時を超えて愛される逸品! 誕生秘話も気になる“老舗のチョコレート菓子”
ananweb / 2022年1月16日 21時0分
長く続いてきたお菓子には、物語があります。時代を映した誕生秘話もあれば、いまとなっては想像するしかできないことも多いけれど、それもまた微笑ましく、味わい深いチョコレート菓子を、さらにおいしくしてくれるはず。時を超えて、ティータイムを彩る、老舗のチョコレート菓子をご紹介。
Top’s(トップス)
前・東京五輪年に開業した、赤坂のレストランから誕生。
最初の東京五輪が開催された1964年、東京・赤坂にアメリカンスタイルのレストラン『Top’s』が誕生。デザートのひとつとして出されていたのが、チョコレートケーキだ。なめらかなチョコレートクリームで3層のスポンジ生地を包んだケーキは、そのおいしさに「持ち帰りできないか」との声が相次ぎ、テイクアウトが始まったという。
上から下まですっとフォークが入る、クリームや生地のやわらかさは、レストランから生まれたデザートならではだろうか。クリームに散らしたクルミの食感も最高のアクセントだが、どんな経緯で作られたかは、いまとなってはわからないという。ただ、上面に描かれた、蔓が伸びたブドウのデコレーションには、逸話が残されている。鈴なりの実がなるブドウは、西洋では豊穣・繁栄を願う縁起物。そこには、“Top’sのケーキで、家族が豊かになりますように”との、創業者の願いが込められているのだそうだ。その姿、テクスチャーはそのままに、近年は時代に合わせて、材料や製法を進化させているという。
写真:旧TBS会館内にあったレストラン『Top’s』。
チョコクリームでブドウが描かれたケーキ。
時折出合うクルミがアクセントの、なめらかでクリーミーなチョコレートケーキ。ミニサイズ(2~3人分)¥1,080など全4サイズ。渋谷店/東京都渋谷区宇田川町21‐1 渋谷西武A館5F TEL:03・3496・0143 10:00~20:00 不定休 アトリエ&カフェ トップスセンガワ、トップスカフェ 阪急三番街店など、全国のケーキショップで販売。
写真:チョコレートケーキ レギュラー(4~5人分)¥1,890
Gouter de Maman(グーテ・ド・ママン)
お菓子好きが高じて開いた、おやつ屋さんの良品。
“ママのおやつ”という名の店は、いまも工房で腕をふるう三富恵子さんが、ただただケーキが大好きで、1983年に開いたという“おいしいおやつ屋さん”だ。子供のころにおばあちゃんが作ってくれたカスタードクリームの味。お酒が入っているから食べられなかった幼いころのケーキの記憶、ビストロのマダムが作っていた、素朴で温もりのあるデザート……。お菓子を食べ歩いてきた経験を糧に、いい材料を選んで作る、誰もが安心して口にできるケーキが、昔もいまも店頭に並ぶ。
チョコレートケーキは、キャラメルプディングとともに、開業当時から続くロングセラー。当時の主流は、チョコレートのスポンジ生地と、チョコレートのクリームを重ねたものだったが、クリームが苦手な人でも食べられるものをと、ザッハトルテを参考に考案した。チョコレートの生地は、お酒は使わず、バターや生クリームとともにじっくり焼き上げ、濃厚ながらしっとりと食べやすい。凄腕パティシエが作る、お酒がビシッと効いた洗練されたものとは違うおいしさが愛おしい。
写真:ファサードが可愛い、オープン当時の店舗。
お酒が入らない、やさしいザッハトルテ!?
しっとりと焼き上げたチョコレート生地を、特製グラッサージュショコラでコーティングしたケーキ。1本¥2,376。東京都港区三田2‐17‐29 グランデ三田1F TEL:03・3456・3205 11:00~19:00 日曜休、月曜不定休※その他不定休あり ホールサイズはオンラインショップより取り寄せ可。
写真:チョコレートケーキ 1カット¥475
The Okura Tokyo(ジ・オークラ・トウキョウ)
ホテル開業当時から続く、オークラ・クラシック。
日本ならではのホテルを目指し、「ホテルオークラ東京」が開業したのは、1962年。材料となるクーベルチュールチョコレートが、まだ手に入りにくかった時代に、ココアを使ってそれに負けない深みを出せないかと試行錯誤の末に誕生したのが、チョコレートパイだ。卵黄やミルクとともに、たくさんのココアを入れて、炊き上げたチョコレート・カスタードを、薄く焼いたパイ生地に一気に流し込んで仕上げる。シンプルな見た目とは裏腹に、スピード感とスキルを要するケーキなのだと、いまも伝統のレシピを守り続けている「The Okura Tokyo」のスタッフは言う。
流し込む型が古くなっても、新調するのは、変わらず、当時主流だった大ぶりのアメリカンサイズ。そこにチョコレート・カスタードがたっぷりと入るが、やさしい甘さとチョコレート感で、すっと食べられてしまう。加えて、フルッとなめらかな食感は、どこか懐かしく新鮮で、濃厚な小ぶりタイプとは違うおいしさ。よく知られたフレンチトーストやレモンパイに負けないオークラ・クラシックだ。
写真:建て替え前の「ホテルオークラ東京」本館。
アメリカンサイズのチョコカスタードパイ。
たっぷり詰まったチョコレート・カスタードは、冷やして食べると、舌触りが一層なめらかに。ホール(¥4,560)は、3日前までに要予約。東京都港区虎ノ門2‐10‐4 オークラ プレステージタワー 5F デリカテッセン シェフズガーデン TEL:03・3505・6072 ケーキ11:00~20:00(営業時間は変更あり。詳しくはHPで) 無休
写真:チョコレートパイ 1カット¥570
※『anan』2022年1月19日号より。写真・馬場晶子 スタイリスト・大谷優依 文・齋藤優子 協力・AWABEES UTUWA
(by anan編集部)
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