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「魔法を見ているような気分だった」英国の鬼才を虜にした若手女優の魅力

ananweb / 2021年12月7日 19時0分

「魔法を見ているような気分だった」英国の鬼才を虜にした若手女優の魅力

街がネオンで色づきはじめるこれから時期、華やかで刺激的な体験を味わいたいと思う人も多いのでは? そこで、そんな気分にオススメの話題作をご紹介します。

『ラストナイト・イン・ソーホー』

【映画、ときどき私】 vol. 434

ファッションデザイナーを夢見るエロイーズは、小さな田舎町を出て、ロンドンのデザイン学校に入学する。しかし、寮生活では周囲となじめず、孤立してしまう。そこで、ソーホー地区の片隅で一人暮らしを始めることに。

新居のアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいたエロイーズは、歌手を夢見る魅惑的なサンディに出会い、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。夢の中の体験が現実にも影響を与え、充実した毎日を送れるようになったエロイーズは、タイムリープを繰り返していたが、“ある殺人事件”を目撃したことで事態は徐々に変わり始める……。

映画『ジョジョ・ラビット』のトーマシン・マッケンジーとNetflixシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』で脚光を浴びたアニャ・テイラー=ジョイという映画界が注目する若手女優の共演でも話題の本作。今回は、こちらの方に見どころをうかがってきました。

エドガー・ライト監督

2017年に『ベイビー・ドライバー』で多くの観客を熱狂させ、世界中の映画ファンが新作を待ち望んでいたライト監督。本作では現代と60年代を行き来するタイムリープ・サイコ・ホラーを完成させています。そこで、物語が誕生したきっかけや撮影秘話について、語っていただきました。

―まず本作の着想はどこから得たものなのか、教えてください。

監督 そもそも僕は、昔から60年代に取りつかれているようなところがあるんです。きっかけは両親が60年代の音楽のアルバムをコレクションしていたからでもありますが、両親は兄が生まれてから音楽を聴くことをやめてしまったため、70年代以降の音楽が家になかったんですよね(笑)。そういったことから60年代の音楽にハマり、徐々に映画やアート、ファッションを通して60年代への思いが強くなって行きました。

―では、男性の主人公を多く描いてきた監督が、2人の女性を主人公にしようと思ったのはなぜですか?

監督 60年代を舞台にしたこれまでの映画では、小さい田舎の町から大きな夢を抱いて都会に出てくる若い女性が、どこか罰せられるように描かれている作品が多いと感じていました。わかりやすく言うと、進歩的な女性が大胆な夢を見ることを許さないというか、道徳観を押しつけられているように、僕には見えていたのです。

そこで、「それをひっくり返したら面白いんじゃないか?」という発想から、この物語を思いつきました。つまり、現代のロンドンにいる女性が60年代に夢を持っていた女性と同じことをしたらどうなるか、というのを描いてみたいと考えたのです。そういった思いから、時代の違う2人の女性を主人公にしました。

60年代を再現したムービーマジックを味わってほしい

―ロンドンのソーホーが舞台となっていますが、監督自身にとっても思い入れの強い場所だとか。

監督 そうですね。僕も27年前にロンドンに出てきて以来、多くの時間をソーホーで過ごしました。それが今回舞台に選んだ理由のひとつでもありますが、ソーホーといえば、エンタメ業界やナイトライフの中心地でもありますから。それも大きかったとは思います。あと、僕が引っ越してきた当時はショウビズ界と裏社会がつながっている場所でもあったので、何かザワザワするような雰囲気も非常に興味深いところだと感じています。

―本作には、過去の作品からインスパイアされた部分やオマージュが散りばめられています。そのなかでも、ご自身がこだわったシーンについてお聞かせください。

監督 今回は、特に60年代という時代に対してオマージュを捧げているところが多いですが、なかでもヘイマーケットといってロンドンの中心地で撮影したシーンでは、野心的なカットを撮れたと思っています。なぜなら、ロンドンのなかでも交通量も人通りも多い場所にもかかわらず、60年代の車を入れ、映画館も当時の装飾にすべて変えて、実際に撮影を行ったからです。

このシーンを撮影するにあたって、5か月も前から許可を申請して撮影を実現させたのですが、許された時間はたった4時間だけ。時間的にやり直しはきかないという厳しい状況だったので、正直に言うと、僕のなかにも「はたしてこのシーンを撮れるのだろうか」という不安はありました。

だからこそ、CGではなくリアルな60年代をとらえることができたシーンを撮れて、いまは誇らしい気持ちです。ソーホーのなかを車で走っているシーンも、外に見える景色は実際に建物の装飾をすべて60年代に変えて作り上げました。ぜひみなさんにも、このムービーマジックを味わっていただきたいです。

姉妹のような関係性を築いて演じてくれた

―エロイーズ役のトーマシン・マッケンジーとサンディ役のアニャ・テイラー=ジョイの現場での様子はいかがでしたか? 

