映画史に残る不朽の名作揃い! 珠玉の短編の数々を紹介
ananweb / 2023年7月22日 19時0分
ディズニー映画の変遷や魅力を深く知れるのが、初期から制作され続けている短編作品や、1話完結のシリーズ作品。それらを楽しむために押さえたいキーワードと、おすすめの作品を紹介。
ディズニー映画の世界をもっと楽しむための珠玉の短編作品ガイド。
「『ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ』設立当初からウォルト・ディズニーは、短編作品で腕を磨きながらアニメーションの世界に革新を与えてきました。そのスピリットを受け継ぎ、1世紀にわたり、ディズニーは時代を先取りするような最高の技術と情熱を注ぎ込んだ短編の傑作を世に輩出しています」と、映画ライターのよしひろまさみちさん。
さらに動画配信サービスが普及したことで、ジャンルの幅が広がり、自由度が増していると話す。
「人気長編作品に登場するキャラクターのスピンオフのほか、ドキュメンタリーなど、ディズニー好きにはたまらないバラエティ豊かな短編がディズニープラスで配信されています。1本数分〜数十分と短いながら見応えのある作品ばかりで、気軽にディズニーの世界観を堪能でき、ディズニー・アニメーションの歴史をアーカイブ的に振り返れるのも魅力です」
クラシック作品はディズニー・アニメーションの原点。
ディズニー・アニメーションの黎明期を支えたのが、一枚一枚手描きするセル画を用いて制作された短編のクラシック作品。
「『蒸気船ウィリー』は当時は珍しい、映像と音楽を融合した“トーキー・アニメーション”として成功しました」(よしひろさん)
『骸骨の踊り』から『みにくいアヒルの子』まで、美しい音楽と愛らしいキャラクターで描いた『シリー・シンフォニー』シリーズも映画史に残る不朽の名作揃い。
「この時代の短編は、ディズニー作品の金字塔と呼ばれるものが多く、古今東西のクリエイターたちに大きな影響を与えた、いわばアニメーションの原点です。セル画ならではの手馴染みに色あせない魅力を感じられます」
【Disney】『蒸気船ウィリー』(1928)
ミッキーマウスのスクリーンデビュー作。
ミッキーが世界的なスーパースターとして知られるきっかけとなったモノクロ作品。蒸気船の舵を取りながら陽気に口笛を吹くシーンが有名で、ウォルト本人が担当したミッキーの声にも注目。© 2023 Disney
【Disney】『三匹の子ぶた』(シリー・シンフォニー)(1933)
当時のアニメ業界に新風を巻き起こした伝説の短編集。
1929年から’39年に、ディズニー・スタジオの若きクリエイターたちが作り出した『シリー・シンフォニー』75本の短編のうちの一つ。有名な童話をもとに描かれた作品も多い。© 2023 Disney
【Disney】『ドナルドの魔法使い』(1952)
ハロウィンの夜が舞台。魔女が正義の味方!?
魔女のヘーゼルが空を飛んでいると、お菓子をもらいに来た甥っ子たちにイタズラをするドナルドを発見。3人と協力し、魔法の力を使ってドナルドに一泡吹かせようと画策する。© 2023 Disney
短編作品は映像新時代を切り拓いてきたショーケース。
最近の短編作品は、次世代を担う若手クリエイターたちを育てる場として有効活用している。
「特にピクサー・アニメーション・スタジオは、新作を出すたびに作品を効果的に見せるための新技術を開発しています。短編だからこそ新しいことにどんどんトライできる。長編の本編に併せて最新の短編も劇場公開されることが多いのですが、短編の『BAO』でアカデミー賞を受賞したドミー・シー監督は、『私ときどきレッサーパンダ』の監督に抜擢され話題に。短編は、新しい才能を発掘したり、先進的な技術を実験的に試す、ショーケースとして重要な役割を果たしているんです」
多くの作り手にチャンスを与えるために、短編にフォーカスした配信限定のプロジェクトも始動。
「可能性を発掘するアーティスト養成プログラム『Pixar Spark Shorts』や、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで働く誰もがアイデアを提出できる『ショート・サーキット』など、革新的な作品も発表できる場が増え、短編の幅はさらに広がっています」
【PIXAR】『BAO』(2018)
中華まんに命が宿る! 親子の絆を描いた傑作。
『インクレディブル・ファミリー』と同時上映され、アカデミー賞を受賞。人間のお母さんに育てられた中華まんの成長物語。反抗期を迎えた中華まんに、母親がとった衝撃の行動とは。 © 2023 Disney/Pixar
【PIXAR】『殻を破る』(Pixar SparkShorts)(2020)
ディズニー史上初。LGBTQを主人公にした作品。
アーティストの養成を目的としたピクサーの短編プログラムより。『殻を破る』は、両親へのカミングアウトに悩む同性愛者を描いた、実話に基づくお話で内容が新鮮! © 2023 Disney/Pixar
【PIXAR】『ゲーリーじいさんのチェス』(1997)
ディズニー/ピクサーが短編に力を入れ始めた原点。
初めて劇場で公開された短編で、『バグズ・ライフ』と同時上映。1人2役でチェスに興じる老人のお話。老人の表情が実になめらかに描かれ、当時のCGアニメーションに一石を投じた意欲作。© 2023 Disney/Pixar
【Disney】『愛犬とごちそう』(2014)
愛犬の視点から描いた、愛をテーマにした物語。
『ベイマックス』と同時上映。飼い主に恋人ができたことで、ジャンクフード好きの愛犬の食生活は一変。やがて破局を迎え、憔悴した飼い主を見て、愛犬がある行動を起こす。© 2023 Disney
【Disney】『ショート・サーキット』(2020‐2021)
初監督作品が勢ぞろい。実験的なショート作品集。
アーティストが自分のアイデアを自由に披露できる短編シリーズ。現在はシーズン1、2合わせて20作品を配信。なかでもボディ・ポジティブをテーマにした『リフレクト』は世界中で話題に。© 2023 Disney
【Disney】『リトル・プリン(セ)ス』(Disney Launchpad)(2021)
ディズニーが新世代の若き映像作家たちを支援。
様々なバックグラウンドを持つ映像作家たちの短編作品の制作を支援するプロジェクト「Disney Launchpad」。なかでも『リトル・プリン(セ)ス』は、バレエや人形遊び好きの中国人少年との友情物語を描いた注目作。© 2023 Disney
掲載作品は、すべてディズニープラスで配信中
視聴には、月額990円、年額9900円の2プランがあり。
よしひろまさみちさん 映画ライター、フリーエディター。テレビや雑誌など様々なメディアで映画を紹介。コラムやインタビューの執筆も多数。子供の頃からアニメーションが好きで、ディズニー映画にも精通。
※『anan』2023年7月26日号より。取材、文・鈴木恵美 構成・野尻和代
(by anan編集部)
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