イライラ、ソワソワ増殖中!…「季節の変わり目の体調不良」簡単な改善法 #98
ananweb / 2021年3月4日 18時30分
春に向けて、“三寒四温”の季節になりました。漢方薬剤師の大久保愛先生いわく、この時期は気温差に体がついていけず、自律神経のバランスが乱れて、1年を通して最も不調を感じやすいのだそう。そこで、愛先生が心身の不調を改善する簡単な方法をお伝えします!
3月は体が最も不調を起こしやすい
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 98
ここ最近、気温が上がり、雨が降り、また寒くなりと不安定な天気が続きますよね。今後も低気圧と高気圧が周期的に通過するようです。3日周期でくずついた天気がやってくるようで、三寒四温で体は忙しい1か月になりそうです。
人の体には、ホメオスタシス(恒常性)といって体を一定に保つ機能があります。それなのに、春に向けて暖かくなったり、寒くなったり、雨が降ったり、気圧の変化があったりと、3日と同じ気候を保つことができなくなってきています。
体を一定に保つためには、神経系、免疫系、ホルモン系の3つがお互いに連携しあうことが必要です。ただ、日頃から自律神経が乱れやすかったり、抵抗力が弱かったり、生理不順があったりするとさまざまな不調を感じやすくなります。
実は、3月は、1年でも最も体調不良を起こしやすい月といわれているほどです。そこで、3月がはじまった今、体を整え季節の変わり目に体調不良を起こさないための食薬習慣を紹介したいと思います。
今週は、抵抗力が低下しないための食薬習慣
晴れの日が続いたかと思うと寒い日が訪れて…を繰り返していく3月に突入しました。今年も気候の変化が少し安定する暖かい桜の時期を待ち遠しく感じます。桜の時期は、何か楽しく明るい出来事が起こるんじゃないかなと少しワクワクしますよね。でもワクワクだけじゃなくイライラ、ソワソワとネガティブな思考も入り混じってしまう人も多いのではないでしょうか。
これは気候の変化によって生じる自律神経の乱れから来る感情の変化かもしれません。少し迷惑な春の風物詩でもありますが、体を支える要因は神経系、免疫系、ホルモン系の連携です。なので、自律神経の乱れは免疫の低下やホルモンバランスの乱れにもつながり、さまざまな不調を感じさせてしまいます。これを漢方で、「肝血虚」とよびます。
そこで今週は「肝血」を補い免疫の低下やホルモンバランスの乱れから不調を感じないようにするための食薬習慣です。食べるとよい食材・メニューは、【牛肉と春キャベツの味噌炒め】です。
食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:牛肉と春キャベツの味噌炒め】
春キャベツは、秋に蒔いたもので、早いところで2月中旬から採れ始めるようです。ちょうど美味しいキャベツも増えてきているころだと思います。そこで、春野菜と共に栄養たっぷりの牛肉を発酵調味料のお味噌で味つけ、炒め物にしてみてはいかがでしょうか。
牛肉
部位的には、脂質の少ないヒレやももがおすすめです。栄養素としては、抵抗力を強化し自律神経を整える「血」を補う、タンパク質、鉄、ビタミンB群も豊富です。代謝を上げるカルニチンやメンタルを整えるセロトニンも含まれているので心身ともに強化してくれます。
味噌
春に向けてダメージを受ける機会が増えると言われる「肝」の働きを助けるコリンという成分が含まれています。また、大豆からできているのでイソフラボンやビタミン、ミネラル、アミノ酸など栄養が豊富です。なにより、発酵調味料にはタンパク質を柔らかくする働きがあるので、美味しく調理できることも良いところです。たとえば、味噌以外にも塩麴や醤油麹、お酢などにお肉を漬け込んで下味をつけるのもよいですね。
お肉をお好みの発酵調味料に漬け込みひと晩おいて、クッキングシートに包んで蒸し焼きやレンチンするのもおすすめですよ。大葉やバジル、ミョウガ、ブロッコリースプラウト、パクチーなど香りの強い野菜を添えて食べるとアクセントになりますし、香り高い野菜には抗酸化作用がありさらにGOOD。
ほかにも、免疫力をアップするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。
月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。
つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。
Information
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。
©Igor Ustynskyy/Gettyimages
©fizkes/Gettyimages
©katiafonti/Gettyimages
文・大久保愛
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