朝一番のコーヒーはNG?「夕方にならないと元気がでない人」の特徴と対策
ananweb / 2024年3月15日 20時30分
朝スッキリと目覚められず、なんとなくだるいまま午前が過ぎてしまう、というかたは多いのではないでしょうか。じつは、朝の不調には、よかれと思ってしがちな毎日の習慣が逆に悪影響を与えてしまうことがあるそうです。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、朝に疲労やだるさを感じる人のための食薬習慣と、NG習慣を教えてくれます!
朝はだるい、昼食後は眠い…どうにかなりませんか?
【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 257
朝からだるい、やる気がしない、スッキリ起きることができないと感じることはありませんか。そんな日には、朝のコーヒーに頼ることが多いのではないでしょうか。朝食は食べなくとも、朝起きたらコーヒーだけは準備して出かけようと、毎日の歯磨きのように当たり前の習慣になっているかたもいると思います。
カフェインの働きは、“元気の前借り”とも言われています。本当は何もせずとも、体のリズムが整っていて朝からスッキリと目が覚め、午前中を元気で有意義に使うことができる状態が理想です。ですが、カフェインに頼る毎日を続けていると、コーヒーを飲んだタイミングだけ元気になり、その後だるさや集中力の低下を感じてしまうことがあります。そのため、再びコーヒーを飲むことを繰り返し、元気を前借りするためにさらに多くのカフェインを欲し、いつの間にかカフェインに依存してしまう場合があるのです。
ということで、今回はカフェインの力を借りずとも朝から体が軽く、元気でいられるように、その対策となる食薬習慣を紹介していきます。
今週は、疲労感・だるさの対策となる食薬習慣
みなさん、今朝はスッキリ目覚めることができましたか? 朝から疲労感やだるさを感じる人は、午前の時間をもうろうとした状態で過ごすこととなり、あっという間に夕方になってしまった、ということがあるかもしれません。朝はだるく、昼食後は再び眠くなり、夕方ごろに焦ってやっと集中力が増していくということもあると思います。
もし、このような生活が毎日続いたら、どこかでリセットしなければと思いますよね。朝を有意義に過ごせるかどうかということは、一日を充実させるためにとても大切なことです。
ということで、まずは朝から疲れている人はどんな体質なのか、漢方医学的にみていきましょう。漢方医学では、『腎陽虚』といわれ、とくに朝が弱い人と考えられています。また、むくみやすかったり、睡眠の質が低下しやすかったり、コルチゾールの分泌の乱れに伴う様々な不調を感じていることなどもあります。
そこで、亜鉛やマグネシウムなどのミネラルが豊富な食薬と抗酸化力の高い食薬で『補腎』することがおすすめです。今週食べるとよい食材は、『腎』の働きを助ける【牡蠣と大葉の炊き込みご飯】です。ただ『腎』は、急に改善することは難しく、食生活の見直しを行い、その習慣化が必要となります。そのため、日ごろからミネラルや抗酸化物質を取り入れるようにしてみましょう。
NG習慣は、元気の前借りになってしまう可能性がある【朝一番のコーヒー】です。
食薬ごはん【牡蠣と大葉の炊き込みご飯】
ミネラルが多いことで『補腎』に役立つ牡蠣とβカロテンを多く含む大葉を使い、炊き込みご飯にしてみてはいかがでしょうか。『腎陽虚』のときには、気力がなく食事もお惣菜などに頼りがちになってしまします。そんなときは、炊飯器に入れるだけのレシピに頼ってみましょう。
<材料>
A
お米 2合
牡蠣 100g
生姜 2片(千切り)
醤油 大さじ2
酒・みりん 各大さじ1
水 適量
B
大葉 6枚(刻む)
<作り方>
Aを炊飯器に入れ炊いて、刻んだ大葉(B)をまぜて完成。
NG行動【朝一番のコーヒー】
コーヒーには、抗酸化作用や抗炎症作用、血糖値の上昇を抑える作用のあるポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれています。また、朝からシャキッとするために必要なカフェインも含まれています。ですが、多すぎると胃を荒らしてしまったり、睡眠の質に影響したり、依存性を生じたりとデメリットもあります。コーヒーは、タイミングや量によってプラスに働いたり、マイナスに働いたりと少し調整が難しいものなのです。カフェインの許容量は個人差が大きいので、ご自身の日中のパフォーマンスや睡眠の質などを配慮しつつ、適正量を見つけることが大切です。
また、朝の時間帯に目を覚ますように体はコルチゾールを分泌します。ですが、カフェインはコルチゾールの分泌に影響するため毎朝コーヒーを習慣として飲み続けることは体のリズムを乱し、朝の自然な目覚めを阻害してしまう可能性があります。そのため、体調と相談しつつ空腹時を避けたり、起きてから1時間以上あけてから飲んだり、夕方以降は控えるようにするなど、体調に響かない取り入れ方の工夫をしていきましょう。
早起きは三文の徳とはいいますが、朝起きることだけではなく、午前中から集中できたり、元気に活動できる体でいることも大切ですよね。漢方医学では、朝の元気を取り戻すための体質改善には時間が必要だと考えています。ただ、即効性が期待できないからと言って放置していては、これから先の時間ももったいない気がします。食薬を通じて、有意義な時間を増やしていきたいですね。そして、そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。
近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。
ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。
Information
<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』(KADOKAWA)
体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。
©drawlab19/Adobe Stock
文・大久保愛
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