円満に見えるけど…離婚も修復もできない「仮面夫婦のシビアな現実」
ananweb / 2020年11月26日 21時0分
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、夫とケンカにもならないほど会話レスの34歳人妻。三松先生が、離婚でもなく修復でもない、仮面夫婦の新しい関係の築き方を伝授します!
文・三松真由美
【レスなひとびと】vol. 97
華江(34歳)夫婦喧嘩レスで円満に見えてるが内心ざわつく仮面夫婦
朝9時過ぎ、史彦が先に家を出る。リモートワークになってからは週2度の出社。華江はホッとして濃いめのコーヒーを淹れ、BON JOVIとQUEENのライブ動画を続けて大音量で流す。
「やってらんない。史彦と毎日顔つき合わせて同じ空気吸うのなんて…」
華江は、派遣社員をしているが現在は仕事が少なく休職中。自宅で翻訳の在宅ワークをしている。ネットで単発の仕事が見つかる、便利な世の中だ。と心でつぶやきながらも、熊のぬいぐるみをソファに投げつけ、「あたしは不便なんだよ!!」と叫ぶ。
史彦とは社内恋愛で結婚。5年目に突入。会話が少なくなったのは3年前のこと。史彦が高性能カメラを買って、写真に凝りだした頃。自然を撮りたいと、休日になると奥多摩や房総半島にカメラ抱えて出かけてしまう。最初のうちは華江も同行したものの、なんだか退屈。やがて史彦はひとりで自由気ままに出かけるように。
趣味の話は通じない、仕事の話も共通項がない。華江の好きなロックを史彦は嫌がる。史彦はチクリと嫌味を言うようになったのが不便な、寂しい生活の始まりだ。
「ロックなんて聴いてると心が荒れるぞ」
「僕の計画ではきみも僕と同じくらいの給料になって財布を別にする時期なんだけど」
「アメリカの政治の仕組みがわかってないの? 日本の制度はわかってんのか」
反論できない嫌味なので、黙っているうちに史彦は声をかけてこなくなった。夫婦喧嘩にもならない。圧倒的に史彦に分がある。給与、知識、実家の家柄。優勢な史彦に楯突いても無駄だと、華江は気持ちを閉じてしまった。
つまり夫婦喧嘩はまったくない。
それなのに、会社の同僚が遊びに来たり、マンションの自治会に参加するときの史彦の態度は別人だ。
「いやあ、華ちゃんが家事得意なんで、頭があがりませんよう」
「今度、華ちゃんをモデルに蓼科で写真撮ろうかと思ってます」
とういう具合だ。
「はあ? 二人のときは名前なんか呼ばないくせに」
華江は悟った。『仮面夫婦』という状態に。
ロック番組を見たあとは興奮しすぎてムラムラするが、もちろんセックスレス。セクシーな動画を流しながらむなしくひとりエッチ…。
生活費を使うときには遠慮しなくちゃいけないし、夫の留守中しかロックは流せないし、声かけていいタイミングがわからないし。そんでもって子どもはほしいし。
私達この先、どうなるの? 不便で寂しい仮面夫婦生活に、果たして光は差し込むのか。
【三松さんからのコメント】華江さん夫婦のような状況、我が国ではアルアル案件です。先日Abemaプライムに出演した時、“仮面夫婦”がテーマでした。番組リサーチでは2割と出ましたが夫婦仲相談を日々している私からすると、その倍の4割はいるっしょ、という感覚です。
会話も喧嘩もなくなって、淡々と暮らす二人。むなしくないのか、と周りは思いますが、結婚生活を継続するほうがメリットがあり、しかたないと考えるひとがいて当然です。経済面、子どものこと、世間体etc.。天秤にかけて結婚継続をチョイス。
華江さんも、本心は現状打破したいと悩んでいます。もちろん、仲良し夫婦に戻るのが一番安泰。しかし、こじれた関係、薄れた愛情の復元はかなり難しい。
元に戻るというより、「新しい関係を作ろう」と動くのが正解かなと思うのです。
お互い頼りたいところを整理して、そこは頼る。家事も5割ずつでなくていいので、7割3割で分担する。週一回は、昔行った店で外食する。こんなルール作りを提案するだけで、風の流れが変わります。
ニューノーマル志向の世の中。仮面夫婦かな、と感じてる方々は仮面夫婦なりの新しい関係を編み出そうというのが私のアドバイスです。
「仮面夫婦の行く末は熟年離婚か、わびしい老後。気づいた時に大きく舵を切るべし。ニューノーマルの動きを発揮するのは今だ!」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。
©fizkes/Gettyimages
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