実は防げる病気!? 20代にも増加傾向の「子宮頸がん」について医師が解説
ananweb / 2022年10月30日 18時30分
ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは「子宮頸がんって、どんな病気?」。anan世代にとって、実は身近な病気である子宮頸がん。女性の命や体を守る検診やワクチンについて、改めて学んでみましょう。
“性感染症である子宮頸がんは防げる病気だと知ってほしい。”
国内で年間約1万人が発症し、3000人弱が命を落としている子宮頸がん。30~40代での発症が多いとされているが、最近は20代の間でも増えてきているのだとか。
「理由のひとつに、性交渉の開始年齢の若年化があります。子宮の入り口にできる子宮頸がんは、95%が性交渉で感染するヒトパピローマウイルスが原因。生活習慣や遺伝とはほぼ関係がない性感染症なので、若くてもかかる可能性があるのです。ウイルス自体は約8割の人が一生のうちに感染するといわれていますが、自分の免疫力で大体のものは排除が可能。ただし、ウイルスの中でもハイリスク型といわれるものに感染して長年排除できずにいると、がんを発症するといわれています」(産婦人科専門医・竹元葉さん)
がんを発症した際の兆候として、もっとも多いのが不正出血。
「出血や痛みなどの自覚症状が出るのはわりと進行した状態。初期は無症状の場合も多いですが、検診をきちんと受けていれば比較的見つけやすいがんだと思います」
若い世代は検診を敬遠しがちだが、性交の経験があるならば年齢を問わず受診した方がいいそう。
「国の推奨は2年に一回ですが、発症リスクが高い20~40代は毎年受けるのがオススメ。実は私自身も毎年受けていた検診で、がんの前段階だと診断された経験があるんです。発見が早く治療後に妊娠・出産も経験しましたが、進行によっては子宮摘出の可能性も。自覚症状はまったくなかったので、検診の重要性を再確認しました」
検診では、ハイリスク型のウイルスに感染しているかをチェックするオプションなどもあるという。
「性交経験があってもその段階で感染していなければ、子宮頸がんワクチンを打つことでその後の感染を予防できます。ワクチンは17歳未満で打つと感染によるがんを90%近く防げるといわれており、接種率が約8割のオーストラリアでは実際に発症数が減っています。30~40代でも感染予防効果はありますし、ヒトパピローマウイルスは肛門がんや咽頭がんなどの原因でもあるので、男性が打っても有効。誰もが感染しうるありふれたウイルスだからこそ、検診やワクチン接種で自らを守る意識をすべての人に持ってほしいですね」
そわんわんさんと考える。“もしも”のために何ができる? 私たちが今、知っておきたいこと。
若い世代でも増えている子宮頸がんとは、どう向き合うべき? 現在23歳のYouTuber・そわんわんさんが、産婦人科専門医の竹元葉さんと共に考えます。
体に目を向ける、それこそが自分を大切にするということ。
そわんわん(以下、そわ):私の中では子宮頸がん=中高年の方がなる病気というイメージでした。20代でもなる可能性があるとか、性交渉での感染が原因っていうのは知らない人も多いと思います。
竹元葉(以下、竹元):そうなんですね。今23歳であれば、子宮頸がんワクチンのクーポンが届いているのでは?
そわ:届いた記憶はあるけれど、自分には関係ないかなって…。
竹元:ワクチンを接種することで、性交経験がない人は約9割、すでに経験がある人でも、その時点で子宮頸がんハイリスク型のウイルスに感染していなければ新たな感染を防ぐことができます。
そわ:そうなんや。そういう情報を知る機会が、今までなかった! 最近ようやく生理の話題がオープンになってきたけれど、女性特有の病気やワクチンの話をすることってなかなかないですよね。どのくらいの割合で病気になるのかとか、学生時代に授業でもっと教えてくれたらいいのに。
竹元:それこそ、そわさんのように親しみやすい存在の方が動画とかで発信してくれたら、若い世代にも、身近な問題だと感じてもらえる気がします。
そわ:ウチが!? でも、みんなが考えるきっかけにはなるかもしれないですね。そのためには自分が知識をつけなきゃ。実は今まで一回も婦人科に行ったことがないんです。そもそも病院に行く習慣がないから、不安があってもどう説明したらいいのかわからなくて。それで放置するうちに不調に慣れてきちゃって、自分の異変に気づきにくくなっている気がします。
竹元:人と比べられないから、確認しにくいですよね。不正出血などの症状がなくても、日常生活で支障を感じたら一度病院でチェックしてみた方がいいと思います。“こんな些細なことを病院で聞いたら怒られるかも?”と思わずに、気軽に受診してほしいですね。
そわ:たしかに。“これって人と違うのかな?”と疑問を感じた時点で不安要素があるってことですよね。その不安を消すには、病院で診てもらうのが一番早いし確実。
竹元:今はネットで調べれば情報が得られるけれど、なかには正確さに欠けるものも。自己判断するよりは、病院に来てもらう方が後悔は少ないと思います。子宮頸がん検診もそう。早い段階で見つかれば子宮を取らずに済む可能性が高くなるし、死亡率も低くなります。うちのクリニックでは、毎年お誕生日のタイミングで受診することをおすすめしているんです。
そわ:自分へのプレゼント! 本当に自分を大事にするって、そういうことだと思います。みんな外見は一生懸命ケアするのに、健康は後回しにしがち。何が一番大切なのかが伝わるといいですよね。
竹元:そわさんの言う通り、自分の体に意識を向けることはすごく大切。まずは、生理や体の状態をアプリなどで把握しておくことから始めるのもいいかもしれません。
竹元 葉さん(写真左) 産婦人科専門医、sowaka women’s health clinic院長。思春期から老年期まで、ライフステージの変化に伴う様々な不安や不調に寄り添うかかりつけ医として女性をサポートしている。
そわんわん(写真右) 1999年2月19日生まれ、和歌山県出身。等身大の“お友達系YouTuber”として人気を博し、チャンネル登録者数は63万人超え。リアルサイズモデルとしても、注目を集めている。
※『anan』2022年11月2日号より。写真・中島慶子 ヘア&メイク・井原結衣(そわんわんさん) イラスト・別府麻衣 取材、文・真島絵麻里
(by anan編集部)
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