あなたの体質タイプは? 漢方から知る「心身の不調の原因」
ananweb / 2021年11月22日 20時50分
なんとなくダルい、気分が晴れない…。そんな時、原因がわからないまま放置しないで! 自分の心身は何が乱れていて、その悩みが起きているのか、全身を巡る3要素である“気・血・水”から探ってみて。
“食薬”とは漢方×栄養学×腸活。
気温がぐんぐん下がり、冷え症の人にはツラい季節。風邪もひきやすく、忙しさから疲れも出やすい。そんなこの時期に、おすすめしたい食事法が、漢方カウンセラーで薬剤師の資格も持つ大久保愛さんが提唱する“食薬”。
「中国から伝わってきた伝統医学である漢方の食養生と、西洋医学に科学的に裏打ちされた栄養学、そして、栄養素を取り入れる腸内の環境を整える腸活を掛け合わせたものが“食薬”です」
食薬の考え方は、文字通り、“食”べるものが私たちの弱った心身にとって良い“薬”になるという意味。
「1日3度の食事は、その栄養素が自分の血肉となる、とても大切なもの。食事は西洋医学の薬のように1回飲めば効くというものではありませんが、一回一回の積み重ねによって徐々にその効果を感じられるようになりますので、続けることで効果が出ます」
漢方というと、複雑なイメージを抱きがちだが、押さえておきたい大きなポイントは一つだけ。それは、自然との連動性。
「季節によって、気温も湿度も日照時間も変化します。作物や食材が、その土地の自然環境に合わせて育つように、私たち人間も自然に影響を受けて生きているのです。ですから、季節ごとの変化を捉えて、心身の状態や食事と向き合うことが大切。特に秋が深まり、冬に入る今、意識したい気候の変化は、日照時間の短さです。この時期を漢方では“閉蔵”と呼び、体は休息モードに入り、感情も内に閉じ込めるようになります。科学的にも日照時間が短くなると、体内で生活リズムを整えている BMAL1(ビーマルワン)という遺伝子が増えて、脂肪を溜め込もうとするのです。この期間、寒くて体を動かすのも億劫になり、何もしなければ、溜め込んだ脂肪は次の季節に持ち越されることに。食事を改善することは、次の季節を健やかに過ごすための準備であり、ダイエットの面からも今は、食事の改善に取り組んだほうがいい時期といえます」
しかし、急に食事の内容をガラリと変えるのは難しい…。
「1杯のコーヒーを、抗炎症作用のあるルイボスティーに代えてみるなど、まずは始めやすいことからでOK。“出汁は顆粒だしに頼るけど調味料は添加物不使用にしてみる”など、ライフスタイルに応じて、今よりも少しいいことを一つずつ増やしてみてください」
季節の特徴に加え、自分の体質を知っておくと対策も立てやすい。そこでここでは体を作る漢方の3つの要素である“気・血・水”で、自分に足りない要素や、かつその巡りに問題がないかをチェックできるリストを紹介。
“気・血・水”のバランスを整えて健康に。
漢方では“気・血・水”の3つの要素が体内で十分に作られ、全身に巡った状態が健康と考える。
「“気”は、“気力”というように、心身を動かすエネルギーのこと。“血”は血液やその流れのことで体の栄養になります。“水”は“血”以外の体液で体を潤してくれます。“気・血・水”は互いに影響し合い、その人の体質を決め、生活習慣や食事によっても変わります。どの要素が足りず滞っているのか知っておくと、不調を感じた時に原因がわかって安心できますし、予防もしやすくなります」
【体を作る3要素】
・気…活動エネルギーの中心/「元気」や「気力」の気/免疫系を整える
・血…各組織、内臓を活性化する/神経系(自律神経)を整える/栄養や酸素を体中に届ける血液
・水…血液以外の体液/体内の水分の巡回と回収/内分泌系(ホルモン)を整える
あなたはどれが乱れている?
気のバランスが乱れている
朝起きるのがツラい
傷やあざなどの治りが遅い
生あくび、げっぷ、おならが多い
太りやすく、痩せにくくなった
心身を動かす動力であり、生命活動を司る“気”。これが不足した“気虚”では、疲労感や食欲不振、消化吸収機能や新陳代謝の低下など、ダメージ大。“気”が巡らなくなっている“気滞”は全身の臓器に異常が出たり、自律神経の乱れによって憂鬱感やイライラなど精神的な影響も。
血のバランスが乱れている
眠りが浅く、夜中に目覚めることがある
顔のシミや黒ずみが気になる
頭痛や肩こり、生理痛がある
食べすぎてしまうことがある
文字通り“血液”とその流れを含めて“血”。体を潤し、栄養や酸素を補給する働きを持つ“血”が不足した“血虚”では、めまいや立ちくらみなどの症状が現れる。特に女性に多いので注意を。血流が悪くなる“お血(※「お」は病垂れに於)”で現れるのは、肩こり、冷え、肌のくすみ、頭痛、生理痛の悪化など。
水のバランスが乱れている
手足の冷えやむくみがある
乾燥や湿疹など肌トラブルがある
脚を組むクセがある
下半身が太りやすい
血液以外の体液が“水”で、“津液”とも呼ばれ、汗、涙、尿、唾液なども“水”に含まれる。体内を循環し、潤す“水”が足りていない“陰虚”だと、喉や口、肌が乾燥し、便秘にもなりやすい。過剰な水分摂取などで起こる“水滞(痰湿)”では、むくみ、頭痛、食欲不振、鼻水、下痢などが現れる。
大久保 愛さん 漢方カウンセラー、薬剤師。北京中医薬大学で学び、国際中医美容師の資格を取得。主な著書に『1週間に1つずつ 体がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。
※『anan』2021年11月24日号より。イラスト・川合翔子 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)
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