監督 最初に2人が一緒にリハーサルをしたのは、鏡を挟んで同じ動きをするシーン。すぐに姉妹のような関係性を築いていましたね。お互いの動きをコピーし合っていたこともありますが、2人の間に絆が生まれる様子を目撃したときは、まるで魔法が起きているのを見ているような気分でした。

それが観た方にも伝わっていたのか、劇中で2人が言葉を交わすシーンはほとんどないにもかかわらず、世界中のファンの方々が作ってくれたファンアートを見ると、どれも彼女たちを1組のペアとして捉えてくれているものばかり。それくらい2人が心理的につながっているのを感じてもらえたのはうれしいです。

―劇中で見どころのひとつといえば、エロイーズとサンディがダンスをしながら入れ替わるシーン。トリック撮影を駆使して撮影されたそうですが、撮影時の裏側を教えていただけますか?

監督 あのシーンは実際にワンカットで撮っていますが、いろいろなセクションのスタッフたちのコンビネーションのおかげで作り上げることができました。実は、脚本でも絵コンテでも、当初は2人が入れ替わるのは1回だけの予定だったんです。でも、VFX担当と振り付け担当、それぞれのスタッフからいくつかの提案があり、6回は入れ替えられるんじゃないかと。

そこで、「じゃあ、全部の提案を入れてやってみよう!」となり、いまの形になりました。そのほうが観客のみなさんも「一体どうなってるの?」と楽しんでもらえるだろうという期待も大きかったですね。

日本には仕事ではなく、ホリデーで遊びに行きたい

―なるほど。実際、素晴らしいシーンに仕上がっていたと思います。

監督 あともうひとつ裏話があって、それは本番の前の夜に、2人の代役を務めてくれたダンサーによるリハーサル映像を僕のガールフレンドに見せていたときのこと。彼女が「ちょっと待って! 2人がどこで入れ替わっているかわからない!」とすごいリアクションを見せたんです。ダンサーの2人は金髪と黒髪で髪の色が違っているにもかかわらず、よくわからないと。

当初はエロイーズもサンディも、金髪にピンクのドレスを着せて撮影するつもりでしたが、その反応がすごく印象的だったので、2人に同じ格好をさせないほうがいいんじゃないかと気がつきました。そこで、メイクと衣装のスタッフに「本当に申し訳ないんだけど、トーマシンを元の茶色の髪とパジャマ姿に戻してほしい」と急遽お願いしたんです。直前での変更にはなりましたが、新しいアイディアを形にしたことで、よりよいシーンになったと思っています。

―ぜひ、注目していただきたいですね。それでは最後に、まもなく公開を迎える日本に関して、どのような印象をお持ちなのか教えてください。

監督 東京にはすでに7回くらい行ったことがあって、これまでにフジロックフェスティバルやサマーソニック、クラブクアトロなどに行ったのをよく覚えています。そのなかでも、僕が好きなのはゴールデン街や小さなバー。渋谷のグランドファーザーズとか、オーナーがかける曲にこだわっているようなところはすごくいいですよね。とはいえ、日本には仕事でしか訪れたことがないので、次はぜひホリデーとして遊びに行きたいと思っています。

スリリングな展開に、歓喜と悲鳴が交錯する!

エドガー・ライト監督ならではの映画愛と音楽愛が詰め込まれた本作。妖艶な映像美と斬新なストーリーテリングで、観る者を一気に異世界へと誘ってくれるはず。夢と恐怖がシンクロする新感覚をエロイーズとともに、体感してみては?

取材、文・志村昌美

魅惑的な予告編はこちら!

注目のシンクロダンスシーンをひと足先に解禁!

作品情報

『ラストナイト・イン・ソーホー』
12月10日(金)、TOHO シネマズ日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開
配給:パルコ ユニバーサル映画

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