KinKi Kids 東京ドーム、今だからこその奇跡のステージをレポ!
ananweb / 2022年8月12日 18時30分
1997年にデビュー曲「硝子の少年」で鮮烈なデビューを飾り、今年CDデビュー25周年を迎えたKinKi Kids。2022年8月7日、記念ライブイベント「24451 ~君と僕の声~」を東京ドームで開催したステージでは、最後の挨拶を含めてMCは9回。これまで歌ってきた大切な楽曲への愛が感じられる2人の曲紹介コメントを交えながらレポートします。
ライブタイトル、「24451」の意味とは?
堂本剛さんの244(ツヨシ)と堂本光一さんの51(コウイチ)を数字で表現したライブタイトル、「24451(ニーヨンヨンゴーイチ)」。ふたりの美しいハーモニーが彩る名曲ぞろいだった“~君と僕の声~”のイベントは、これまでのCDジャケット写真やライブ映像のコラージュがまるで絵画のようにスクリーンに映し出されるところから始まった。
ステージに数えきれないほどの2人の衣装がマネキンに飾られズラッと並ぶなか、そのうちの1体が光一さんと剛さんだったことに気づく。予想もしない登場の仕方に驚いていると、ふたりが高らかにハイタッチを交わして、1曲目の『FRIENDS』を。
この曲は運命的な出会いに思いを馳せるバラードソング。光一さんは「デビュー当時の我々は、もっとカッコイイ曲やパンチのある曲がやりたいなと思っていたんですけど…。すごく素敵な曲」、剛さんは「当時は素通りしていた歌詞も人生を重ねて、そういう時間があったなって投影してしまう。ホントにいい曲。ピュアでまっすぐな歌詞で」と、ジャニーズJr.時代から歌ってきた楽曲の魅力を改めて再確認したと語るふたり。
2曲目から4曲目は、山下達郎さんが手掛けた名曲『Kissからはじまるミステリー』『硝子の少年』『ジェットコースター・ロマンス』と3曲続けて披露。ふたりが『Kissからはじまるミステリー』がデビュー曲の候補曲だったことを知ったのは、最近だったそう。剛さんは「25周年を迎えて達郎さんとお話する機会があって。その時に教えてもらった新事実。『あ、ジャニーさんそんなこと言っていたんですか?』って…」と、驚くのと同時に腑に落ちる感覚もあったのだとか。
光一さんが「歌えば歌うほど、達郎さんの曲の難しさを感じる」と言えば、剛さんも「本当に難しい」と口をそろえる。『ジェットコースター・ロマンス』を歌った後には「めちゃめちゃパワーがいる。皆さん、『ジェットコースター・ロマンス』をリリースしたことないでしょ? 1回、お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんに『ジェットコースター・バカンス』っていう曲を作ってもらって、家で歌ってみて? 今の僕たちの気持ちがわかるので(笑)」とお茶目にボケる剛さんに「(達郎さんの楽曲の難しさは)”共感あるある”話にならないから!」と、光一さんが笑って突っ込む場面もあったのでした。
25周年のその先の未来を問われることもあるというふたり。「偶然と偶然が重なって、形になっていくことが多いからね。頭で考えるより、出会うものすべてを僕たちらしく形にしていけたら」と、これまでのスタイルと変わらず、あゆみ続けたいという剛さん。光一さんも同じく、その瞬間、その瞬間で目の前のことと向き合ってきての今だと語ります。
山下達郎さんの楽曲はもちろん、この日披露した竹内まりやさんに「Midnight Rain」を楽曲提供してもらったことについても、「ひとつひとつの出会いが奇跡」と、しみじみ…。25年間のこれまでのたくさんの出会いに感謝し、振り返る素敵な時間に――。
25周年のイベントに来られなかったファンの皆さんのために公式YouTube用の収録が行われたのは、『Hey! みんな元気かい?』。「クラップを一緒に!」と呼びかけ、リズムをとる手拍子でひとつに。
『Hey! みんな元気かい?』というタイトルからは明るいナンバーと思えるが、この曲は悲しみに心が支配され、いつしか心が動くことのなくなった日々の中で、この雨はいつか止むのかと友に問う曲。コロナ禍の今の時代に偶然にもマッチした心に染みる曲を届け、「YouTubeでも届いてくれたらいいな」(光一)。願いを込めて歌っていたからこそ、ちょっぴり閉ざしていた心に優しくノックされているような歌声に感じられる。
