巨匠画家マティス、本邦初公開となる大作も! 晩年の「切り紙絵」に注目した展覧会
ananweb / 2024年2月28日 21時0分
「色彩の魔術師」と呼ばれた20世紀の巨匠画家アンリ・マティス。彼は20世紀初頭、原色を多用した強烈な色彩による絵画様式“フォーヴィスム(野獣派)”を生み出し、生涯にわたって色とフォルムによる造形美を模索し続けた。1941年、腹部のガンのため車椅子生活となり、絵が描けなくなった彼が精力的に取り組んだのが「切り紙絵」だった。
巨匠マティスの愛した手法「切り紙絵」にフォーカス。
本展「マティス 自由なフォルム」はマティスが晩年に取り組んだ切り紙絵に焦点を合わせた初の展覧会。切り紙絵作品を表紙にしたアートブック『ジャズ』や、《ブルー・ヌードIV》や《クレオールの踊り子》といった切り紙絵の代表作やテキスタイル、晩年に取り組んだヴァンスのロザリオ礼拝堂にまつわる作品など、約150点が一堂に集結。
なかでも見逃せないのは、本邦初公開となる切り紙絵の大作《花と果実》。縦4m・横8mに及ぶ大作だ。これは、もともと別荘の中庭に設置する巨大な装飾として考案されたものだったが、現在ではニース市マティス美術館のメインホールを飾る作品だ。それが本展のために修復を経て初来日したが、巨大かつ華やかな独特の存在感で、会場では早くも本展の象徴として親しまれている。
同様に注目してほしい作品が、マティスの集大成・南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂。この礼拝堂は壁面装飾がきわめてシンプルで、生命の木をモチーフにしたステンドグラスと、聖ドミニクスなどが描かれた3つの陶板壁画で構成されている。彼はこの礼拝堂の内装から典礼用の調度品、祭服に至るまで、ほとんどのデザインを自分で手掛けた。会場では、ステンドグラスや祭服など、ロザリオ礼拝堂にまつわる作品や資料を展示するほか、ステンドグラスの光の移り変わりを体感できるような、礼拝堂の実物大の体感型のインスタレーションも設置されている。
自然が大好きで、様々な花や観葉植物に囲まれた、まるで植物園のようなアトリエで制作を行っていたマティス。鳥も好きで、多い時には300羽も飼っていたこともあったとか。そんな環境が彼の創作の原点。自然のモチーフから生み出された作品は植物や動物を極限まで抽象化したフォルムと、そこからインスピレーションを得た極彩色が特徴。純度を極めた色づかいは、現代のグラフィックアートに繋がる。だからこそ時代を経ても褪せない美しさがある。
「切り紙絵では色彩の中でデッサンすることができる」という言葉を残しているマティス。生涯、色彩を愉しみフォルムと戯れた、豊かな人生をも垣間見られる内容だ。
アンリ・マティス《花と果実》1952‐1953年 切り紙絵 410×870cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez
アンリ・マティス《ブルー・ヌード IV》1952年切り紙絵 103×74cm オルセー美術館蔵(ニース市マティス美術館寄託) ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez
画家として歩み始めた初期の作品。
第1・2章では法律事務所で働いていたマティスが画家に転身した初期の作品も紹介。その後、様々な画家たちとの出会いから彼は色彩に傾倒してゆく。
アンリ・マティス《マティス夫人の肖像》1905年 油彩/カンヴァス 46×38cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez
アンリ・マティス《ロカイユ様式の肘掛け椅子》1946年 油彩/カンヴァス 92×73cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez
大型作品への取り組み。
1920年以降は絵画に限らずテキスタイルや衣装、壁面装飾など大型作品も手掛けたマティス。第3章では記念碑ともいえる大型作品誕生の原点を探る。
アンリ・マティス《パペーテ - タヒチ》1935年油彩/カンヴァス 225×172cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez
ロザリオ礼拝堂に向けられた熱意。
晩年のマティスが4年もの歳月をかけ完成させた礼拝堂は、建築家やガラス、陶器職人などたくさんの人が関わって生まれた最高傑作。
アンリ・マティス《ステンドグラス、「生命の木」のための習作》1950年 ステンドグラス 62.3×91.5×2cm ニース市マティス美術館蔵 ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez
ヴァンスのロザリオ礼拝堂(内観) ©Succession H. Matisse Photo:Francois Fernandez
マティス 自由なフォルム 国立新美術館 企画展示室 2E 東京都港区六本木7‐22‐2 開催中~5月27日(月)10時~18時(金・土曜~20時、入場は閉館の30分前まで) 火曜休(4/30は開館) 一般2200円ほか TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)
※『anan』2024年2月28日号より。文・山田貴美子
(by anan編集部)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
現実世界の重力・引力に似せた図式を持ち、独自の絵画空間を出現させる。辰野登恵子 個展「辰野登恵子展」
NeoL / 2024年7月11日 20時0分
-
AZUL BY MOUSSYが「JACKSON MATISSE(ジャクソンマティス)」とのコラボレーションアイテムを発売!
PR TIMES / 2024年7月10日 17時15分
-
南フランスの港街から出かける小さな旅。芸術家たちが愛したコート・ダジュールの明るくノスタルジックな風景の中を行く老夫婦の知的な旅の一か月『コート・ダジュールの小さな旅』発売!
PR TIMES / 2024年7月1日 16時15分
-
石田ゆり子「19歳のとき心を奪われて以来、特別な存在です」大好きなモネの展覧会でアンバサダーに!
ananweb / 2024年6月23日 9時0分
-
画家が見つめる、静物画のふしぎ ー愛らしい伊豆の仏像も展示
共同通信PRワイヤー / 2024年6月21日 10時0分
ランキング
-
1大谷翔平&真美子さんのレッドカーペット中継に… 人気アイドルが「思いっきり映ってる」と話題
Sirabee / 2024年7月18日 15時40分
-
2がんや早死にのリスクを高めるだけ…和田秀樹が「女性は絶対に飲んではいけない」と話す危険な薬の名前
プレジデントオンライン / 2024年7月19日 10時15分
-
3義母と元夫は減塩生活中!? 嫁に去られた親子の今…【お義母さん! 味が濃すぎです Vol.48】
Woman.excite / 2024年7月15日 21時0分
-
4Q. スイカの皮は食べられますか? 【管理栄養士が回答】
オールアバウト / 2024年7月18日 20時45分
-
5「持ち運び用の最適解...」無印の"990円"充電器、価格以上の優秀さだった。
東京バーゲンマニア / 2024年7月18日 20時8分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください