不動産会社の経営者が教える! 選んではいけない「マンションの間取り」
ananweb / 2023年6月3日 21時0分
今回は、ファミリータイプのマンションを購入する際に、選んではいけない「NG間取り」の特徴についてご紹介します。単身用やDINKS向けの物件と比べ、どんなポイントを押さえておけばいいのでしょうか? 『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著書であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんにアドバイスしていただきました。ぜひマンション選びの参考にしてください!
1. 10畳以下の狭いリビングがある物件
家族が集うリビングには、大型家具を置きたいという方が大多数です。予算との兼ね合いもあると思いますが、あまりにも狭すぎるリビングの場合、気に入った家具が置けない可能性があり、おすすめできません。ダイニングテーブル、ソファ、テレビ台などをゆったり配置する上でも(キッチンエリア含め)10畳以上あるのが理想的です。
一番のおすすめは、横に小部屋がついたリビングです。というのも、よくお子さんがいる方から「リビングやキッチンで家事などをしているとき、遊んでいる子どもが見えないと不安です」という声をお聞きするからです。リビングに小部屋がついていれば、キッズスペースやプレイルームとして活用できるため、非常に便利です。
小部屋は4、5畳くらいの広さがあるのがベターです。歩き回る年齢のお子さんの場合、おもちゃや絵本などを置いておけば留まって遊んでくれるのですが、あまりに狭いと退屈して部屋の外に出てしまうことが多いと聞きます。また、ドアや引き戸など出入り口がひとつしかなく、リビング側からのみ出入り可能な造りであることが望ましいです。そうすることでお子さんの出入りが確認でき、目が届きやすくなります。
なお、お子さんがいない方でも小部屋があれば、リモートワーク用やペット用のスペースとして活用できますし、収納場所にすることも。また、小部屋がなくてもリビングの一角を仕切ってキッズスペースにできるため、やはりリビングにはある程度の広さがあったほうがいいでしょう。
2. 壁付けキッチンがある物件
壁付けキッチンとは、キッチンの前面が壁に接しているタイプのキッチンのことで、ウォール型キッチンとも呼ばれます。壁との間に空間がないため部屋が広く使えることから、団地やアパートなど日本の住宅ではよく見られるタイプのキッチンです。
部屋が広く使えるのは大きなメリットですが、壁の方向を向きながら料理をすることになるため、小さなお子さんがいて目が離せない方には不向きです。また、リビングやダイニングからキッチンが見える造りなので生活感が出たり、家電などの置き場所に苦労したりということもあります。
さらに、お客さまからキッチンの中が丸見えになってしまうのが恥ずかしいという声もよく聞きます。パーテーションなどで仕切って工夫すれば解消できますが、できれば避けたほうがいいでしょう。
おすすめは、対面式キッチンです。リビングのほうを向いて作業できるため、開放感があり、お子さんの様子を見守ることもできます。また、テレビを見たり、ご家族と対話したりするなど料理の時間を有効活用できるところもポイントが高いと思います。
3. 寝室にできないサービスルームがある物件
2LDK+Sといった間取りの表記を見ることがあると思いますが、この「+S」とは、サービスルーム(納戸)のこと。建築基準法では居室と認められる基準として「窓の最低面積が床面積の7分の1以上あること」と定義されています。つまり、サービスルーム(納戸)となるかどうかは、窓の大きさで決まります。
サービスルーム(納戸)は居室よりも小さな窓しか付いていなかったり、窓がなかったりする場合もあり、収納部屋や書斎などとして使う方が多いです。ですが、使い方が限定されてしまうのはもったいないですし、広すぎる収納部屋などは必要ないという方もいらっしゃると思います。そこで採光があまり取れない部屋だからこそ、主に夜に利用する寝室として活用してはいかがでしょうか?
その際、ポイントになるのは置きたいサイズのベッドが収まる広さかどうか。とくにダブルやクィーンサイズなどの大きなベッドが入るか、しっかり確認してほしいです。図面上では大丈夫に見えても、柱や梁が邪魔をしてベッドが収まりきらない場合もありますので、内見する際に部屋の寸法を測っておくと安心です。
4. 壁式構造の物件
間取りはリノベーションすることによって自由に変更できます。ですが、建築構造について理解しないまま物件を購入してしまうと、変更できないという残念な結果になってしまうので注意が必要です。
建物構造には代表的なものとして「ラーメン構造」と「壁式構造」があります。「ラーメン構造」とは柱と梁で建物を支える構造のこと。食べ物のラーメンではなく、ドイツ語の「枠」「額縁」を意味するRahmenから名付けられたものです。柱と梁で枠組みを作り、そこに壁や床を張っていくため耐震性が高く、鉄骨造や鉄筋コンクリート造のマンションや公共建築物などで多く採用されています。建物の構造に影響しない壁であれば、取り外したり移動したりできるため、大がかりなリノベーションでも行うことが可能です。
一方、「壁式構造」とは、柱や梁の枠組みの代わりに壁で建物を支える構造のこと。「耐力壁」と呼ばれる縦や横からの力に強い鉄筋コンクリートの壁を使い、床と壁を接合していきます。建物を支える重要な壁のため取り払うことができず、リノベーションして間取りを変更する際に制限が出てしまいます。ただし、建物構造に影響を与えない壁であれば取り払うことは可能です。希望する間取りを考える際、壁が耐力壁かどうか確認する必要があります。
気になる物件があり、「将来的に間取りを変更するかもしれない」と思っている方は、「ラーメン構造」か「壁式構造」か、建築構造についてもチェックおくとよいでしょう。
Information
教えてくれた人
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。
取材、文・高倉優子
©studio marble/Getty Images
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