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やす子「“やす子”は自分のなりたい人間なので、めっちゃ楽しいです」

ananweb / 2023年9月30日 19時50分

やす子「“やす子”は自分のなりたい人間なので、めっちゃ楽しいです」

迷彩服と“はい~”という口ぐせ、そしてチャーミングでピュアなキャラクターで愛されるやす子さん。ここまでの歩みから芸名のことなどを教えてくれました。

この日、撮影場所の公園へ向かう途中、すれ違う人たちから「やす子~!」と声をかけられたり、手を振られるやす子さん。そのすべてに「ありがとうございます~」と丁寧に応え、一緒に写真を撮ってほしそうにしている小学生の男の子には自ら声をかけに行く姿に人柄の良さが滲み出て、お茶の間に愛される理由が伝わってくる。



――2023年上半期ブレイク芸人ランキング1位を獲得するなど大人気です。

ありがたいです。でも怖いです。昨年4位だったので嬉しいですが、今年初めのテレビ番組のネクストブレイク芸人ランキングでは3位だったのでどういうこと~!? ブレイク芸人だったはずなのに~!? って。ずっとループし続けて、来年はネクストブレイクに入っている可能性があります。とにかく今の仕事を継続できるように頑張ろうという感じです。はい~。



――ここまで愛されている理由は何だと思いますか?

えぇ~、わからないです。何を求めているんだ~。だけど、一般的な職業よりはお金を多くもらうので、なんだろう、人としては良くならないといけないなとは思いますし、感謝を忘れたら終わりだなって。もし私が、「おい、水買ってこい!」「炭酸にしろよ~」とか言い出したら止めてください。



――絶対にそうはならないお人柄だと思います。忙しい日々の中で体や気持ちは疲れていませんか。

22時~朝4時までのロケが月に4~5回入ることがあって、それが続くと大変だったりします。マネージャーさんの口癖も「はい~」なので、なんでも受けちゃうんです。「はい~、はい~」って。でも、きっと今売れている方はみんな、この道を通ってきていると思うし、自分の場合は来年何もなくなっている可能性があるので、一つ一つ大事に頑張りたいです。



――疲れた時のリフレッシュ法や元気を出す方法はありますか?

ひと月のうち20日くらいはコンビニの夜ごはんを食べるんですけど、そこで牛乳プリンを買うことが今の幸せです。家では何もしてないですね。帰ってバーン! と寝て、バーン! と起きて、仕事~! っていう。なんのためにお金を稼いでいるのかわかりません。洗濯物がどんどん溜まっていくばかりです。でも、皆さんの方がずっと忙しいと思います。

人生の全部において断り方がわからないんです。



――やす子さんは、友だちに誘われて芸人になられたそうですね。

はい~。自衛隊を辞めた後、中学校の用務員さんをしていた20歳の時に、友だちに「漫才をしたいんだよね」と言われて。自己主張をしない子だったのでびっくりしました。ずっと家にテレビがなく、自衛隊時代もまったくメディアを見ていなくて何も知らなかったから「いいよ」と言えちゃったところがあります。今、あの時に戻れたら絶対に断ります。無理無理無理無理って。その後、友だちがいろんな事務所に履歴書を送って今の事務所のソニー・ミュージックアーティスツに入りました。当時はお笑い部門には年齢制限がなく、文字が書けたら誰でも入れて、芸人の墓場と呼ばれていたんです。アキラ100%さんやハリウッドザコシショウさん、バイきんぐさんとか本当にハゲと裸しかいなくて。友だちはそれが嫌だったみたいで、初めてのライブに来ず、ピン芸人でやることになりました。本名は安井かのんというんですけど、芸人として舞台に出るのはこれが最初で最後、この舞台に出たことは誰にも知られたくないと思って、やす子という名前をつけて。はい~。だから今もピン芸人としての名前を考えています。



――では、今は、やす子(仮)なんですか?

変えるチャンスを逃してここまで来ちゃいました。はい~。



――ネタをやらずに帰る選択はしなかったんですね。

ライブが始まる前にスタッフの方が“暗転板付き”とか用語を教えてくれたりと、どんどん場が進んでいって、順番にやらないといけない空気があって。自衛隊にいたから、上官の命令は絶対じゃないですか。だから断り方がわからないんです。人生における全部においてそうで、マッサージの力が強くて首が取れちゃいそうだと思っても「大丈夫です」と言ったり、エアコンが強いなと思っても言えなかったりするんです。最初のライブは多分、1分くらいで終わったと思います。もともと音楽をするための場所だったので、私の声もお客さんの笑い声も吸収されて、本当に真っ黒の虚無に向かってしゃべっている感じでした。



――その後も続けたのですね。

初めて舞台に出た後、“さぁ、かーえろ!”と思っていたら作家さんのアドバイスを聞かないといけなくて。さらに「来月はこの日だから」と、ライブのスケジュールと手売りしなければいけないチケットを渡されて、上官の命令は絶対なので断れなくて。あと、毎週水曜日にネタ見せがあり、そこで芸人の知り合いができたことも大きいです。でも、「辞めたい」が言えなかったことが一番です。



――今、お仕事は楽しいですか?

5年目になるんですけど、こんなに長く続いたものが人生において初めてなので、もしかしたら自分の中ではやりやすいのかなと思います。学校とかで話しかけられるタイプじゃなかったんですけど、平場(ネタ以外の部分、トークやロケなどのこと)の時は、ビジネスですけど話しかけてもらえるので嬉しいです。“やす子”は自分のなりたい人間なので、お仕事でそんな自分になってケラケラ話すのは、めっちゃ楽しいです。

やすこ 1998年9月2日生まれ、山口県出身。2019年から芸人としての活動を開始。’21年にブレイク芸人の登竜門である『ぐるナイおもしろ荘』に出演。以後、多くのバラエティ番組やCMに引っ張りだこ。宇部ふるさと大使を務めている。今年7月には「はじめてのきょく」「なんもないアンモナイト」など配信限定シングルをリリースして話題に。

※『anan』2023年10月4日号より。写真・吉松伸太郎 インタビュー、文・重信 綾

(by anan編集部)

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