生理周期と自律神経の関係を解説! “月イチ不調”はなぜ起こる?
ananweb / 2022年8月30日 20時0分
生理が近づいてくると、イライラ、そわそわ、どんより…。なんだか、心も体も落ち着かない~(涙)。その不調、ホルモンバランスのせいだけじゃなく、自律神経の影響もあるのかも? 生理周期と自律神経の関係を読み解いて、月イチの試練を乗り越えよう!
生理周期×自律神経
女性ホルモンと自律神経、どちらも脳の視床下部が司る。
生理周期に影響を与える女性ホルモンは、卵巣から分泌される。でもその分泌経路をさかのぼると、実は脳にたどり着くと、「イーク表参道」副院長の高尾美穂さん。
「女性ホルモンを分泌するように、卵巣へ指示をしているのは脳の視床下部。ここにはホルモンの司令塔があり、『性腺刺激ホルモン放出ホルモン』が分泌されます。卵巣が2つの女性ホルモン『エストロゲン』と『プロゲステロン』を分泌すると、その状態が脳へフィードバックされていきます。つまり、脳と卵巣は相互に作用し合う関係性。そして、この脳の視床下部は自律神経の調整も担っています。女性ホルモンも自律神経も、実は脳の視床下部でコントロールされているんです」
気温などの環境ストレスで、視床下部の働きがイマイチに…。
女性ホルモン、自律神経の他に、脳の視床下部では免疫系のコントロールも担う。つまり、この3つは同じ場所で管理されており、お互いに影響し合っているという。
「例えば、ストレスを感じると生理周期が乱れてしまう卵巣機能が不安定な人。そういう人は実際、何が不安定かというと、視床下部からの命令が不安定なんです。視床下部に“暑すぎる”という大きなストレスがかかれば、視床下部からの命令も不安定になりますし、同じ場所でコントロールされている自律神経にも影響が出ます。ですから、暑いというだけで生理周期が乱れる人、不調を感じる人がいるのは当然のこと。それだけ密接に、司令塔の視床下部と3つの機能は繋がり合っています」
女性ホルモンだけでなく、副交感神経の働きの低下にも注目。
それでは、自律神経と女性ホルモンの関係性、2つの働きが体と心に与える影響はどうだろう?
「視床下部、および女性ホルモンの調整が上手くいかず、自律神経に悪影響を及ぼす代表例が更年期障害ですが、若い世代では、気温などの外的な要因の方が生理周期や自律神経を乱す影響として大きい、というのが大前提。その上で一ついえるのは、排卵後のタイミングで、副交感神経活動が落ちる、ということ。つまり、排卵から次の生理が始まるまでは、リラックスしにくい状態になるといえます」
28日周期の場合、排卵は生理開始から約14日後に起こるもの。それを境に卵巣はプロゲステロンを多く分泌し、頭痛やPMSなど、不調を感じやすい時期に入っていく。つまりは、ただでさえ体の不調を感じやすい時期に、副交感神経活動が落ちる影響が重なって、心身ともにハードモードに…!?
「だからこそ、まずは生理周期を把握すること。そして、一日の使い方を自分寄りにシフトしたり、副交感神経を優位にするような過ごし方をしたりと、心地よく過ごせる工夫ができるといいですね」
【排卵後~生理前】体がむくみ、イライラする…。心身ともに不調を感じやすい。
排卵が起きると、プロゲステロンがより分泌され、妊娠を維持しやすい体が準備されていく。同時に水分を溜め込む作用のあるプロゲステロンの影響で、むくみや便秘、頭痛が起こりやすく、なかにはPMSとして不調を感じる人も。さらに、副交感神経活動が低下することで、リラックスしにくい、寝つきが悪いなど、不安定な状態に陥りやすくなる。
【生理中】ホルモン分泌量が低下。貧血や腹痛を経験する時期。
不要になった子宮内膜が剥がれ落ち、子宮が収縮を繰り返すことで、子宮内膜が血液と共に体外へ排出される。この生理中、貧血や生理痛、めまい、頭痛などの症状が出ることも。また、胃や腸の筋肉が収縮しやすいため、吐き気や下痢といった不調が現れる場合もある。体が冷えやすく、疲れやすい状態になるため、無理せず休むのがベストな時期。
【生理後~排卵】エストロゲンリッチな時期。体も心の調子もグッと上向きに。
生理が終わると、卵巣はエストロゲンをより分泌するように。むくみが取れ、体が軽く感じられるようになる。他にも、肌や髪に潤いを感じたり、むくみにくいため体のラインがきれいに出たりといいことずくめ。副交感神経活動も活発になり、リラックスしやすく、質の良い睡眠も取りやすい。集中力が高まり仕事もバリバリこなせる、まさに体も心もゴールデンタイム。
高尾美穂さん 女性のための総合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。医学博士、産婦人科専門医、スポーツドクター。ヨガドクターとしても活躍し、診療のかたわら、講演活動も行う。
※『anan』2022年8月31日号より。イラスト・icocrafts/イコ 取材、文・間野加菜代
(by anan編集部)
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