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小島秀夫、話題のホラー映画『TALK TO ME』は「クオリティが高くて驚いた」

ananweb / 2023年12月23日 20時0分

小島秀夫、話題のホラー映画『TALK TO ME』は「クオリティが高くて驚いた」

いま世界で最も話題のホラー映画『TALK TO ME』を手がけたフィリッポウ兄弟と、世界的ゲームクリエイターである小島秀夫監督の鼎談を実施! 作品のことから、お互いのもの創りへの考えまで、終始ハイテンションで楽しいトークをお届け。



――フィリッポウ兄弟と小島監督の出会いを教えてください。



小島秀夫(以下、小島):『TALK TO ME』のティザーが公開されて、こいつはすごい! と。その後にYouTubeを見たら、特殊メイク、VFX、アクションと色々な要素が全部入っていて、しかもクオリティが高くて驚いた。この世代には勝てない、会ってみたいと思って連絡しました。



マイケル:大ファンだったので、光栄すぎて慌てましたね(笑)。



――小島監督のゲームをプレイしていたんですか?



ダニー:もちろん!



マイケル:『P.T.』(幽霊の住む屋敷の廊下をループしながら探索するホラーゲーム)は本当に素晴らしい。超クール!



ダニー:小島監督は、すごく存在感がある人で。



マイケル:でも、いつも楽しくて緊張感なく話せるんだよね。クリエイティブな頭をしているので、刺激を受けます。



小島:ずっとテンションが高くて。僕は60歳なので羨ましい。



マイケル:もし小島監督が棺桶に入ったらエナジーを与えに行くので呼んでください。



小島:(笑)。敬愛するジョージ・ミラー監督も双子ですが、二人に会って初めて双子っていいなと思いました。2馬力でしょ。1人で20時間働いても時間が足りないから。たとえば、現場で俳優Aと話をしていると、その間、俳優Bとは話せない。でも双子なら同時にできるので。



マイケル:たとえば何かアイデアが浮かんで、すごくクレイジーだから、他の人みんなに「できるわけないよ」と言われても、双子だから「いや、できるよ」と言えるところが強みの一つ。一応、現場ではダニーが監督で彼が演出について話します。二人が監督で入ると、「え、さっきダニーが言っていたことと違う」となっちゃうから。



ダニー:喧嘩をする時は、みんなの前ではせず、スマホでテキストを打って見せる感じ。



マイケル:で、僕は見ないふりをするっていうね(笑)。



――YouTuberとしても活躍するフィリッポウ兄弟ですが、小島監督が作品を作り始めた時代とは、もの創りの環境がかなり異なるように思います。



小島:まず発表の場があることが違いますよね。僕らの時は、脚本を書いて、カメラを調達して、友だちを騙して集めて(笑)、現像して、編集して…なので、お金もものすごくかかります。でも、今はデジタルだから、カメラもライティングもCGも全部できるし、世界中の人が見ているネットで発表できます。



ダニー:今みたいに発表する場がないために埋もれてしまった、いいアイデアがいっぱいあるかと思うと悲しいね。



マイケル:以前、小島監督に聞いた、子どもの頃に映画作りをしたという話がすごく面白くて、映画化したいくらい。もちろん、小島さんにも出てもらう!



小島:(笑)。内臓が飛び出るシーンを撮るのに、肉屋で腸を買ってきたりとかね。実際、現場でやってみたら、人間のじゃないので大きすぎて使えなくて。



ダニー&マイケル:あはははは。



マイケル:夕日の話も最高!



小島:夕日のシーンが必要だったけどなかなか撮れなくて、友だちのお父さんが撮っていた夕日のフィルムを切りました(笑)。



――『TALK TO ME』を観ていかがでしたか?



小島:ホラーというより降霊版ドラマ『ユーフォリア』という印象です。パーティ、セックス、ドラッグ、その向こうに降霊があるという。YouTubeは、導入がゆっくりしていると、視聴者が飛ばしたりするじゃないですか。でも今作は最初から編集がされていないワンショットで入っていくので、作り方を変えているのかなと。



マイケル:ドラマとホラーの両方を偏りなく、バランスよく作りたかったんです。ホラーもバイオレントな要素も、ストーリーにおいて必要なものだけを入れました。弟のライリーが煉獄に行くというホラー要素の強いシーンも、2分30秒くらいあったのを15秒くらいに短くしたり。



ダニー:フレームごとに細かく見ていくと、ものすごいシーンが間に入っていたりもします。



小島:手が作品のアイコンとしてあることや、死者との繋がり、友だちや親とのコネクションなど、僕の作った『DEATH STRANDING』と近いところもあって驚きました。僕は、主人公が元彼と手を合わせるシーンが好きなんですけど、ビジュアルで見せていく場面なので、「I miss you」とか言わせたりしそうなところなのに、やらないのがいい。



ダニー:僕もそのシーンが好きで、長引かせたいと伝えていたところなので、嬉しいです。



マイケル:僕は切りたかったし、「I miss you」と言わせたかったけどね!



