夏のベスト室温&湿度は? イヤ~な“湿度”のお悩み&最強対策法
ananweb / 2024年6月11日 20時0分
暑くて湿度が高い、それだけで不快になる! そう感じる理由と解決法を解説します。
冬は味方の湿気だけど、夏場は不快な厄介者に?!
肌はベタベタ、空気はジメジメ。洗濯物は乾かないし髪もさっぱりまとまらない…。冬には私たちの体や肌を潤してくれた湿気ですが、梅雨から夏の時期には、もはやただの敵。
「空気中に存在する水蒸気=湿気の量は気温によって変わります。単純にいうと、気温が高いほうが水蒸気を多く保持できる。夏の湿度が高いのはそういう理由から。日本の本州以西は温暖湿潤の気候に属し、夏場には太平洋側から水蒸気たっぷりの風が吹いてくる。日本の湿度が高い理由はそういった気候の影響が大きいんです」
と言うのは、大学で熱環境を研究している齊藤雅也さん。確かに、夏のうだるような暑さ、外にいるときには避けようもありません。
「でも室内は、家電の力を借りれば快適に過ごせます。キーワードは、除湿と空気の循環。エアコンとサーキュレーターとを上手に使えば、暑さもジメジメもしっかり対処できます」(家電ライター・石井和美さん)
なぜ湿度が高いと過ごしにくいのか、また夏のベストな室内の温度&湿度はどのくらいなのかを建築環境学から導き出し、そのために活用したいおすすめのサーキュレーターをご紹介。これを読めば、今年の夏は快適に過ごせること間違いなしです!
湿度と私たちの(夏の)イヤな関係
夏にムシムシするのは、気温が高く湿度も高いから。
「湿度とは、空気中に含まれる水蒸気の割合のこと。気温が高いほど空気中に水蒸気が存在できるスペースが広く、逆に低いほどそのスペースは狭くなる。なので、気温が低い冬よりも、気温が高い夏のほうが必然的に湿度が高くなります」(齊藤さん)
同じ気温でも、雨量などで湿度は変わってくるそう。最近の日本の梅雨~夏は雨が多くなっているので、ますます湿度が高くなり、過ごしづらくなる傾向が。日本の夏、困ったもんです。
夏場に目指すのは、室温26°C&湿度60%。
齊藤さんが推奨する夏のベスト室温&湿度がこちら。でも、冬場のベスト湿度は40%といわれており、湿度60%って結構高い? ちょっと蒸し暑いのでは…?
「そもそも湿度が高い夏なので、なかなか50%以下には下がりにくいです。でも四季を通じて60%は過ごしやすい湿度だと思います。とはいえ個人差がありますし、最近は電気代も安くありません。なので、室温26°C&湿度60%を基準に、心地よい環境を探してみてください」(齊藤さん)
熱い体を冷ますには、湿度を下げるのは必須。
人は汗をかき、それを蒸発させることで体の熱を放出しています。
「でも湿度が高い状態だと、すでに空気中に水蒸気がたくさん存在しているので、新たに保持できるスペースがない。つまり、汗をかいても蒸発できないんですね。その結果、肌はベタベタする、空気はじっとりしている、体の熱は下がらない=不快、となるわけです。暑いときは汗が蒸発するように湿度を下げ、さらに汗をかくと脱水症状を招くので、しっかり水分を摂ることが大事です」(齊藤さん)
湿気対策は、エアコン&サーキュレーターが最強。
「エアコンを冷房運転すると、部屋の中の熱い空気を取り込み、強制的にヒートポンプで冷やし、部屋の中に戻します。その“空気を冷やす”という工程で、空気の中に漂う水蒸気を液体にして部屋の外に放出するのですが、まさにそれが“除湿”という作業。結果湿度が下がり、快適度が上がります。さらにサーキュレーターで空気を動かすことで、部屋の隅にたまりがちな湿気もエアコンが吸収でき、排出できる。このダブル使いが大事なんです」(齊藤さん)
サーキュレーターってどんな家電?
直進の風が出る、部屋の空気を循環させるマシン。
羽根が付いていて、風が出る。ということは扇風機と同じ?
「扇風機は人が当たることが目的なので、羽根が大きくふわっとした風が出る。一方サーキュレーターは直進的な強い風を出し、それによって気流を作り、部屋の中の空気を循環させるのが目的。サーキュレーターの風は、強すぎる、痛い、と思う人も少なくないと思います」
と石井さん。この家電、コロナ禍で一般化し、すっかりお馴染みに。
「最近は、扇風機としても使える機能が付いたタイプも増えています。体に心地よいリズム風が出るタイプ、首振り機能、またお休みタイマー付きなども増えました。雑貨屋さんなどにもありますが、安いものを選ぶと稼働音が大きく実は電気代が高い。おすすめは、少し値は張りますが〈DCモーター〉を使っているタイプ。静かで、さらに風の強弱を細かく段階設定できるタイプが多いので、そちらを選ぶといいですよ」
【使い方】冷気を行き渡らせ、その後、気流を作る。
冷房運転時にはまず、エアコンの冷気が落ちる位置の床に置き、エアコンに向けてスイッチオン。強い風が一直線にエアコンに向かい、冷気が部屋に広がります。「エアコンは基本的には周囲の空気を取り込む。サーキュレーターで部屋の空気を動かすことで、エアコンから離れたところにある湿気も取り込むことができ、なおかつ乾いた空気も隅々まで行き渡る。結果、効率よく除湿&部屋を冷やすことができます」(石井さん)
齊藤雅也さん 札幌市立大学デザイン学部教授(建築環境学)。住まいの熱環境と快適性を研究。札幌市円山動物園などで、動物の熱環境を改善し繁殖に繋げるプロジェクトにも関わっている。
石井和美さん 家電ライター、家電プロレビュアー。ウェブ媒体を中心に、家電にまつわる記事を執筆。家電レビューのために一戸建ての〈家電ラボ〉を開設し、冷蔵庫などの大型家電の検証も行う。
※『anan』2024年6月12号より。イラスト・タソカレー
(by anan編集部)
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