早期発見のためにも知っておきたい! 【乳がん】お風呂で簡単セルフチェック法
ananweb / 2023年12月12日 18時30分
形やサイズも気になるけれど、何より大事にしたいのはおっぱいの健康。やっぱり気になる乳がんのこと、ちゃんと知っておきましょう。乳がん×クイズで基本的な知識や、勘違いしがちなポイントをチェック! 教えてくれたのは、乳腺科医の島田菜穂子先生です。
【問題1】かかりやすいのは40~50代だ。
乳がんの年齢別罹患数
(2019年、国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」)
答え… 60代以上の患者さんも増えています。
5年ほど前までは、乳がん患者で多い年代といえば40~50代だった。ところが、今、私たちの親世代である60代以上の患者さんも増えているという。
「全年齢層で増えているのですが、なかでも、ここ5年くらいで60代以上の人がかかることが増えてきました。欧米では以前から、年齢が上がるとともに罹患率も上がっていったのですが、日本人やアジア系の人は50代くらいに罹患率のピークがきて、それ以上の年代では徐々に下がっています。どうしてそこに違いがあるのか理由はわかっていませんけれど、近年は日本も欧米のようになりつつあるのかもしれません」
だとすると、閉経後もずっと乳がんに気をつけていかなければならない。何歳になっても乳がん検診を受けることが常識になっていきそうだ。
【問題2】男性でも乳がんになることがある。
答え… かなり稀ですが、可能性はあり。
女性の乳がんが9人に1人なのに対し、男性の乳がんは1000人に1人程度。乳がん全体の約1%といわれ、とても珍しいけれど実際にあることは知っておきたい。
「男性が乳がんになることを知らない人も多いですよね。男性自身でも疑いもしない人がほとんどだと思いますが、男性にも乳腺がある以上、そこにがんができることもあるのです。たとえば、祖母や母など近親者が乳がんになったことがある場合は、男性でも遺伝性乳がんのリスクが上がります」
【問題3】乳がんを予防する方法はない。
答え…× ずばり、運動習慣が予防につながります!
「運動習慣は、自分でできる唯一のリスク回避法といえます。乳がんと大腸がんについては、一定の運動量があればリスクが下がるというエビデンスが出ていますし、乳がんの再発予防にも効果的です」
どのくらいの運動量かというと、1週間あたり、ジョギング程度の運動を1時間が目安。ジムなどで有酸素運動を20分×3回するだけでもいい。
「実は、若い人の運動量の低下が問題になっています。できるだけ若いうちから運動習慣を身につけておくといいですね」
【問題4】叔母さんが乳がんになったけど、自分には関係ないと思う。
答え…× 「遺伝性乳がん」のリスクが。早めの検診を。
3親等以内の親族(母、祖母、おば等)が乳がんになった人は「遺伝性乳がん」のリスクが。
「遺伝性というのは、乳がんに関してはもっとも大きいリスクです。しかも、遺伝性乳がんは20~30代など若くして発症しやすいのが特徴です」
とくに(1)複数回乳がんになった場合、(2)左右両方の乳がんだった場合、(3)男性乳がんになった場合、(4)卵巣がんになった場合(遺伝性乳がんは卵巣がんのリスクも上げることがわかってきている)は、できるだけ若いうちから検診を受け始めたほうがいいという。
「親族が発症した年齢マイナス10歳から検診を始めましょうというのがアメリカでのガイドライン。なので、その親族が何歳で乳がんになったかも聞きましょう。40歳未満だと自治体や会社の無料検診がないので、自分で乳腺科を受診して、必ず検診を受けてください」
【問題5】セルフチェックでがんを発見できる。
答え… 毎日触れて、変化に気づくことが早期発見のポイント。
乳がんは、体調の変化などがあらわれにくいので、乳房に変化がないか気づくことが早期発見のポイント。まだ検診を受けていない若いうちから自分の胸に触れてセルフチェックを習慣にしたい。島田先生は、お風呂上がりなどのルーティンで毎日触れるのがポイントだと話す。
「病気を見つけるつもりのセルフチェックは怖いし億劫かもしれませんが、もっとシンプルに、いつもと違うところがないかどうかだけを気をつければいいんです。体を洗いながら素手で触れてみたり、お風呂上がりにボディクリームを塗りながらちょっと意識してみるだけでOK。月に1度ちゃんとやるとかではなく、とにかく毎日触れる。そうすれば、異常があったときに気づけます」
ピンクリボン運動でも「ブレスト・アウェアネス」といって、「気づき」の大切さを伝えていく活動が重視されているという。日々のボディケアの一部として習慣にしてみよう。
【お風呂で簡単セルフチェック】
洗顔、シャンプーといった当たり前の習慣のひとつに、胸のセルフチェックを。あれ? と思うことがあったら、乳腺科を受診しよう。
チェックポイントはここ!
・クリクリと動くしこり
・ゴツゴツして動かないしこり
・痛み
・分泌物(ミルク状、透明、赤色、褐色)
・皮膚のへこみ、ひきつれ
入浴時に乳房を触ってみる
いちばん手軽で、続けられる方法はお風呂で体を洗うときに素手で触れること。ボディソープの泡で滑りもよくなるのでスムーズにセルフチェックできる。
乳頭の周りを押して分泌物が出ないかチェック
乳首から分泌物が出るときは、乳がんとは限らないけれど何かしらの異常のサイン。月に1度くらいの頻度で、痛くない程度に押してたしかめてみよう。
鏡の前に立って乳房を見る
お風呂上がりがおすすめ。腕を上げて頭の後ろで組み、乳房の形、左右の違いを見る。くぼみやひきつれ、乳首の変色がないかどうかも目視でチェック。
“の”の字が基本
乳房と左右反対側の手の指の腹を使って、乳首を中心に“の”の字を描きながら手を滑らせていくイメージ。乳房の外側、腋のあたりまでまんべんなく触っていく。
島田菜穂子先生 「ピンクリボンブレストケアクリニック表参道」院長。筑波大学卒。渡米して研究し、帰国後はピンクリボン運動立ち上げに参加するなど、乳がん啓発活動も牽引。
※『anan』2023年12月13日号より。イラスト・鈴木衣津子 取材、文・黒澤 彩
(by anan編集部)
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