新型コロナワクチン、打っても大丈夫? 注意したいリスクとは
ananweb / 2020年12月30日 19時0分
新型コロナウイルス感染症の登場によって翻弄された2020年。生活様式もすっかり変わりました。今後の社会はどうなるのか? 運命を拓くために、社会情勢を知ることは必須。堀潤&五月女ケイ子が検証します。
afterコロナ? or withコロナ? 2020-‘21の最大の課題を考える!
堀:‘20年は新型コロナウイルス一色でしたね。
五月女(以下、五):仕事柄、普段から家に籠もっているので、生活自体はあまり変わらないけど、外に出るのが怖くなっちゃいました。
堀:緊急事態宣言が出たときは、法律に縛られたわけではないのに、みんな自粛して、あんなに人のいない渋谷や新宿を初めて見ました。見事に足並みが揃った。日本人らしさを発揮しましたね。
五:ハロウィンもみんなおうちで過ごしていたみたいですし。
堀:オンラインでアバターで参加とかね(笑)。強権と言われた前安倍政権でも、スペインのように自粛中に外出したら逮捕とか、韓国のように行動をGPSで追跡するなんてことはしなかった。接触確認アプリCOCOAを開発しましたが、必要最低限の情報だけ収集。日本の民主主義は国家権力に慎重姿勢だということが再確認できました。しかし、冬を迎え、再び緊張した状況に。正念場ですね。
五:世界中が同じ状況になること自体が初めて。コロナ対応が国によって全然違うのも興味深かったです。ところで、ワクチンって、いつごろできそうなんですか?
堀:ワクチンの開発(注1)は、通常では早くても3~4年はかかってしまうんです。副反応、副作用がないか、実証を得るまでに時間がかかります。ただ、開発にイノベーションが起きて、ウイルスのデータ解析に基づく机上の計算でできるようになりました。また、承認手続きを簡略化し、開発までの時間を短縮化するという国際的なコンセンサスも得られました。中国がいち早く開発に成功したのですが、安全面には課題が残っています。アメリカのファイザー社とドイツのビオンテック社が開発したワクチンは95%、アメリカのモデルナ社のワクチンは94%の有効性があると発表されました。イギリスのアストラゼネカ社のものは、たやすく保存でき、コーヒー1杯分(4ドル程度)で一回打てるようになるのではないかといわれています。
五:うわあ。それは嬉しい!
堀:イギリスでは早くも12月頭にファイザー社のワクチンを承認しましたし、アメリカでも緊急使用許可を申請しています。これらの発表は、メッセージ性のほうが強いのだと思います。「ワクチンがある」という安心感が人を動かしますよね? ただ、ワクチンはリスクゼロではありません。投入を急げばリスクは高まるし、安全性を求めると投与に時間がかかってしまいます。日本の国会では、ワクチンをどう承認し、深刻な副反応、副作用が出た場合の対処法などを協議しています。こうした動きは、きっと常態化していくのでしょう。
五:常態化というと?
堀:新型コロナの話は、いってみれば「シーズン1」で、別の新しいウイルスが「シーズン2、3」として登場するでしょう。そのたびにワクチンを即座に開発し投入が迫られる。どんな速さでその戦いを迎え撃つのか。タッチアンドゴーのような訓練がこれから続いていくんだと思います。
注1「ワクチンの開発」
新型コロナウイルスのワクチンは、中国のシノバック社がいち早く開発したものの、試したところブラジルで副反応が見られ、採用を中止に。イギリスのアストラゼネカ社のワクチンは平均で90%の効果があったと発表。他のワクチンは専用の冷蔵施設が必要なのに対して、これは一般的な温度での保管が可能なため、安価なワクチンを全世界に供給できるのではと期待されています。ワクチン開発では現段階では中国勢の分が悪い。ワクチンの主導権争いで欧米が勝てば、これまでの中国の一帯一路構想に水を差すことになり、中国になびいていた開発途上国や新興国を欧米勢に組み入れる大きな転機になりそうです。
堀 潤さん 1977年生まれ、兵庫県出身。ジャーナリスト。監督したドキュメンタリー映画『わたしは分断を許さない』が公開中。同名著書も刊行。ほかに『堀潤の伝える人になろう講座』等。
五月女ケイ子さん 1974年、山口県生まれ、横浜育ち。イラストレーター。WEBサイト「五月女百貨店」では、‘21年のカレンダーほか、楽しいグッズが絶賛販売中。
※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。イラスト・五月女ケイ子 取材、文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
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