色気に“上目遣い”は必要なし! ドキリとさせられる仕草とは?
ananweb / 2020年11月18日 19時10分
2020年の“色香”とは? 一流の女優や文化人など、女性を数多く撮影している、写真家の下村一喜さんが語ります。下村さんは、ここ数年、カメラの前の女性たちが放つオーラに、変化を感じているそう。
失敗を経験して、のみ手に入る、キャパシティの広さが色香を生む。
「“私はこういう人間です”と、ご自身の意思をより強く前に出す方が増えている印象があります。女はこうあるべきとか、色っぽい女はこう、というような呪縛から、女性たちはどんどん解き放たれているのでは。写真家として、そんな女性を撮影するのはとても楽しいし、出来上がった写真もとても素晴らしいものになることが多いです」
好きな仕事を選び、自分らしく生きることができるようになってきた今の日本の女性たちにとって、男性に媚びを売るような、“上目遣いの色気”はもはや必要ない、と下村さん。
「人生が長くなり、それに伴って大人として生きる時間も延びている。自分を装い、男に都合の良い色気を演じて生きるよりも、本当の自分をさらけ出す人生のほうが生きやすいということに、女性が気付いたのでは、と思っています。もちろんそこには社会の成熟もありますが、経済的に厳しい状況になっていく中で、男性側も、共に支え合い、歩んでいけるような相手を選ぶように、変わってきたというのもある。そんな中で、これからの時代に求められる大人の女の色香とは、優しさと気遣い、そして包容力だと思います。でもそれは、昭和と平成に男が喜んだ、男を立てるような媚びや、自分を弱く見せる演出をするでもなく、もっと人間的なキャパシティの広さのこと」
女性を恋愛相手として見ている人が女性が放つ色気を察知すると、“セックスできるんじゃないか?”と思う、というロジックは、今も昔も変わらない。
「でも今は男性側も変わってきている。露出した胸元を見てそれを感じるというよりも、優しさや気遣いに触れ、それが心に染み入ることで、自分を受け入れてくれるかもしれない…、だから抱きたい、抱かれたいと思う…というように変化してきた気がするんです」
ではその、キャパシティの広さという色香は、どうしたら身につく?
「そのためには、自分を限定せず、たくさんチャレンジをし、失敗を含め色んな経験をすること、でしょう。それにより人への共感力が生まれ、共感力が身につけば自ずと想像力も育まれる。相手のことを考え優しさを発揮できる人に、心を掴まれ、惹きつけられる。それこそが、大人だからこそ持てる色香なのでは」
新しい生活様式の中で暮らす今、人と会える機会は数少ない。そこで確実に色香を残すのは、実は案外と難しい。
「色香をいつ、どうやって使うかは、知性がなければ判断ができません。その知性も、経験がないと手に入らない。これから大人になるという世代の皆さんは、失敗を恐れず、いろんな経験をしてほしいです。それがあなたの中にある、人を受け入れる許容範囲を広げ、色香を生み、さらにその色香の使いどころを判断する知性を学ばせてくれる。傷つくことを怖がる人に、色香は身につきませんよ」
しもむら・かずよし 1973年生まれ、兵庫県出身。数々の名女優のポートレートを撮影。著書に『美女の正体』『ウーマン』(共に集英社)などが。
※『anan』2020年11月25日号より。イラスト・micca
(by anan編集部)
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