肩こりの原因は自律神経の乱れかも! ストレスによる「体のこわばり」を解く方法 #162
ananweb / 2022年5月27日 20時20分
肩こりに悩まされている人は多いですよね。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、肩こりは長時間同じ姿勢でいたり、運動不足だったりすることからくるだけでなく、緊張やストレスなどでメンタルが不安定になり、カラダが硬直することも原因のひとつだそう。そこで、愛先生が簡単にできる肩こり対策を教えてくれます!
肩こり、酷くなっていませんか?
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 162
突然ですが、運動量は足りていますか? 一日何歩歩いていますか? 階段をのぼって息切れしていませんか? ここ数年、以前よりも運動量が減った人は多いのではないでしょうか。そして、運動量が減るということは、必然的に同じ態勢で過ごす時間も増えていくということでもあります。それによって、基礎代謝が下がったり、太ってしまったり、心肺機能が衰えてしまうこともあると思います。
ですが、頻繁にしんどいと思うことといえば、肩こりではないでしょうか。肩回りが硬直すると自然と頭部の血流は悪くなり、頭痛や耳鳴り、めまいを感じてしまったり、鎖骨がなくなって首のしわが増えたり、肩甲骨が開いて天使の羽が消えてしまったりと連動して起こる見た目の老化を加速させることにもつながります。とういうことで、今週は肩こり対策としての食薬習慣を紹介します。
今週は、肩こり対策となる食薬習慣
二足歩行で重たい頭が一番上にある人類には、どうしても起こってしまう問題の一つとして肩こりがあります。仕方のない問題ではありますが、肩こりから派生する不快感は多大なものですよね。姿勢の問題は、自分の意識や整体、筋トレ、ストレッチなでの努力で改善できると思います。
ですが、ストレス、緊張、不安感などでメンタルの不安定さから体に力が入りやすいタイプの人は現代に多く存在します。内面からくる問題に対しては対策が少し難しくなりますよね。漢方薬で、自律神経を整えることもよいと思いますが、日ごろの食事から改善するスキルを身に着けておくことも大切です。
漢方では、同じ姿勢をしていることで物理的に起こる肩こりを『瘀血』といい、メンタルからくる体の硬直を『気滞』といいます。さらに、春の今の時期には、『肝気鬱結』といって、より『気』の巡りが悪くなりやすい時と考えます。そこで、今週は『気』と『血』の巡りを改善する食薬習慣を紹介します。食べるとよい食材・メニューは、【オレンジのイタリアンサラダ】です。
食薬ごはん【今週食べるとよい食材・メニュー:オレンジのイタリアンサラダ】
作り方は、オレンジ、トマト、バジルを食べやすい大きさにカットし、器に盛りつけ、オレンジをギュッと絞り、オリーブオイルと塩をかけたら完成です。モッツアレラチーズなどを混ぜて、ブラックペッパーをかけてもよいですね。
【オレンジ】
オレンジのさわやかな香りであるリモネンには、『気』の巡りを改善する働きがあり、オレンジにある筋の部分に含まれるヘスペリジンは、毛細血管を強くして血流を促す働きがあります。『気滞血瘀』の解消に役立ちます。また、みかんよりも食物繊維が多く、腸内環境を整えるためにも役立ちます。
【バジル】
香りが特徴的なバジルですが、リナロール、カンファー、オイゲノールなどのファイトケミカルがたっぷりです。『気』の巡りを改善しリラックスさせたり、強い抗菌作用、鎮痛作用なども期待できます。また、ベータカロテンやビタミンEも豊富に含み抗酸化作用も高く、古代ギリシャでは、王さまの薬草とも呼ばれていました。
私たちは、普通に生活していると運動不足になったり、姿勢が乱れたり、デスクワークをしたりと巡りが悪くなる生活スタイルを過ごすことになります。首や肩に負担がかかることは、ある程度仕方のないことです。姿勢を正したり、緊張など感情からくる体のこわばりを和らげるために食薬を取り入れたりすることで、日ごろから対策をとっていきたいですね。ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。
月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。
つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。
Information
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。
©ilkercelik/Gettyimages
©Moyo Studio/Gettyimages
©Inside Creative House/Gettyimages
文・大久保愛
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