今しか見られない! イギリスで最も愛された画家の「超人気作」
ananweb / 2021年3月17日 19時0分
東京・丸の内の三菱一号館美術館で、イギリスを代表する画家、コンスタブルの大回顧展が開かれています。日本では35年ぶりとなる本展では、イギリスのテート美術館から多くの貴重な作品が来日。見逃せない傑作と会場の様子をご紹介します!
どんな展覧会?
【女子的アートナビ】vol. 196
『テート美術館所蔵 コンスタブル展』では、19世紀のイギリスで活躍した画家ジョン・コンスタブル(1776-1837)の風景画や肖像画などの油彩画や水彩画、素描が集結。
さらに同世代のライバル画家J.M.W.ターナー(1775-1851)や他の画家たちの作品も含め、全85点の作品が紹介されています。
これらの展示作品のうち、60点がテート美術館から来日。コロナ禍の影響で、最近は海外から貸し出された作品を見る機会が少なくなっているので、本展はとっても貴重。コンスタブルとターナーが対決したといわれる展示会を再現した部屋もあり、見どころ満載の内容です。
コンスタブルって?
コンスタブルは、イギリス南東部にあるサフォーク州で製粉所を経営する家の第4子として誕生。16歳で家業の手伝いをはじめ、1799年、23歳のときに両親の許しを得てロンドンのロイヤル・アカデミー美術学校に見習い生として入学します。
ちなみに、のちにライバルとなるターナーはすでに14歳で同美術学校に入り、26歳のときにロイヤル・アカデミーの正会員になっています。
コンスタブルもロイヤル・アカデミー展に出品し、正会員になることを目指しますが、なかなか高い評価を得られません。彼は故郷など自分の愛する土地を描いていたのですが、当時、絵画の格付けは歴史画や肖像画が上位レベルで、風景画は格下扱いされていました。
コンスタブルは肖像画を描いて収入を得ながら、風景画の制作にこだわり続け、1829年、53歳でようやくロイヤル・アカデミーの正会員に選出されました。
12歳の少女と出会い…恋に落ちる!
会場に入って最初の部屋に展示されているのは、コンスタブルの自画像や家族の肖像画。ひときわ目立つのが、女性の肖像画です。
小さな作品ですが、斜め45度のお顔がとにかく美しい! 少しうるんだ大きな瞳とかわいらしい巻き毛、お肌はハリがあってツヤツヤしています。モデルはコンスタブルの妻、マライア。この絵は結婚する3か月前に描かれたとのこと。作品から、妻への愛情がビシビシ伝わってきます。
ふたりは1800年、コンスタブル24歳、マライアが12歳のときに出会い、その後恋に落ちますが、彼女の家族に反対され、なかなか結婚できませんでした。1816年、コンスタブルが40歳のときに彼の父親が亡くなり遺産を相続。経済的に自立したことで、この年、ようやくふたりは結婚しました。
ターナーと対決!
本展で見逃せないのは、コンスタブルとターナーの対決を再現した展示室です。1832年に開かれたロイヤル・アカデミー展で、彼らの作品は並んで展示されました。
コンスタブルの作品は、ナポレオンに勝利した「ワーテルローの戦い」を記念する橋の開通式を描いたもので、サイズも大きく、色彩も鮮やかです。
いっぽうターナーの作品は、シンプルな海景画でサイズもそれほど大きくなく、寒色系ですっきりとまとめられています。
このふたりの対決には、おもしろい逸話が残されています。
負けず嫌いの性格で知られるターナーは、華やかなコンスタブル作品のほうが注目されるのではないかと心配し、自作をより目立たせようと画策。開幕前の最終手直し期間に、鮮やかな赤色の塊(ブイ)を絵の前景に描き加えました。後日、コンスタブルは「ターナーはここにやってきて、銃をぶっ放していったよ」とこぼしたそうです。
二作品が並んで展示されるのはロンドン以外では初めてとのこと。ぜひ、この空間でふたりの作品を見比べてみてください。
神々しい…! 最晩年の人気作
最後にご紹介するのは、《虹が立つハムステッド・ヒース》。中央に風車が描かれ、コンスタブルが得意とした表情豊かな空に美しい虹がかかっています。
この絵の主題は収集家の間でかなり人気が高かったとのこと。神々しい光が差し込む描写も美しく、作品の前に立つと心が洗われていくような感じがします。
本作品は、コンスタブルが亡くなる前年に描かれました。イングランドの美しい風景を描き続け、イギリス人に最も愛された画家が最晩年に描いたこの傑作は、最後の展示室にあります。ぜひ、ゆっくりとご覧になってみてください。
会期は5月30日まで。
Information
会期 : ~5月30日(日)
時間 : 10:00〜18:00 ※入館は閉館の30分前まで ※緊急事態宣言発令中の夜間開館は中止
休館日 : 月曜日(※ただし、祝日・振替休日の場合、会期最終週と3月29日、4月26日は開館)
入館料(税込): 一般¥1,900、大学・高校生 ¥1,000、中学生以下無料
会場:三菱一号館美術館
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