“夫婦同姓”を疑問視…心地よく、共に生きていくための“選択結婚”
ananweb / 2021年7月16日 20時10分
今年、事実婚を発表したharu.さんとTaiTanさん。選択的夫婦別姓への議論が起きている今、二人もまた、この制度に疑問を抱き、話し合ってきました。その過程と心持ちにフォーカスします。
既存の枠組みに当てはめない“選択結婚”
二人らしく、心地よく共に生きていく選択。
――おふたりの関係性の中で“結婚”という言葉が出たのは?
haru.:私から?(笑)
TaiTan:コロンと横になっている時に、僕がポロッと話した気がします。haru.の反応も、そうねーって(笑)。それで合意がとれた感じです。
haru.:そうだったね。最初は法律婚も視野に入れていたけど、「姓を変えるのは女性ばかりだよね」って話になって。彼が私の姓になる案も考えながらも、なかなかしっくりこなくて。でも結局は私たちの関係のことだから、二人が一番心地よいかたちを選べればいいと思って。事実婚については、誰かの実体験を聞くより、弁護士や専門家が書いている記事を読んで私たちなりに調べました。弁護士さんによっては事実婚の証明書を発行したほうがいいという意見もありましたが、いま私たちは一緒に暮らしているわけではないので、証明書も作っていないんです。
――別姓でいることが事実婚を選んだ大きな理由なのですね。
haru.:そうですね。私にとっては、事実婚も普段の色々な選択をしていくのと同じで、二人でどうやって生きていくかを選んだ感覚です。結婚をしたらひとつの姓を選ぶことに「なぜ?」という疑問がずっとあったし、結婚はひとつの証明のようなものだと思いますが、社会の決められた枠組みに自分たちを当てはめなくても、私たちの関係性で結婚を証明することができるのではないかと思って。周りにも同じように疑問を持っている人が多くいるので、そういう人に対しても、これが正しいというより、こういう二人の在り方があってもいいよね、と伝えられたらと思っていました。
TaiTan:僕らの知人で、お互いにすごくリスペクトし合っていて仲の良いカップルがいるのですが、結婚したことで唯一しこりが残っているのは名字が変わったことだと話していて。「誰のための選択だったんだろう?」という疑問が、選択してから今日に至るまで、うっすらと自分を支配しているという話をしてくれました。その言葉が僕には効いて。そういう思いを僕らが背負うのはすごく嫌だと思ったのは大きかった。
――事実婚を選んで、今の時点で違和感を覚えることは?
haru.:この前、いま何か課題はあるかな? って話したけど、何もないね、で終わった(笑)。
TaiTan:ないね。当然このあと子どもを持つことや、生活の変化の中で出てくると思いますが。
――自分たちの選択をどのように伝えていきたいですか?
haru.:私は、もともと恋愛ドラマや映画にときめくこともなく、結婚するからといって『ゼクシィ』も読まない。学生の頃から自分は周りとちょっとズレてるのかなと思ってきたけど、同じように日常の色々なことに違和感を抱いている人は多くいると思います。常識とされていることにはまらなくても、それを曲げる必要もないし、自分が思うままでいいと感じてもらえたらいいですね。自分の中にあったものをひとつ肯定されることで、前に進めると思うので。
TaiTan:僕も同感です。事実婚の選択に関して旗振り役になるつもりもないし、聞かれたら話させてもらうくらいの感覚です。それよりも、僕たちが信じていることを実践して、成立している事実を見てもらうことができたらいいなと。そのほうがよっぽど、社会の“こうであるべき”という枠を拡張していくことができるんじゃないかなと思っています。
せんたく・けっこん…二人が納得できる、結婚のかたちを考えていく。
夫婦同姓が原則である日本の婚姻制度。世界でも日本だけというこの制度に対して様々な動きがある中で、法的に入籍をせず、夫婦関係を築いていく事実婚も選択肢の一つとして注目されている。法律婚、事実婚などパートナーシップの在り方が多様化している今、自分たちにフィットする結婚のかたちを模索する動きが活発に。
haru.さん(写真右) 1995年生まれ。インディペンデントマガジン『HIGH(er)magazine』編集長。2019年に「株式会社HUG」を立ち上げ、コンテンツプロデュースなど様々な活動を行う。
TaiTanさん(写真左) ラッパー。ヒップホップグループDos Monosのメンバー。雑誌のクリエイティブディレクションや、Podcast番組「奇奇怪怪明解事典」を配信するなど多方面で活躍中。
※『anan』2021年7月21日号より。写真・村上未知 インタビュー、文・菅原良美(akaoni)
(by anan編集部)
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