日本が大好き…! ゴッホが日本美術から影響を受けた“美しい絵”が来日
ananweb / 2021年9月29日 18時30分
東京都美術館で『ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』が開かれています。本展では、オランダのクレラー=ミュラー美術館のコレクションから選りすぐりの作品が来日。さらにファン・ゴッホ美術館からの特別出品作もあり、あわせて52点のゴッホ作品が展示されています。16年ぶりの来日となる糸杉の傑作や、日本美術から影響を受けた美しい作品《草地》もご紹介!
ゴッホをメジャーにした女性、ヘレーネ
【女子的アートナビ】vol. 223
本展のタイトル『ゴッホ展──響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』にあるフィンセントとは、画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)のこと。では、ヘレーネとはいったい誰でしょう?
ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)は、ゴッホ作品における世界最大の個人収集家で、クレラー=ミュラー美術館の初代館長をつとめた女性です。まだ世の中であまり知られていなかったゴッホの作品を1908年から集めはじめ、90点以上の油彩画と約180点の素描・版画を収集しました。
東京都美術館学芸員の大橋菜都子さんによると、ゴッホの作品に高い精神性を感じたヘレーネは、自ら楽しむためではなく、同時代の人々や後世の人にも芸術を伝えていくというビジョンをもって作品を購入。収集するだけでなく、公開・継承することでゴッホの評価形成に大きな役割を果たしたそうです。
日本の芸術家に憧れて…
では、いくつか展示作品をピックアップしてご紹介していきます。
まずは、日本が大好きだったゴッホが、日本美術などからインスピレーションを受けた作品《草地》。春の花が咲く草地を描いた明るく美しい油彩画です。
ゴッホは、「ただ一本の草の芽を研究する」日本の芸術家たちに憧れていました。シンプルなものに本質を見いだす日本美術に触れたことで、自身も素朴な草地の魅力を見つけ、作品に昇華させました。研究熱心だったゴッホは、印象派やパリの前衛芸術なども調べていたそうです。
結婚25周年のプレゼント
《悲しむ老人(「永遠の門にて」)》は、ゴッホが昔描いた自身の版画をもとにした油彩画です。両拳で顔を覆い悲しみに暮れる人の姿は、胸に迫るものがあります。
この作品は、ヘレーネの夫アントンが妻に内緒で購入。結婚25周年のとき、サプライズでプレゼントしました。ヘレーネの喜びの手紙には「驚いて気を失いそうになった」と書いてあったそうです。
糸杉の傑作!
最後にご紹介するのは、糸杉の傑作《夜のプロヴァンスの田舎道》。ゴッホは糸杉をモチーフにした絵をいくつか描いていますが、本作品はそのなかでも傑作のひとつです。
死を象徴するともいわれる糸杉ですが、まっすぐ天に伸びる木の姿から強いエネルギーも感じられます。現実の風景だけでなく、記憶と想像力を駆使して描かれたもので、南仏滞在のおそらく最後に描かれた集大成です。この作品を描いた約2か月後、ゴッホはピストル自殺をはかり亡くなりました。
生前はほとんど作品が売れなかったゴッホですが、死後に弟のテオや、その妻ヨー、さらにヘレーネのような収集家たちが大事に管理し、公開してくれたおかげで遠く離れた日本でも彼の作品を楽しむことができます。
ゴッホが現代まで愛される基盤をつくった立役者のひとり、ヘレーネにも思いをはせながら、ゴッホ作品を楽しんでみてはいかがでしょう。
Information
会期 : ~12月12日(日) ※休室日月曜日、ただし、9月27日(月)、11月8日(月)、11月22日(月)、11月29日(月)は開室
会場 :東京都美術館 企画展示室
開室時間 : 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
観覧料 :一般¥2,000 / 大学生・専門学校生 ¥1,300 / 65歳以上 ¥1,200
※日時指定予約制です。詳細は公式サイトをご覧ください。
※高校生以下無料(日時指定予約が必要)
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
※最新情報は、展覧会公式サイトをご確認ください。
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