つい食べ過ぎる、夕方から目が冴える…「自律神経が乱れぎみの人」の特徴と対策 #198
ananweb / 2023年2月3日 18時30分
中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、寒い冬の今、食欲が止まらなかったり、午前中は眠く夜は目が冴えてしまったりと、心身のコントロールをうまくできない人が増えているそう。愛先生が今すぐできる対策を教えてくれます!
今の時期、食欲が止まらないのはなぜ?
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 198
突然ですが最近、おやつの量が増えている、コーヒーがないとやる気がでない、晩酌や寝酒の回数や量が増えてしまったなど、食に対する欲求が止まらなくなってきたということはないでしょうか。日々、慌ただしく過ごす現代人にとっては、ほっと一息つく時間として、おやつやコーヒー、お酒は欲するタイミングが増えてしまうのも仕方ないことかもしれません。
ですが、今の時期、気候的にも食欲が止まらない原因はほかにも秘めています。暦の上では春といわれる立春をむかえますが、「春」とは裏腹に一年でもっとも寒い時期ともいわれています。大雪になったり、急に冷え込んだりとまだまだ心地よい環境とはかけ離れていますよね。
そんなとき、私たちは精神的ではなく肉体的にストレスを感じることになり、自律神経や副腎などに負担がかかってくることがあります。その結果、食欲が亢進してしまうことがあります。ということで、今週は食欲が止まらないときの食薬習慣について紹介して行きたいと思います。
今週は、ストレスによる食べすぎ対策となる食薬習慣
仕事や家事をしていて、集中できない時間が増えていないでしょうか? そのたびに、クッキーやコーヒーなどで気合をいれているうちに甘いものやコーヒーがやめられなくなったり、ストレス解消に晩酌や寝酒をするようになって飲酒の習慣がついてしまったりしてはいませんか。お砂糖や小麦粉、カフェイン、アルコールなどは、徐々に量が増え、癖になりやすいものです。
そして、日ごろのストレスに加え、寒さや気圧の変化によるカラダへのストレスが加わることで、自律神経を乱したり、ストレスに対抗するコルチゾールというホルモンが副腎から分泌され、心身ともにコントロールが難しくなってしまうこともあります。その結果、妙に甘いものやカフェインが欲しくなったり、集中力が低下したり、すぐに疲れてしまったり、夕方になるにつれて目が冴えて眠れなくなる、PMSや生理痛が悪化してしまうこともあるのです。そして、その生活がループしてしまう可能性もあります。
また、睡眠時間が短くなると食欲が増大するようにホルモンの分泌が調整されてしまうので、より過食ぎみになってしまいます。これらの状況を漢方では、『湿熱』がたまっている、栄養バランスが悪く『血』が不足し精神的に安定しづらい状況と考えます。ということで、今週食べるとよい食薬は、『湿熱』を取り除き『血』を補う【鶏ひき肉ともやしの玉子とじ】です。
食薬ごはん【今週食べるとよい食材:鶏ひき肉ともやしの玉子とじ】
レシピはこちらです。
<材料>
もやし 1袋
ニンニクの芽 1袋
鶏ひき肉 150g
溶き玉子 2個
みりん・醤油 各小さじ2
<作り方>
もやし、ニンニクの芽、鶏ひき肉を炒め、溶き玉子にみりんと醤油を混ぜたものを加え、火が通ったら完成。
【もやし】
気兼ねなくたっぷり食べることができ、シャキシャキとした歯ごたえがあるため食べ応えもあり早食いも防ぐことができるので満腹感を感じさせてくれます。もちろん、食物繊維も含むため腸活にも役立ちます。コントロールしがたい食欲を感じさせる『湿熱』の除去に役立ちます。
【鶏ひき肉】
食欲のコントロールに働くセロトニンなど神経伝達物質の材料となる鉄、ビタミンB群、アミノ酸などを含み『血』を補うために役立ちます。そのほかにも脳の疲労をやわらげるイミダゾールジペプチドも含まれています。
食欲が止められないときには、しっかりと食べていても栄養バランスが悪かったり、きちんと食事が消化吸収できていなかったり、不摂生やストレスによって無駄にビタミンB群やミネラルが消耗されていることなどもあります。そんなときには、比較的消化の負担が少ないミンチにしたお肉や玉子などをかさまし食材の代表もやしと一緒に食べることで満足感を得るようにして取り入れるのがおすすめです。不摂生なループから抜け出すことは簡単ではありませんが、少しずつ改善を目指していきましょう。
ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。
また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。
Information
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。
©Mono/Gettyimages
©Milan Markovic/Gettyimages
文・大久保愛
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