七海ひろき「ジョーとしてカッコよくいることが課題」 『サイボーグ009』初の舞台化
ananweb / 2024年5月22日 21時0分
謎の組織「黒い幽霊団(ブラック・ゴースト)」により、戦争兵器としてサイボーグに改造された、年齢も性別も人種も様々な9人が、自らの運命に逆らい平和のための闘いに挑む。漫画家・石ノ森章太郎さんが描いた『サイボーグ009』は、誕生から今年で60年。それを記念して初の舞台化が決定。タイトルロールのサイボーグ009こと島村ジョーを演じるのが七海ひろきさん。
「パフォーマンスもふんだんに盛り込まれた楽しい作品に」
「原作を読んでまず感じたのは、いろんなテーマが詰め込まれた作品だということでした。サイボーグに変えられたみんなの、心は人であるのに肉体は機械だという葛藤もありつつ、友情や親子にとどまらずいろんな愛が描かれてもいる。いろんな気持ちになるし、考えさせてもくれる作品だなと思いました。今回の台本も読ませていただいたのですが、ブラック・ゴースト側に従うサイボーグ0010の+(プラス)と-(マイナス)のふたりと戦うのが物語の主軸となっています。ふたりの兄弟愛も感じられますし、ダンスやアクションの分野で世界的に活躍されている方々が出演されて、お芝居だけでなく歌やダンスといったパフォーマンスもふんだんに盛り込まれるはずなので、感覚的にも楽しい作品になるんじゃないかと思います」
ゼロゼロナンバーを背負ったサイボーグ戦士たちは、全身に武器が仕込まれていたり、口から高熱火炎を放射したり、飛行できたりと、ひとりひとりが特殊な能力を持つ。七海さん扮する009は加速装置で高速移動が可能。アクションシーンは、ダンスなども駆使しながら見せていくそうだが、SF的な設定がどう舞台で表現されるのかも楽しみ。
「演出の植木(豪)さんが以前手がけた舞台『進撃の巨人‐the Musical‐』を拝見したのですが、それが素晴らしかったんです。冒頭から作品の勢いを感じさせてくれましたし、ダンスで構成した場面の見せ方も素晴らしくて場作りが巧み。展開は早いんだけど、お客さんを置いていかない演出家さんという印象があります。植木さんなら、キャラクター全員が魅力的に見えるよう作ってくださるはずだと信頼していますので、私はやれることを全力で精一杯やるのみです」
島村ジョーといえば、スマートな容姿に加え、正義感が強く優しい人柄もあり、多くの人が憧れるキャラクター。宝塚歌劇団で男役として活躍した七海さんの009に扮した写真が解禁されると、原作漫画とまた違う凛々しい姿が大きな話題に。
「島村ジョーが初恋の人だったとおっしゃる方もいるくらい人気のキャラクターだけに、イメージを壊さないようにというプレッシャーはあります。彼が戦うのは自分のためではなく、仲間だったり誰かのためであって、優しさが全面にある人。戦闘能力が高い一方、相手を傷つけたくないと葛藤する精神もカッコいい。私としては、ジョーとしてカッコよくいることが課題です」
個性的なキャラクターが揃う作品だけに共演陣も多彩。音波(おとは)みのりさんや声のみの出演の天華(あまはな)えまさんなど、宝塚時代から縁のある面々も。
「音波さんとは、出演が決まったときから、お互いにいろいろ情報交換をしていました。退団してまたこうして縁が繋がることが嬉しいです」
宝塚退団後も、垣根を越えて様々な役柄に挑戦。これまで誰も歩いてこなかった道を伸びやかに切り拓き、新たなファン層を獲得している七海さんの姿は清々しい。
「チャレンジが好きなんでしょうね。退団当初はうまくいかないことも多くて、ぐるぐると考えてしまった時期もありました。でもそういうとき必ず、ファンの方や周りの方が助けてくれて今がある。退団するときに、変わらないために変わり続けたいという挨拶をしたのですが、5年を経た今、その言葉があらためて自分にしっくりきています」
舞台『サイボーグ009』 世界に戦争を引き起こす死の商人の組織に誘拐され、兵器となるべくサイボーグに改造された島村ジョー(七海)。しかし組織に反旗を翻し、同じ志を持った仲間たちと世界平和のための闘いに挑んでゆく。5月18日(土)~26日(日) 東京・日本青年館ホール 原作/石ノ森章太郎 演出/植木豪 脚本/亀田真二郎 出演/七海ひろき、天華えま(声の出演)、高橋駿一、音波みのり、里中将道、桜庭大翔、酒井敏也、川原一馬、Toyotaka、滝澤諒、相澤莉多、中塚皓平、大高洋夫ほか 全席指定1万2500円 Mitt TEL:03・6265・3201(平日12:00~17:00)©石森プロ ©舞台「サイボーグ009」製作委員会
ななみ・ひろき 1月16日生まれ、茨城県出身。2003年、宝塚歌劇団に入団し、男役として活躍。’19年の退団後は、俳優、歌手、声優など幅広く活動し、昨年には舞台プロデュースも手がけた。
※『anan』2024年5月22日号より。写真・小笠原真紀 インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)
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