オレンジ色の照明が夕陽のように眩しく照らされた空間で、どこか寂し気で、切ない歌声を響かせたのは、2001年2月にリリースした『ボクの背中には羽根がある』。「この曲はジャニーさんが亡くなってから、どうしてもジャニーさんを思い出してしまって…。羽をくれたのはジャニーさんだなと思います」と、近年この曲と向き合うたびに感じる想いを熱く語る光一さん。
それだけでなく、「我々は『ターニングポイントってどこですか?』って聞かれたら、楽曲で言うと『ボクの背中には羽根がある』と口をそろえて言っています。音源的に枝を増やしてくれた楽曲です」(光一)と語る姿からKinKi Kidsの音楽の可能性を広げてくれた大切な楽曲のひとつだという想いが伝わってくる。
剛さんがバンドと一緒にアコースティックギターをかき鳴らし、光一さんが情熱的に舞い踊ったスタイルで披露したのは、『薔薇と太陽』。炎の特攻が舞い上がるなか、ダンサーさんと激しいダンスを踊った光一さんは、歌い終わった途端、衣装のジャケットを脱ぎ、「暑い!」と叫ぶ。中に着ていた白シャツの袖をまくりながら、「僕ばっかり見ないでよ~!」とくしゃくしゃな笑顔を見せる一コマも。
後半は息ぴったりにふたりでギター演奏しながら歌った『全部だきしめて』から始まるラブソングメドレー。『好きになってく ―愛してく』『恋涙』『愛のかたまり』と珠玉の名曲でこれでもか…というくらい恋心をドラマティックに盛り上げていくナンバーで畳みかけていく。盛り上がりも最高潮な会場の熱気が伝わってくるなか、フロートでファンの目の前へ。
「コロナ禍だけど、ライブイベントで皆さんの近くに行くのはどうすればいいか考えました。声は出せないけど、だいたい近づいても皆さんじぃぃぃーっと見ているだけだから。難しいことではないですよね?(笑)」と光一さんによる恒例の長年連れ添うファンへの愛のあるいじりも健在です。
光一さんは凛とした表情で、剛さんは大きくゆっくり手を振りながら歌ったのは『Anniversary』。残念ながら、20周年のタイミングではふたりで歌うことがかなわなかった楽曲。それでも皆が歌ってくれたから剛くんにも伝わっていたはずと光一さん。今回は声こそ出せないけれど、「心の中で歌ってください」というふたりの言葉通り、KinKi Kidsへ溢れる愛の大合唱が聴こえてくるような心地良い温かさに包まれる。
ラストは山下達郎さんが手掛け、KinKi Kidsが共同作業で詩をのせた自身45作目となる最新シングル『Amazing Love』。25周年の記念すべきアニバーサリーソングとして誕生した楽曲。コンサートの景色を想像して描かれたという歌詞と、現実が重なった瞬間の景色は、レインボーの輝き。ファン全員に配られた色とりどりのサイリウムが生み出す虹色の光が放つ光景は、この日、この瞬間しか生まれないもの――。それはKinKi Kids の25周年を祝福するかのような美しい奇跡だった。
最後の挨拶では、「こうして昨日と今日、東京ドームに5万人を超える皆さんに集まって頂いて、この形ならこういう状況でもできると皆さんが僕らに示してくれました。安心してステージに立つことができたので、我々から拍手を送りたいです」と、誇らしげな光一さん。
剛さんは「来られなかった皆さんも含め、たくさんの皆さんの人生が僕たちの人生と繋がっているんだと深く、深く感じながら、4日間過ごさせて頂きました。大変な時代の中で、これだけのたくさんの人たちが自分たちに会いに来てくれる、そういう人生を送れる喜びと幸せを噛みしめたい。声を出せないからこそ、ホント痛いほど皆さんの愛を感じました。皆さんと一緒にこれからまた新しいステージをもっと作っていけたら」。
そして、去り際にふたりでKinKi Kidsの頭文字であるKを指で作ると鳴りやまない拍手の嵐が――。再び、東京ドームで集う約束をして、また共に奇跡の瞬間を生み出せるという希望に満ち溢れる25周年イベントになった。
写真・小池理恵、取材、文・福田恵子
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