トランプ氏は、フェイクニュースを流したり、人種・性差別など問題発言が多いですが、実はトランプ政権下ではアメリカはほとんど戦争に加担していません。アフガンから撤退し、北朝鮮の金正恩委員長と会談、中東でイスラエルとUAEの国交を実現させたり。「安定した社会でなければ、商売も安心して行えない」と、極めてビジネスマンらしい発想で動いています。結果はいずれにしても、共和党か民主党かではなく、人権や環境、SDGsに関わる価値観が“豊かさ”と考える大統領であってほしいなと思います。
堀潤 ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。
※『anan』2020年11月11日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
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