ガリガリに痩せていく妻を見て… 過酷な不妊治療に挑んだ末の「30代夫婦の決断」【後編】
ananweb / 2021年11月22日 20時45分
結婚と同時に妊活を開始した真夢さん(仮名・当時35歳・女性)は、3歳年上の夫である陽司さん(仮名)と真剣に不妊治療に向き合ってきました。ところが、信頼していた夫との間に、不妊治療を通じてズレが生じ、夫婦仲は危機的な状況に。今回はメンタル心理カウンセラーの並木まきが、不妊治療に奮闘した真夢さんに話を聞きました。
「このままでは2人ともダメになる」夫婦が下した結論とは
「家庭内別居が続き、妊活の再開もできず、途方に暮れていた私は『このままでは2人ともダメになる』と思い、夫に対して離婚を提案しました。
私は年齢的に、夫と離婚して再婚しても子どもを望むのは厳しいだろうなという考えがありましたが、夫とこのまま共同生活を送っていくには、あまりにも精神的に参っていたので『もう無理』と伝えたのです。
そして、そのときになって知ったのですが、どんどん痩せて性格も暗くなってきた私を見かねてなのか、夫は私に言わずに病院へ検査に行ってくれていました。結果は、特に問題なし。つまり妊娠しないのは、2人の相性なのか、私が原因なのかのどちらかが理由だったとハッキリしました」
何週間も口をきいていなかった夫に「離婚したい」と告げた真夢さん。夫の陽司さんは、少し驚いた表情を見せたものの「同じことを考えていた」と答え、そのまま黙ってしまいます。
「その日は『すぐに結論を出さなくてもいいから。私がそう考えていることは知っておいて』と言って、その場を離れました。
それから3日ほど経ってから、今度は夫から『話がある』と言われ、夫婦の今後について話し合いをすることになりました」
真夢さんの「離婚」の提案に対して、夫からの答えは「別居」。いったん離れて暮らして、自分たちの気持ちを見つめ直し、それでダメなら離婚しようというのが夫からの回答でした。
この回答を真夢さんは承諾。その翌週には、陽司さんが家具付きのアパートへと引っ越していったそうです。
半年間の別居生活を経て…
「私は半年ほど夫と離れているうちに、離婚まではしなくていいかなと気持ちが傾いてきました。それと同時に、あれほど『子どもがほしい』と思っていたのに、1人で生活してみると夫との生活の大切さに気づきました。
そこで夫と改めて話し合い、正直な気持ちをそのまま伝えたところ、『ならば、もう一度やり直せるかもしれないね』となり、再び一緒に暮らすことに。
そのときになって初めて夫から聞いたのは『自分はそこまで子どもがほしいわけじゃなかったけど、必死になって不妊治療に励む私を見て、本心が言えなかった』ということ。この言葉を聞いて、私は本当に反省して、1人で焦りすぎていたのかもしれない…と思いました。2人の生活をおざなりにしすぎていたのかもと」
今では「子どもは自然に任せる」という形で暮らしている真夢さん。「何がなんでも子どもを作りたい」という気持ちから解放された今のほうが、陽司さんと自然体で接することができているそうです。
「おそらくウチはこのまま、“子なし夫婦”として生きていくと思います。ただ、治療をしていたときよりも、今のほうが結婚生活の幸せを噛み締められています」と笑顔で話していました。
子作りの話は、夫婦間で温度差があることも少なくありません。夫婦の一方が子どもを強く望んでいる場合に、もう一方が本心をなかなか言えなくなり、それが原因で夫婦間に溝が生じるケースも。
不妊治療に限った話ではありませんが、夫婦間では本音を話し合える雰囲気づくりを心がけておくことが必要なのかもしれません。どんな選択でも、2人が納得して、幸せと感じられるといいですね。
©kitzcorner/gettyimages
©urbazon/gettyimages
文・並木まき
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