退職理由で言ってはいけないことは?【退職時のマナー】会社の正しい辞め方と注意点
ananweb / 2024年5月18日 20時30分
会社を辞めてキャリアアップをしたい、いまの会社が自分に合わない、などの理由で退職を決めたものの、いつ、誰に、どのような形で伝えればいいのか悩みますよね。また、退職の意思をどうしても直接伝えにくい場合に利用ができる「退職代行」について、実際に本当に即日辞められるの? と疑問に思っているかたも多いかと思います。周りに聞けない退職時の基本マナーを、秘書歴約15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが説明します。
退職時のマナー
【元社長秘書のマナー講座】vol. 37
今の職場を辞めて、新しくスタートを切りたいというかた、会社を辞めようか迷っているというかた、転職や退職の理由はそれぞれあるかと思います。どのような場合でも「会社を辞める」という決断は、多くの人にとって簡単ではありませんよね。では、実際に辞めると決めてからはどのような手順で進めたらいいのでしょうか。「上司にいつ、どのように伝えるべき?」「正直に退職理由を言っていい?」などと不安を抱えているかたも少なくないかと思います。
今回は、退職をする際の基本マナーについてご紹介します。また、近年では「退職代行」の利用者も増えており、「退職代行」を利用する際の注意点や疑問点についてもご紹介します。退職を考えているかたは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
退職をする際の基本マナー
退職の意思を伝える時期
退職の意思を伝える時期は、会社の就業規則により異なります。一般的には「退職日の1~3か月前」に伝えるのが望ましいとされています。また、退職を伝える時期は繁忙期はなるべく避けましょう。
最初に伝える相手
基本的に直属の上司に、まず退職意思を伝えましょう。上司を通さずに、その上の部門長や人事担当者に伝えてしまうと上司の機嫌を損ねトラブルにつながる可能性があります。伝える順番を守ることで、円満退職へ導くことができます。
伝える手段
まずは口頭で「ご相談がありますので、お時間をいただけますでしょうか」と伝えましょう。直接対面した場で退職の意思を伝えるのが基本的なマナーです。メールやチャットメッセージで「退職したい」旨を伝えるのは、マナー違反になりますのでやめましょう。
退職理由の伝え方ポイント
1. 退職理由は「個人都合」が基本
退職理由はあくまでも個人的な理由を伝えるのが基本であると覚えておきましょう。注意点としては、会社に対する不満を述べるネガティブな発言はNGです。理由を述べたくない場合には、会社とは関係なく自己都合でやめたいという意味合いで「一身上の都合で」と伝えましょう。
2. 退職への固い意思を伝える
退職への固い意志を伝えることが大切です。「退職したいと考えています」といった曖昧な表現をすると、「まだ引き止められる」という印象を与え退職交渉が長引いてしまう可能性があるため、しっかりと意思を伝えましょう。
3. ネガティブな発言は控える
退職理由はポジティブに言い換えて伝えることが大切です。今後の目標やキャリアプランなど、前向きな意欲を伝えるようにしましょう。また、転職先企業名を聞かれても、基本的に答える必要はありません。
「退職代行」について
退職代行とは、退職を望む本人に代わって代行業者が退職の意思を会社に伝えてくれるサービスです。「できれば今日から会社には行きたくない」「もう限界」「直接言えない」などの理由で退職代行を検討するかたも多いでしょう。退職代行についてQ&A形式にてご紹介します。
退職代行を利用した場合、即日退職が可能?
退職代行サービスを利用することで、実質的な即日退職が可能です。しかし、原則法律的に、退職をする2週間前までには会社へ退職する旨を伝える必要があります。退職意思の伝達後、2週間を有給消化や欠勤に充てることで、実質の即日退職が可能となります。また、やむを得ない事情によって即日退職をする方法もあります。
やむを得ない理由とは?
心身の不調により働けない状態や勤め先でのハラスメントが原因の退職の場合など、やむを得ない事由に該当する可能性がある場合は即日退職が可能です。「やむを得ない理由」が具体的にどう判断されるかは労働組合や弁護士に相談してみましょう。
有給を取得する交渉も退職代行業者がしてくれるの?
退職代行業者は、退職や有給消化の意思を伝えることはできます。しかし、民間企業が運営する退職代行業者の場合、弁護士でない退職代行業者が交渉すると非弁行為にあたり違法となってしまうため、会社による協議や交渉の申し入れへの対応ができません。退職を素直に受け入れてくれない可能性がある場合は、民間企業ではなく弁護士に依頼をすることをおすすめします。
おわりに
退職をする際には、円満に会社を辞めてスムーズに気持ちよく新しい環境へと進みたいですよね。しかし、様々な理由により、円満に進まない場合もあります。どうしても退職をしたい場合の一つの手段として「退職代行」を検討することも可能ですが、退職代行業者によっては会社との交渉に対応できない場合もあります。退職意思を伝えてほしいだけでなく、有給休暇を消化するなどして即日退職を望む場合には、民間企業ではなく労働組合もしくは弁護士への依頼をおすすめします。みなさまにとって、最良な手段が見つけられるよう願っております。
<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。
©aquamarine_paint/Adobe Stock
文・能美黎子
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