カエルはなぜウサギに勝てた? 「国宝 鳥獣戯画」じわじわくる意外な謎
ananweb / 2021年4月30日 19時0分
カエルやウサギなどのキャラクターが超かわいい国宝「鳥獣戯画」。その全巻全場面を一挙に見ることができる注目の展覧会が4月13日、上野の東京国立博物館ではじまりました。会場では絵巻の流れを体感できる“動く歩道”も導入。展示の様子から楽しいグッズまでたっぷりご紹介!(※緊急事態宣言の発令により4月25日から当面の間、東京国立博物館は臨時休館中です)
はじめての一挙公開!
【女子的アートナビ】vol. 204
特別展『国宝 鳥獣戯画のすべて』では、日本でもっとも有名な絵巻、国宝「鳥獣戯画」の全4巻全場面を展覧会史上はじめて一挙に公開。これまで行われていた絵巻の巻き替えによる展示替えがなくなり、会期中、通期ですべての場面を見ることができます。
「鳥獣戯画」とは今から800年ほど前の平安時代終わりから鎌倉時代のはじめごろにかけて描かれた白描(はくびょう)の絵巻。一般的な絵巻は「絵」と物語の筋や説明を記した「詞書(ことばがき)」で構成されていますが、鳥獣戯画では詞書がないのが特徴のひとつ。擬人化された動物や人間のさまざまな行動が躍動的に表されています。
誰がどんな目的で描いたのかなど詳細については謎の部分が多いのですが、この絵巻は京都の高山寺に伝わる宝物で、1952年に国宝指定されています。
また、会場では鳥獣戯画の一部が切り離され、掛け軸などに仕立て直された断簡や、原本で失われた場面を記録した模本、さらには高山寺の秘宝も展示。まさに鳥獣戯画のすべてをまとめて楽しめる展覧会です。
動く歩道で絵巻体験!
本展の目玉は、なんといっても絵巻を一気に見られる点です。2015年に「鳥獣戯画」が公開されたときは前期と後期にわけられて、巻の一部は複製品の展示になっていたのですが、今回は原画ですべてのストーリーを追うことができます。
しかも、ウサギやカエルが登場する一番人気の甲巻部分には動く歩道が設置されています! 昔の人たちが絵巻をゆっくり開きながら作品を楽しんだのと同じ感覚で、右から左へと流れるように作品を鑑賞できます。
動く歩道に乗り、絵巻を一気に見られるのはうれしいのですが、じっくりストーリーを追うことは難しいかもしれません。そこで、本記事では甲巻の名場面をピックアップしてご紹介します!
鼻つまみダイブ!
まずはサルとウサギたちが水遊びしている名場面をチェック。ここでは、ウサギが背中からダイブする瞬間を描いた部分(画像右上)を見てください。岩の先端に後ろ向きで立ち、右手で鼻をつまみながら今にも水の中に飛び込みそうな雰囲気。実にリアルでかわいいです。
カエルとウサギがサルを追いかけている部分も名場面のひとつ。「こら、待て!」と声まで聞こえてきそうなほど生き生きとした描写です。
相撲で反則勝ち?!
カエルとウサギが相撲をとっている場面もかなり有名です。ウサギを投げ飛ばしたカエルの口元から線が何本か引かれていて、まるでセリフのよう。
ちなみに、ウサギを投げ飛ばす前、取っ組み合いの最中にカエルはウサギの耳に思いきりかみついています(上図右端参照)。この反則(?)のあと、弱ったウサギを投げ飛ばしてカエルは勝利。ちょっとズルいですね。
鳥獣戯画は詞書がないので、いろいろ想像力を働かせながら見ることができます。絵を見ながらセリフを考えてみても楽しそうですね。
本記事では甲巻に注目しましたが、各巻それぞれ見どころがあり、また会場に行くとパネル解説で詳細を知ることもできます。甲巻以外は動く歩道ではないので、解説なども見ながらご自分のペースでご覧になってみてください。
また、展覧会の最後では、高山寺を再興した鎌倉時代の僧、明恵(みょうえ)上人の等身大木像や、かわいい子犬の像なども展示。高山寺の名宝を通して、明恵上人の魅力も伝わってきます。
グッズも盛りだくさん!
ミュージアムショップでは、ウサギやカエルをデザインしたさまざまなグッズが勢ぞろい! バッグやマスキングテープ、お菓子など、どれも味わいがあってかわいいです。グッズ狙いの方はお早めにお出かけください。(※会場ショップで売り切れの場合があります)
なお、この展覧会は事前予約制になっています。最新情報は公式サイトでご確認ください。
Information
※緊急事態宣言の発令により4月25日から当面の間、東京国立博物館は臨時休館中です
会期 : ~5月30日(日)
会場 : 東京国立博物館 平成館
開館時間 : 9:00~19:00
※総合文化展は9:30~17:00
※「鳥獣戯画 甲巻」の待機列には18:30分以降はお並びいただけません。
休館日 :月曜日 ※ただし、5月3日(月・祝)は開館
観覧料 : 一般¥2,000、大学生¥1,200、高校生¥900、中学生以下無料
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