伊藤沙莉、KERA舞台で“昭和の笑い”に触れ「じつはコテコテこそ一番難しいかも」
ananweb / 2022年7月31日 20時0分
舞台『世界は笑う』は、昭和30年代初頭の混沌とした時代に生きる喜劇人たちと、彼らを取り巻く人々との群像劇。これまでもさまざまな形で喜劇や喜劇人に焦点を当ててきたケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)さんが描く今作に、伊藤沙莉さんが参加する。
KERAさんの笑いの間を知って、自分の新たな世界が切り拓かれたら。
「KERAさんの作品は、わかりやすいコメディというわけじゃないのに、すごく笑った記憶だけがあるんですよね。何がと言われるとうまく説明できないけれど、コメディでもシリアスでも、会話の言葉とかテンポとか…間で何かを語るところが結構あって、その独特の世界観がすごく面白い。1回じゃ味わい尽くせない何かがあって、どんなに追いかけても追いつかない感じが、いつか中毒性に変わっていく。その不思議な世界に迷い込む感覚が、とても気持ちいいんですよね」
今回、伊藤さん、瀬戸康史さん、千葉雄大さん、勝地涼さんらリアルな昭和を知らない俳優陣に向け、KERAさんによる当時の時代性や喜劇を学ぶワークショップも催された。
「基本的にほぼ座学で、昔のアチャラカとか寅さん、それに藤山寛美さんの映像などを見ながら、KERAさんが『ここの間が…』とか、副音声のように解説してくださる。なんて贅沢な時間なんだと思いましたし、KERAさんの笑いに対する底なしの探究心や好奇心も感じました」
そこで触れた半世紀以上前の笑いは、「一周回って新しかった」そう。
「いわばコテコテの、わかって予測できる流れにある笑いにもかかわらず、それを超えて笑わせられるってすごいこと。新しい笑いが次々生まれている中で、じつはコテコテこそ一番難しいかもしれない。笑いの初級でありながら、追究し始めたら一番難解な場所なんじゃないかって」
とはいえ、伊藤さんといえばドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』のナレーションなど、絶妙なセリフの間でクスッと笑いをもたらす俳優だ。
「笑いって、悲劇以上に人によって差があると思うんです。たとえば私がベストだと思う間はKERAさんの世界観に合わないかもしれないですよね。今はそのことへの恐怖や緊張もあるけれど、KERAさんの間を知って、自分の新たな世界が切り拓かれるのがすごく楽しみです」
舞台出演は約1年ぶり。
「お芝居という意味では映像と何ら変わらず好きで楽しいけれど、まだ演出をつけてもらわないと舞台上で自由に動けない難しさは感じています。それをKERAさんに相談させてもらったら、『動きたいと思ったときに動くのが正解で、そこから始めると意外とスムーズかもしれない』と言ってくださって、すごくホッとしたんですよね」
子役から積み上げたキャリアゆえか、肝が据わっているように見えるけれど、意外にも心配性?
「心配性です。でも緊張していると、稽古場でKERAさんの言葉にほぐされる…の繰り返し。まるでお芝居の筋トレをしている気持ちです」
COCOON PRODUCTION 2022+ CUBE 25th PRESENTS, 2022『世界は笑う』 戦後から10年強が経ち、世相の変化と自身の衰え、若手の台頭に、不安を抱えるベテラン喜劇俳優たち。一方、新しい笑いを求める若手コメディアンたちも、ままならない思いを抱え…。8月7日(日)~8月28日(日) 渋谷・Bunkamura シアターコクーン 作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演/瀬戸康史、千葉雄大、勝地涼、伊藤沙莉、大倉孝二、緒川たまき、山内圭哉、マギー、伊勢志摩、廣川三憲、神谷圭介、犬山イヌコ、温水洋一、山西惇、ラサール石井、銀粉蝶、松雪泰子 S席1万1000円 A席9000円 コクーンシート5500円 Bunkamuraチケットセンター TEL:03・3477・9999(10:00~17:00)京都公演あり。
いとう・さいり 1994年5月4日生まれ、千葉県出身。ドラマ『拾われた男』(Disney+・NHK BSプレミアム)に出演中。8月20日に主演ドラマ『ももさんと7人のパパゲーノ』(NHK総合)が放送。
ロングカーディガン¥41,800 ワンピース¥66,000(共にHaat/イッセイ ミヤケ TEL:03・5454・1705) リング¥15,400(nanagu info@nanagu.co.jp) イヤーカフ¥6,600(torc japan.torc@gmail.com)
※『anan』2022年8月3日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・吉田あかね ヘア&メイク・AIKO インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)
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