江口のりこ「今42歳ですけど、19歳で東京に来たときの感覚からずっと変わってない」
ananweb / 2023年4月21日 21時0分
淡々としたしゃべりで鋭く的確なツッコミを繰り出す、なんだか気になる名バイプレイヤー。かと思えば、’21年の連ドラ『SUPER RICH』で主演を果たし、注目度は増すばかり。しかし、そんな自分をも俯瞰しているような気もして…。江口のりこさんのインタビューをお届けします。
――主演ドラマ『ソロ活女子のススメ』がシーズン3に突入です。今や人気シリーズですが、この作品への思いを伺えますか?
私自身は、同じことを何回もやるのがあまり好きじゃなくて。でもこれ、現場のスタッフがすごい少人数なんです。監督とカメラマン、照明さん、音声さんっていう毎度おなじみの6人だけで、その方たちに会えるのが楽しいっていう。なかでも照明の田頭さんは結構年配の方なんですが、ため息もつかず座りもせずに一生懸命やっていて、そういう現場に励まされてここまでやってきた感じです。
――江口さんご自身のソロ活は?
出かけるのは、わりとひとりですよ。まあ、散歩とか喫茶店とか、映画や芝居を観に行ったりとか普通のことです。たいていのことはすぐに飽きちゃうんで。だから、散歩して、コーヒー飲んで、ばっかりです。
義務教育が終わったらすぐに田舎を出たかった。
――江口さんは、中学卒業後に高校に進学せずにアルバイトでお金を稼ぎ、俳優になるために上京してきたそうですが、何か俳優になりたいと思うような決定的な作品があったりしたんでしょうか?
あるわけではないんですよね。ただ映画を観ていて、芝居をするっていうのはどういうことなのかは全然わかってなかったんですけれども、その中で過ごすのは楽しそうだなと思ったんですね。田舎で毎日が退屈な中で映画がすごく面白そうなものに見えてたんです。
――その頃はどういうものをご覧になっていたんですか?
いろいろなジャンルを観てました。洋画も邦画もなんでも。映画館にも行きましたけど、当時、BSでやっていた『衛星映画劇場』が結構好きで、それを観てたんで。
――じゃあ当時は、こういう映画をやりたい、とかではなかった?
なかったですね。映画に出たいっていうのも、たまたま観てたのが映画だったからかもしれないです。中学3年生のとき、部活も終わって周りは高校受験に向かって勉強してる中、私は高校に行かないつもりでいたから別に勉強することもなく。…ってなると、本当にすることないんですよ。
――映画より、高校に進学しない選択が先にあったんですね。
そのつもりでした。田舎があんまり好きじゃなくて、義務教育が終わったらすぐ出たいと思っていました。うちはお兄ちゃんも高校に行かずに働いていたので、進学しないということが自分にとって特別なことではなかったですね。
――周りは気にならなかった?
ならなかったです。担任の先生からは何度も説得されましたけど、恥ずかしいことをしてる気持ちも別になかったし、もともと天の邪鬼な性格で、周りに逆らいたくなるところがあるから、みんなと合わせた方がいいのかなみたいな気持ちには全然ならなかったです。
――俳優は、上京するための理由づけみたいなもの? それとも“やっぱり俳優”だった?
やるなら俳優業をやりたいと思っていましたね。でも、どうやったらなれるかわからなかったので、とにかくお金さえ貯まったら、地元から出ていこうと思ってました。
――上京して劇団東京乾電池に研究生として入られるまでは、全然演劇に興味がなかったそうですね。
なかったです。でも、すぐ好きになりました。やってみたらめちゃくちゃ面白いんですよ。研究生って週に2回の授業だったんですけどね、毎回楽しかったです。
――どこが面白かったですか?
うまく言えないけど…いろんな自分に気づくっていうんですか。セリフをもらって、人前でそのセリフを言おうとするとすごく緊張したり、いつもと違う自分になっちゃったり。とにかくいろんな発見があったんですね。人前に立ってライトを浴びて、みたいな気持ちの良さとかではなく。あと、座長である柄本(明)さんがすごいんです。演出で私たちを導いて、演劇の面白さを教えてくれるわけですよ。言葉でとかじゃなくね。
――上京前に思い描いていた俳優像とのギャップのようなものは?
それはなかったな。理想がなかったですから。それより田舎を出たかった。出られた嬉しい、しかも毎日面白いっていうそれだけで、変な欲とかも全然なかったですし。
――東京生活も楽しかった?
最初は寂しかったです。18年間家族とずっと一緒にいて、急にひとりぼっちになるのって、こんなに寂しいのかって思いました。
――舞台をやりながらも、映画に出ることは考えていました?
何も考えてなかったんですよ。舞台に夢中になって年に3本くらいやっていたら、ある日事務所から映画のオーディションに行くように言われて。そこで、そういえば映画やりたいって言ってたなって思い出したぐらいです。
――触れてみた映像の世界は…。
面白かったです。初めての映画が三池崇史監督だったんですが、今思えば私のできない感じとかもキャラクターとして面白がってくれて、自由にさせてくれたなって。
――そこから徐々に映像作品でも活躍されるようになって、今や主演も務められています。そのことに対してはどう感じていますか?
今42歳なんですけど、19歳で東京に来たときの感覚からずっと変わってないです。数字だけ見たらウソーって思いますけど、今も劇団にいて、自分の先生は柄本さんで、生活圏もそんな変わってないし。昔より仕事はしてますけれども、じゃあって特別な場所に来たみたいなのは全然ないです。
江口さんが主演するドラマ『ソロ活女子のススメ3』は、毎週水曜深夜1時~テレビ東京ほかで放送中。周りの目を気にすることなく、ひとりの時間を満喫している五月女恵(江口)の日常が描かれる。過去にはフレンチフルコースディナーやサバゲー、ラブホテルなども体験。
えぐち・のりこ 1980年4月28日生まれ、兵庫県出身。’99年に劇団東京乾電池の研究生となり、翌年入団。2002年より映像作品にも進出し、ドラマ『野田ともうします。』『その女、ジルバ』『モモウメ』など代表作も多数。6月5日に開幕予定の舞台『パラサイト』への出演が控える。
カーディガン¥188,100 シャツ¥266,200 パンツ¥290,400 シューズ¥132,000(以上メゾン マルジェラ/マルジェラ ジャパン クライアントサービス TEL:0120・934・779)
※『anan』2023年4月26日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・清水奈緒美 インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)
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