ファンキーに、エモーショナルに! エンターテイナーの底力を見せつけたA.B.C-Zのライブをルポ。
ananweb / 2021年10月20日 21時20分
2021年10月19日「A.B.C-Z」の2年ぶりの全国ツアーの最終地点、東京ガーデンシアターでの公演の初日ルポです。
明るい10周年を予感させる、全国ツアーが閉幕。
今年、6月6日に愛知でスタートした「A.B.C-Z 2021 But Fankey Tour」。その終着点である東京公演の初日が、10月19日、東京ガーデンシアターで開催された。A.B.C-Zが全国ツアーを行うのは約2年ぶり。ファンはもちろん、メンバー自身、全国のファンに会うことを楽しみにしていたことは間違いない。ツアータイトルにある「FanKey」という言葉は、“FunFan”、“kyKey”ともじったもので、このツアーがファンとグループをつなぐキーとなることを願う彼らの想いが伝わってくる。
開始5分前になると、「A.B.C-Z」という発音と同じリズムのハンドクラップが、歓声と彼らの登場を待ち望む熱い想いの代わりとなって、会場中に鳴り響く。
照明が消え、オープニング映像の最後にカウントダウンが始まり、ついに5人がステージに現れた。1曲目「Nothin’but funky」の歌い出しを担う戸塚祥太さんの、すべてを包み込むような明るい声がステージの幕開けを告げる。
「チートタイム」「DAN DAN Dance!!」など彼らの得意とするテンションの高いダンスナンバーが続き、見るものを一気に巻き込んでいく。前半のパートは、過去のシングル曲やカップリング曲をふんだんに入れた構成になっていて、そこには、これまでのA.B.C-Zを知ってもらいたいという想いが伝わってくる。
五関晃一さんのキレのあるダンスがパフォーマンスを底上げし、「Reboot!!!」では、塚田僚一さんがおなじみの連続ハンドスプリングや、高く飛ぶアクロバットを披露。それぞれが、クオリティの高い技術を次々と魅せていく。低音がきいたファンキーな楽曲やディスコサウンドを見事に乗りこなし、自分たちの色に染めていく技は、スキルの高い5人だからこそなせるワザだ。一方で、メンバー紹介ソング「A.B.C-Z LOVE」では、戸塚さんがマイケル・ジャクソンを思わせる「フォー!」という雄叫びをあげ、それを見た五関さんが笑って歌えなくなるという楽しい展開も。
「涙雨」をはじめ、しっとりとしたバラードを聴かせるターンも。絶対的なセンターとして存在し、歌でもグループを引っ張る橋本良亮さんの透明感あるファルセットが輝く。また、さらに高い歌唱力を身につけた河合郁人さんの美しく伸びやかな声もグループの武器だ。そこに、エモーショナルなダンスとアクロバットが加わることで立体的な奥行きのある表現となり、観客の没入感を高めていく。アクティブな方向だけでなく、情緒的な演出にアクロバットを効果的に使うところにもスキルの高さを見せつけられた。続く「All My Everything」では、戸塚さんのピアノに合わせて紡ぐメンバーの歌が、観客の胸を締め付ける。
挑戦的な演出も多かった。6曲目に披露した「テレパシーOne! Two! × Fantastic Ride」。ムードの異なる2つの曲を掛け合わせるという大胆なアレンジながら、両曲の良さが引き立つ仕上がりに。また、22曲目の「Spirit」でステージのセンターに登場したのが、高さ7m、3階建ての巨大な「FanKey Tower」。回転したり、レーザーやスパークを放出したりと暴れるタワーに乗りながら、激しいパフォーマンスを見せ、観客を煽る5人に、会場のボルテージは最高潮に達する。
ゴリゴリのロックサウンドを浴びた後に彼らが用意していたのは、「頑張れ、友よ!」「チカラノアリカ」と続く応援歌。コロナ禍を経て開催された今回のツアー。誰もが想像しない大変な状況にもめげることなく、アイドルとしてはもちろん、演技やバラエティなどスキルを磨き、それぞれのフィールドで活躍する今を獲得してきた5人。MCタイムでは、河合さんが感慨深く「みんなのおかげで東京までこれたライブツアー」と言い、また、「いろんな曜日に自分たちの番組が増えて」とも話していた。そんな彼らが歌う応援歌は、まっすぐに、強く、聴く者の心を打つ。本編のラストに披露したのは「灯」。その、“あなたは酸素のようだ”などの歌詞に、ファンは自分たちにとってなくてはならない存在だというメンバーからのメッセージを感じた。
大きなハンズクラップに包まれて始まったアンコールの1曲目は、奥田民生さんが作詞、スピードワゴン小沢一敬さんが歌詞を手がけた「夏と君のうた」。歌の途中、橋本さんが優しい、多幸感にあふれたような笑顔を見せる。そして最後の曲「サポーターズ!」は、“君をサポートしたい”“僕も君に救われたんだよ”“You And Me”など、ファンに優しく寄り添う歌詞があふれた。
今回のライブで印象的だったのは、5人の安定感と、ファンを巻き込んでいく力。河合郁人さんは、まるで声が聞こえているかのようにコールアンドレスポンスを投げかける。ペンライトを使ったやりとりも随所に登場。映像に合わせてファン全員でワンカラーに揃える時の、塚田さんの「間違ってもいいからね!」「大丈夫!」という言葉には人柄がにじみ出ていて、多くの笑顔を生んだ。メンバーの呼びかけに合わせて、会場の上から下へと順番にペンライトがともる光景は息を呑む美しさで、メンバーとファンのコミュニケーションがしっかりととれていることを感じた瞬間でもあった。
アーティストのパフォーマンスを見て元気をもらうのは、ライブの醍醐味の一つである。今回のライブは、カッコよさは当然のこと、観るものを鼓舞する楽曲や演出が満載で、観終わった後に心から「楽しかった!」と言える、明日を生きるエネルギーをチャージできるものであった。そんな、エンターテインメントの喜びを叶えられるのは、5人がファンの気持ちに真摯に向き合い、自分たちの声を伝える演出や表現を実現できるスキルを培ってきたからこそ。来年の2月1日に、10周年を迎えるA.B.C-Z。着実に力をつけてきた5人の10周年は、確実に明るいものになる。そんなことを予感させるライブだった。
<セットリスト>
1.Nothin’ but funky
2.チートタイム
3.A.B.C-Z LOVE
4.いいね!
5.DAN DAN Dance!!
6.テレパシーOne! Two! × Fantastic Ride
7.Reboot!!!
8.FORTUNE
9.涙雨
10.All My Everything
11.Miss My Love
12.新しい太陽
13.Take a “5”Train
14.SPACE TRAVELER
15.Life is Beautiful
MC
16.Mr.Dream(五関さんソロ)
17.未来は明るいかい?(河合さんソロ)
18.V(戸塚さんソロ)
19.Crazy about you(橋本さんソロ)
20.Waiting for you(塚田さんソロ)
21.赤い薔薇よ胸の中で咲き誇れ
22.Spirit
23.ワンナイト・ロマンス
24.DESTRUCTION!!
25.Finally Over
26.頑張れ、友よ!
27.チカラノアリカ
28.灯
アンコール1.夏と君のうた
アンコール2.サポーターズ!
取材・文 重信 綾
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