3人:(爆笑)



小島:病院の街灯が消えるシーンも撮影が難しいと思うんですけど、ワンショット撮影に慣れているんだろうなと。



ダニー:でも、そのシーンは難しくて14テイクかかったかな。



小島:十分、少ないですよ!



ダニー:えー!



マイケル:オープニングのパーティシーンは大規模なものにしたかったので、毎日インスタグラムで人を募集したところ、ものすごい人が集まってしまって。当日、Wデッカー(2階建てバス)が何台も必要だったり、さらに、現場に人が勝手に入ってきたりもして、カオスに(笑)。でも、いい絵になりました。



小島:僕らもゲームなので、なるべくワンショットを狙うんですけど。今作は本当にいきなりワンショットから始まるので、現代の若者たちへの映画という感じがします。アメリカン・ニューシネマに続く、YouTube・ニューシネマになるんじゃないでしょうか。



――印象的な手のビジュアルは、どのように仕上げたのでしょう。



マイケル:最初は指の角度やフォルムも違いましたね。



ダニー:あと、木の台に載っていたけど、腕の部分を重くして自立するようにしたり。“人と触れ合いたい”という気持ちを表現した仕上がりになりました。



小島:なぜ、左手なんですか?



ダニー:歴史的に悪者の手は左じゃないですか。マイケルは悪いやつなので左利きです。



マイケル:でも、左利きの人ってクリエイティブだよね!



3人:あははは。



――影響を受けたホラー映画はありますか?



ダニー:『エクソシスト』とか。『リング』は前に書いた短編にすごく影響を受けています。



マイケル:『殺人の追憶』も。色々なジャンルが混ざっているところがいいです。



小島:僕は悪魔とか日本の幽霊が一番怖い。ゾンビは存在するから物理的に攻撃ができるので怖くないんです。



ダニー:僕は幽霊でも殴るかな。



3人:あははは。



マイケル:小島監督の『P.T.』は、幽霊屋敷の2階にリサがいるところが怖いよね。



小島:子どもの頃、よくテレビで映画を放送していて、解説者の話があるんです。でも、夕方と夜中の映画番組に解説はなく、異国の映画が突然、前情報もなく始まるのがむちゃくちゃ怖くて。『P.T.』は、架空のスタジオの名前を使うなど、そういう怖さを利用しています。



ダニー&マイケル:なるほど!



小島:映画『鬼婆』(熱狂的人気を誇る1964年公開のホラー作品)もテレビで観ました。



ダニー:『鬼婆』は観てなくて。



小島:僕はフィッリポウ兄弟が『鬼婆』を観てると知って、この人たちイケてると思ったけど、マイケルさんだったんですね。



マイケル:(小島監督とグータッチして)クールなのは僕!



ダニー:わ、絶対観なきゃ。



『TALK TO ME』
母を亡くし、日々、寂しさを募らせていた17歳のミア。高校の同級生たちの間で降霊を楽しむ「憑依チャレンジ」が流行っていると知った彼女と親友のジェイドは、集まりに参加。久しぶりに生きる実感を味わい、虜になってしまう。しかし、ある時、守らなければならない“90秒ルール”を破ってしまい…。12月22日から丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国でロードショー。
©2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival,Screen Australia

ダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟 映画監督、YouTuber。1992年11月13日生まれ、オーストラリア出身。ジャンル映画愛溢れるハイテンションな動画が人気のYouTubeチャンネル「RackaRacka」を運営する双子。『TALK TO ME』で長編監督デビュー、A24製作で続編『TALK 2 ME』も決定。ゲーム『ストリートファイター』の実写化作品の監督に抜擢されたことも話題に。

こじま・ひでお ゲームクリエイター 1963年生まれ、東京都出身。コジマプロダクション代表。’87年、初めて手掛けた『メタルギア』でステルスゲームと呼ばれるジャンルを切り開く。独立後初となる『DEATH STRANDING』が世界的に話題となり、現在は『DEATH STRANDING 2』を制作中。映画、小説などの解説や推薦文も多数。

※『anan』2023年12月27日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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