【ビジネスマナー】 「BCC」が重大ミスにつながることも! ビジネスメールのNGマナー
ananweb / 2023年12月9日 20時10分
メールの宛先に使われる「TO」「CC」「BCC」ですが、それぞれの意味の違いをご存知でしょうか。使い方を間違えてしまうと情報漏洩や取引先からの信頼を失ってしまうことになるかもしれません。今さら聞けない「TO」「CC」「BCC」の使い方や意味の違いについて、秘書歴約15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。
「TO」「CC」「BCC」の正しい使い方
【元社長秘書のマナー講座】vol. 14
日ごろの業務で使うことの多いメール。宛先には「TO」がよく使われますが、「CC」と「BCC」という項目があるのはご存知ですよね。では、「CC」と「BCC」の違いは知っていますか?「TO」「CC」「BCC」にはそれぞれ意味があり、使い方や受け取ったときの対応も異なります。特に「CC」「BCC」は複数の人にメールを送るときに使われるため、しっかりと意味を理解していないと情報漏洩やトラブルになる可能性が…。今回は、知っておくと便利な「TO」「CC」「BCC」の特徴や意味、そして使い方を分かりやすく解説します。
1. 「TO」「CC」「BCC」のそれぞれの特徴とは?
「TO」「CC」「BCC」には明確な違いがあるため、複数人に同時にメールを送信する際には、間違えないように注意しなければなりません。それぞれの設定の特徴をしっかり理解していきましょう。
【TO】
用途:メインとなる宛先の相手に使う
アドレスの公開 :公開される
TO、CC、BCCに設定した人全員に、メールアドレスなどの情報が表示される
【CC】
用途:内容を共有したい相手に使う
アドレスの公開 :公開される
TO、CC、BCCに設定した人全員に、メールアドレスなどの情報が表示される
【BCC】
用途:他の受信者に知られたくない相手に使う
アドレスの公開 :公開されない
送信者以外には情報が表示されない
2. 内容を共有したい相手「CC」の使い方
「CC」とは、カーボンコピー(Carbon Copy)の略です。単に「シーシー」と呼ばれることが多いですが、正しい読み方はカーボンコピーです。メインは「TO」に指定されている人で、CCに指定されている人は「念のためにメールを確認してほしい人」という意味合いになります。ビジネスメールで利用する場合は、同時に知らせておきたい上司などを指定することが多く、CCに指定された人には返信の義務はありません。また、メールを送信する際は、冒頭の宛名の下に「CC:様」とCCで送っている人がいることを明確にすると、気持ちよくメールのやりとりができるので明記しておくといいでしょう。
3. 「CC」のよくあるミスと注意点
急いで返信する場合に起こりがちなのが、全員ではなく「TO」指定されている人にだけ返してしまうことです。やりとりを共有するために「CC」に入っていることを考えると、そこで切れてしまうことは失礼にあたりますので、注意してください。そのためにも「CC:様」を入れると気が付きやすいですが、「CC」が多い場合は「CC:関係者各位」の表記でも構いません。うっかり「TO」のみに返信してしまった場合は、追ってお詫びとともに全員に再送しましょう。
4. 他の受信者に知られたくない相手「BCC」の使い方
「BCC」はブラインドカーボンコピー(Blind Carbon Copy)の略です。簡単にいうと「ブラインド(目隠し)されたCC」です。特徴は、「BCC」に設定したアドレスは送信者以外には見えません。基本的には「CC」と同様に複写の扱いとなりますが、「CC」との大きな違いは「BCC」に指定されたメールアドレスは「TO」や「CC」に指定された人からは見えない点です。そのため、「TO」や「CC」に指定した人に隠したい宛先がある場合や、社外の複数の人に同時にメールを送りたい場合などに利用されます。
BCCの使い方の例
「BCC」に入力されたメ-ルアドレスは、TOやCCや他のBCCでの受信者には表示されないため、業務上では以下のような場合で使われることがあります。
1.複数の相手への一斉配信(お知らせメールなど)
2.クレーム対応や重要なメールを、相手に知られずに上司に把握してもらいたい場合
3.個人のスマートフォンや携帯電話など、ほかの端末にバックアップ代わりに送っておきたい場合
面識がない複数の相手にメールを送る場合は「一斉配信のためBCCで失礼します」と一言入れたほうが対応が親切です。
5. 「BCC」のよくあるミスと注意点
「BCC」は他の受信者にメールアドレスが表示されないことから、複数人に一斉送信する場合にとても便利です。しかし、誤って使用してしまうと「個人情報の漏洩」につながり、昨今ニュースなどでも取り上げられるほど大きな問題となってしまう可能性があるため注意が必要です。知っておきたい注意点についてご紹介します。
追加できる数に制限がある
BCCはメールアドレスを隠して送れるため一斉送信をする際にも使えますが、追加できる数に制限があります。メールサーバーによって制限数は異なりますが、例えばGmailでは500人以上の相手に一斉メールを送信すると「送信できるメールの制限数に達しました」というエラーメッセージが表示されます。
個人情報の漏洩
「BCC」で送ったつもりが「CC」で送ってしまった場合、メールの受信者に多くのメールアドレスを伝えてしまうことになります。社内のメールなら許されることでも、外部に発信するメールの場合は重大な事故として処理しなければなりません。
メールマガジンの配信では使用するのは止めよう
BCCは一斉送信に向いているものの、メールマガジンの配信で使用するのはおすすめできません。理由としては、サーバーに負荷がかかり、メールの遅延が起こることがあるからです。また、一斉送信するとスパムや迷惑メール扱いされてしまう場合もあること、IPアドレスがブラックリストに載る可能性があるためメール不着となり仕事に支障をきたすことが考えられます。一斉送信の場合には、今一度内容を確認し慎重に送りましょう。
おわりに
上手に使えばビジネスを円滑に進めることができる「CC」と「BCC」ですが、正しく理解し使う必要があります。迂闊にCCに入れてしまい、メールアドレス漏洩に繋がることもあるため、知られてよい相手なのかどうか判断を間違えないように気をつけましょう。どのようなケースで「TO」を選択すべきかや、「CC」「BCC」の違いをしっかりと覚え、目的に応じて宛先の設定を使い分けをし、ぜひ日々の業務に役立てくださいね。
<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。
©うみの丘デザイン/Adobe Stock
文・能美黎子
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