石臼で砕かれる残酷場面も…! ド迫力な「地獄の十王」に圧倒される“あの世”をめぐる展覧会
ananweb / 2023年8月30日 19時0分
静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)で「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」が開かれています。本展では、静嘉堂文庫美術館が所蔵する仏教美術の名品を一挙に公開。冥界や地獄の様子などを描いた作品が展示されています。“あの世”に行く前に、ぜひ見ておきたい展覧会をご紹介!
「地獄の十王」をイッキ見!
「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」展示室入り口 ※本記事の写真はプレス内覧会で許可を得て撮影しています。
【女子的アートナビ】vol. 309
「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」では、静嘉堂文庫美術館が所蔵するコレクションのなかから、仏教美術の名品を紹介。「十王図・二使者図」と「地蔵菩薩十王図」全13幅を一挙に展示するほか、江戸絵画の人気作品や円山応挙の《江口君図》、おなじみの国宝《曜変天目(稲葉天目)》も出品。重要文化財や重要美術品なども含まれた、見ごたえある展覧会です。
企画を担当された静嘉堂文庫美術館学芸員の吉田恵理さんは、次のように解説してくれました。
吉田さん 当館が所蔵する仏画は、質が高く珍しい作品があるのが特徴です。静嘉堂の創設者・岩﨑彌之助は、明治時代、廃仏毀釈などによる文化財の海外流出や、散逸を憂い、仏教美術も集めていました。中国や朝鮮半島、そして日本の仏画もコレクションに含まれています。本展では、今回はじめて十王図をまとめて展示しましたので、ぜひ味わってみてください。
意外に楽しい!? 冥界ツアー
河鍋暁斎《地獄極楽めぐり図》より「田鶴の臨終」 明治2年(1869)
では、各展示室の見どころをいくつかご紹介。
第一章「極楽浄土への招待」では、中国、朝鮮半島、日本のさまざまな仏画などを展示。ここでの見どころは、河鍋暁斎の作品《地獄極楽めぐり図》のうち「田鶴の臨終」です。この作品は、日本橋の小間物問屋である勝田五兵衛の娘・田鶴を供養するため、暁斎が描いたもの。勝田は暁斎のパトロンでした。
展示されている場面は、14歳で亡くなった田鶴を、阿弥陀三尊が迎えにきたところ。この後、田鶴は地蔵や弘法大師をお供にして冥界ツアーに出かけます。地獄を見物したり、閻魔大王と宴会したりとさまざまな場面が登場。作品の隣に複製が置いてあるので、暁斎が描いた冥界ツアーを自分の手でめくりながら楽しめます。
石臼で砕かれる残酷場面も…!
「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」展示風景
第二章「地獄の十王ここにあり」では、本展のハイライトである十王図が勢ぞろい! 十王とは、人が亡くなったあとに行く冥界にいる裁判官のこと。亡くなった人は、冥界の十王によって現世の罪を裁かれ、その後どこに行くのか、何に生まれ変わるのかが決まります。有名な閻魔大王も十王のひとりです。
「十王図」の見どころについて、吉田さんは次のように解説してくれました。
吉田さん 十王図では、王が堂々と大きく配置され、手前には、裁きを受ける亡くなった人が描かれています。亡くなった人が、少しでも良い場所に行けるよう、縁者が王に仏像や掛け軸などを持参する様子もたくさん描かれています。功徳を積んでください、とアピールをする意味も含まれていると思います。また、石臼で砕かれる人を描いた残酷な場面もあり、細かく見ていくと非常におもしろい作品です。
応挙の大人気作品が登場!
「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」展示風景
第三章「昇天した遊女―円山応挙筆『江口君図』の謎に迫る」では、重要文化財の「普賢菩薩像」と、円山応挙の「江口君図」を並べて展示。さらに、応挙型の幽霊を写した「幽霊図」や、重要文化財の「西行物語」、さらに国宝の「建窯 曜変天目(稲葉天目)」も同室にあり、貴重な作品が集まるゴージャスな展示空間になっています。
応挙の《江口君図》は、遊女・江口君の亡霊を普賢菩薩に見立てて描いた作品です。
吉田さん 描かれている江口君は、遊女の面影もありますが、普賢菩薩でもあり、幽霊画であるとも考えられ、いくつもの意味がこめられています。本展では、極楽世界から展示がはじまります。冥界のなかの「あの世」をぜひ探検してみてください。
会期は9月24日まで!
この展覧会は、9月24日まで開催。功徳を積めば地獄行きを免れるなど、将来、役に立つコトも作品から学べるかもしれません。ぜひ、美術館で“あの世”を探検してみてください。
Information
会 期:~9月 24 日(日)
会 場:静嘉堂@丸の内
開館時間:10:00~17:00 ※金曜は 18:00 閉館。 ※入館は閉館時間の 30 分前まで
休 館 日:月曜日、9 月 19 日(火) ※9 月 18 日(月・祝)は開館
観覧料:一般¥1,500 大学・高校生¥1,000 中学生以下無料
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