ファッション界の裏側をドキュメンタリーで覗き見…おすすめ映像4選
ananweb / 2021年9月11日 18時10分
アートの裏側を覗き見る、クリエイター密着ドキュメンタリー。多くの人を魅了するクリエイターやファッションをピュアに楽しむ人々。彼らを知ることで人生の喜びを捉え直す。
きれい、だけじゃない。クリエイター魂の叫び。
写真を通じて、ファッションの楽しさを発信するシトウレイさんもドキュメンタリーファンの一人。
「ファッションはイメージが大事な世界だから、クリエイターの“白鳥の水かき”の部分はほとんど見せてくれません。ましてや当事者から語られることはほぼない。その点、ドキュメンタリーはクリエイター自身が驚くほどストレートに自分の考えやその時の状況を話してくれる。それによって違った視点で彼ら/彼女らの作品を捉え直すことができます」
映し出されるのは、“きれいなもの”だけではない。
「ため息が出るほど美しいものの裏側には作り手の壮絶な悲しみや苦しみがあり、コンセプチュアルで難解なクリエイションは“実はハプニングで生まれた”なんて驚きもあったりする。舞台裏にあるトラブル、苦労の裏にある信頼など、普段は見られない瞬間がほとばしるところを間近に見られることが、ドキュメンタリーの魅力」
作り手の心に迫ることで、ファッションとの関わり方にも変化が。
「クリエイションの背景を知ることは、小説でいう“行間を読む”ことだと思うんです。つまり、見た目のかわいさや世間の評判だけじゃなく、手に取ったアイテムに思いを馳せることができるようになる。ドキュメンタリーによって、デザイナーを身内のように感じられるというか、心理的距離が自ずと近づくような気がします」
美しさを求めて街を歩く。ストリートスナップの元祖。
『ビル・カニンガム&ニューヨーク』
ニューヨーク・タイムズ紙の名物写真家ビル・カニンガム。彼はいつもブルーのユニフォームを身にまとい、有名無名問わず、琴線に触れた人々を街角で撮影していた。そんなファッションを心から愛し、そして、多くのファッショニスタから愛されたビルの生い立ち、私生活に迫る貴重な作品。
「どんな信念を持ってストリートスナップを撮っていたのか、被写体の基準、そして、実際にどういうふうに撮っているのか。一匹狼でプライベートは謎に包まれていた、ビルの頭の中を垣間見ることができます。“おしゃれである、とはどういうことか”が、この作品を見るとわかる!」
監督:リチャード・プレス 2010年/各種レンタル配信中 ©2010 The New York Times and First Thought Films
サクセスストーリーに秘められた光と影。
『マックイーン モードの反逆児』
23歳で失業保険を資金にファッションデザイナーとしてデビューし、瞬く間に成功を収めた、アレキサンダー・マックイーン。順風満帆な生活を送っているように見えた彼は突然、富と名声の絶頂で自ら命を絶ってしまう。彼は一体どんな人物で、どのようにして成功し、なぜ燃え尽きてしまったのか。
「モードの反逆児であり、ファッションの寵児だったマックイーンが生み出す息を呑むほど美しい感動的なクリエイション。その陰で彼がどれほど苦悩していたかがヒリヒリするほど伝わってくる。クリエイションに本気で向き合うということは、“生”を削ることなのだと教えてくれます」
監督:イアン・ボノート、ピーター・エテッドギー 2018年/Blu-ray¥5,280 DVD¥4,290 発売元:キノフィルムズ/木下グループ 販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング ©2018 A SALON GALAHAD PRODUCTION. ALL RIGHTS RESERVED.
ファッションの女王のロックな生き様を描く。
『ヴィヴィアン・ウエストウッド 最強のエレガンス』
数々の伝説を生み出してきたデザイナー、ヴィヴィアン・ウエストウッドを3年にわたり密着。「過去の話は退屈よ」と前置きをしてから、自身の波瀾万丈な半生についてゆっくりと語り始める。ファッションウィーク前夜、「こんなクズ、ショーに出せないわ」と言い放ち、ヒヤヒヤする場面も。
「ファッション好きならヴィヴィアンにかぶれなかった人はいないはず! とはいえ彼女がどんな人なのかを知ることはあまりない。この作品では彼女の自然体の姿を見ることができ、こんなに素直でまっすぐな人なんだという発見も。クリエイションの激しさとのギャップに驚き、改めて尊敬します」
監督:ローナ・タッカー 2018年/DVD¥5,170 発売・販売元:KADOKAWA ©VWI FILMS LTD 2018. All rights reserved.
稀代のファッショニスタが教えてくれること。
『アイリス・アプフェル! 94歳のニューヨーカー』
1950年代からインテリアデザイナーとして活躍し、今も多くの有名デザイナーたちからリスペクトされ、NYのカルチャーシーンに影響を与え続けるファッショニスタ、アイリス・アプフェル。彼女は類稀なるセンスをどうやって身につけたのか。本人の格言やセレブらの証言から知られざる姿に迫る。
「メゾンのコレクションピースから1ドルほどのチープなアイテム、美術館収蔵レベルの民族衣装から若手のアップカミングブランドのアイテムまで。ジャンルも年代もテイストも値段も、ましてや有名かどうかだなんて彼女には一切関係ない。フラットな視点でファッションを選ぶ方法が追体験できます」
監督:アルバート・メイズルス 2014年/DVD¥5,170 発売・販売元:KADOKAWA ©IRIS APFEL FILM, LLC.
シトウレイ フォトグラファー、ジャーナリスト。ストリートスナップからコレクション取材まで独自の観点でファッションの現在を映し出す。写真集『STYLE on the Street:from TOKYO and Beyond』(Rizzoli)ほか、YouTubeチャンネルも人気。
※『anan』2021年9月15日号より。取材、文・浦本真梨子
(by anan編集部)
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