夫は生活費を稼ぎ、妻は家事を担う…続けると「妻が大損するかもしれない理由」
ananweb / 2023年5月13日 21時0分
婚活サポート・結婚相談所を経営している、作家の安本由佳さん。ご自身のインスタグラムに届くお悩みを毎週掲載します。リアルな婚活市場を取材してきた知見を生かし、恋愛、仕事、夫婦、家族、友だちなどいろいろな悩みにお答えします!
生活費を彼が持つなら、私は仕事を辞めて家事に専念するのが公平…?
『安本由佳のお悩み相談室』では、個人のインスタグラムで募集し、回答してきた3,000を超えるお悩みアーカイブの中から、ananweb読者の皆さまにもぜひ共有したい内容をピックアップしてお届けしています。
みなさまにとって、自分らしく幸せに生きるヒントになれば嬉しいです!
さて、今回ご紹介したいお悩みはこちら。
お悩み:結婚を前提にお付き合いしている彼がいます。結婚生活についていろいろ話していたところ、もともとは「仕事は続けても辞めても好きにしたらいいよ」と言ってくれていたはずなのに、話が現実的になったら「仕事を続けるのはいいけど、あくまで家事を優先してほしい」「仕事を優先して家事が疎かになるくらいなら仕事を辞めてほしい」と言われてモヤモヤしています。「俺の稼ぎで生活できるんだから」と譲らず、家事分担をするという発想がなさそうでした…。
私は仕事を辞めたくありませんが、仕事と家事を完璧に両立できる自信は正直ありません。生活費を彼が負担してくれる場合、私が仕事を辞めて家事に専念するのがフィフティフィフティーなのでしょうか。(28歳・会社員)
役割分担は夫婦それぞれで決めればいい
大前提として、生活費や家事分担の割合は夫婦それぞれが決めればいいことで正解はありません。
夫が生活費のすべてを負担し、その代わりに女性が家事育児の一切を担うシステムを採用したってもちろんOKです。負担割合が必ずしもフィフティーフィフティーでなければいけないなんてルールもありませんしね。
ただし、お互いに心から納得していればの話です。
彼は当初「仕事は続けても辞めても好きにしたらいいよ」と言っていたのですよね。相談者さんもそのつもりで、結婚後も仕事を続ける前提でお付き合いしていたわけです。しかしながら結婚生活が現実味を帯びてきた途端、彼は「仕事を続けるのはいいけど家事を優先してほしい」「家事が疎かになるくらいなら仕事を辞めて欲しい」などと言い始めました。
…すみません。人の婚約者に無礼を承知で言わせていただきますが、彼はいったい何様のつもりなのでしょう。どういう立場で、何の権限があって、自分にとって居心地のいい家庭を作るため妻の意に反して仕事を辞めさせていいと思っているのでしょうか。
言うまでもなく、結婚生活は二人のものです。彼にとってだけではなくて、当然ながら、相談者さんにとっても居心地の良いものであるべきです。自分の希望だけを押し付けるのは横暴でしょう。
相談者さんが仕事を辞めたくないと考えているなら、はっきり伝えましょう。その上で、双方がお互いに歩み寄る形で、一緒に妥協点を見つけてください。
赤の他人が一緒に暮らすのが結婚ですから、意見の食い違いは今後もいろんな場面で起こります。相手の考えを聞き入れ、歩み寄ることのできない相手との結婚生活は想像以上に苦痛ですよ…。互いに尊重し話し合いのできる関係性を築いておくことは、幸せな結婚生活に欠かせない条件です。
仕事を辞めて家事に専念するリスクは膨大
それから、夫が生活費を稼ぐ代わりに妻が家事育児の一切を負担するやり方はまったく公平ではありません。(繰り返し言いますが、互いに納得の上ならば何の問題もありません。)
夫の労働は金銭対価を得られるばかりか、評価されてキャリアの蓄積にもなるし、それによって社会的地位も上がります。その一方、妻がどれだけ家事育児に時間と体力を費やしても1円ももらえませんし、評価もされずキャリアにもならないし、社会的地位も得られません。むしろ夫に言われるがまま仕事を辞めてしまった場合、得られたはずの給与もキャリアも社会的地位も捨てることになるわけで大損しているとすら言えます。
彼は「俺の稼ぎで生活できるんだから」などと言っているようですが、自分の居心地の良さのため妻に仕事を辞めさせて、それによって被った相談者さんの金銭的・社会的損失についてはどう補填するつもりなんでしょうか。生活費を負担するだけで十分だと考えているのだとしたらとんでもない勘違いですし、そもそも結婚生活が一生続く保証もない中で妻の負うリスクが大きすぎます。
ただ、百歩譲って考えるなら、彼は昔ながらの結婚観に時代遅れな憧れを抱いているだけかもしれず、夢いっぱいの時期にわざわざ事を荒げなくてもいいのかも…という気もします。
「仕事は辞めたくないから続ける。家事もできる限りで頑張るね」などと穏便に流しておき、結婚後、相談者さんは言葉通りできる範囲で家事をします。それでもし彼が相談者さんの【できる範囲】に満足できず不満をぶつけてくるようなことがあったら、その時は「頑張っているけど、現実的に無理なんだよね」と伝え、家事分担あるいは家事代行サービスの利用を受け入れてもらう。ーーこういう、なし崩し的な方法もアリだとは思います。この頃には彼も結婚生活の現実を理解して、今より話し合いが楽にできる可能性もあるからです。
ただしこの方法は根本的に彼が相談者さんをリスペクトしていない限りうまくいかないので、見定めは慎重にしてくださいね。
筆者紹介
安本由佳 作家 / 婚活サポート・結婚相談所経営
慶應義塾大学法学部卒。2016年〜2020年まで東京カレンダーWEBで執筆し「二子玉川の妻たちは」「私、港区女子になれない」などのヒット小説を生み出す。著書に、婚活に悩む女子200名に取材して執筆した「不機嫌な婚活(講談社文庫)」、モテ商社マンと港区女子の恋愛模様を描いた「恋と友情のあいだで(集英社)」がある。リアルな婚活市場を取材してきた知見と、特技の四柱推命鑑定を取り入れた親身なアドバイスで婚活サポート・結婚相談所も経営している。
©Charday Penn/Getty Images
文・安本由佳
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