「医療保険について考えよう【前編】」お金の教科書Vol.46 #お金の基本
ananweb / 2024年6月26日 22時0分
毎日の暮らしや将来に必要なお金のこと、きちんと把握してますか? 「わからない」ゆえの不安は、知ることで解消できるはず! “お金初心者”の3人と一緒に、お金の勉強を始めましょう。「お金の教科書」、今回のテーマは「医療保険について考えよう【前編】」です。
医療保険について考えよう【前編】
西山美紀(にしやま・みき)さん ファイナンシャルプランナー。お金、生き方などをテーマに取材を重ね、日々にうるおいをもたらしてくれるお金の貯め方、使い方を発信中。All About貯蓄ガイド。著書に『お金の増やし方』(主婦の友社)など。
貯蓄未知子(ちょちく・みちこ/34歳・会社員) 都内の賃貸で一人暮らし中。毎月の貯蓄は財形2万円+口座に残った分のみ。奨学金は完済。家を買うべきか悩み中。
公的なものと民間のもの、医療保険の違いを知ろう。
西山:未知子さんは、民間の医療保険に加入していますか?
未知子:実は入っていなくて…。以前検討したのですが、よくわからなくてそのままになっています。
西山:病気やケガで入院・通院した際にかかる医療費の負担を軽減してくれるのが医療保険。実は国の制度である公的医療保険(健康保険)もそのひとつなんですよ。
未知子:日本は国民皆保険制度だと聞いたことがあります!
西山:そうですね。その公的医療保険とは別に、医療費の負担を個人でさらにカバーしたい人向けにあるのが民間の医療保険なんです。
未知子:なるほど!
西山:なので、絶対に必要なものではありませんが、いざというときの備えという意味では加入を検討する価値あり。まずは自分にとって必要かを明確にしましょう。
未知子:民間の医療保険に入った方がいい人の基準はありますか?
民間の医療保険に加入した方がいい人は?
西山:最大のポイントは、高額な医療費が必要になったとき「何かに困る」可能性があるか否かです。
未知子:詳しく教えてください!
西山:まずは金銭面で困るかどうか。たとえば医療費が高額になった際、貯蓄から支払うことが難しい人や貯蓄を減らしたくない人、あとは自営業者など収入が途絶える可能性がある人は、保険でカバーできると安心ですよね。
未知子:入院や通院が長引いたら、お金の心配が出てくるかも…。
西山:そしてもうひとつ、精神的に困るかどうかも重要。病気やケガで心身ともにダメージを受けているとき、医療費で貯蓄が減るとさらに不安になると思います。そんなときに保険からお金が出れば、気持ちが少し軽くなるかも。
未知子:なるほど!
西山:私自身、以前入院した際に個室の差額ベッド代を保険からのお金でまかないました。大きな支出の不安なく、治療に専念できてありがたかったです。
未知子:それは心強いですね!
西山:もうひとつのポイントは、自分が利用できる制度や手当を把握しておくこと。日本には高額療養費制度があり、保険適用される医療費の1か月あたりの自己負担額には上限があります。また会社員だと、傷病手当金もありますし、会社独自の給付制度がある場合も。
未知子:そうなんですね!
西山:なので、そういった制度や手当と、先に挙げた困りごとのバランスで決めてもいいかも。
未知子:まずは会社の制度を調べて、改めて検討してみます!
医療保険に入るべきなのはどんな人? 押さえておきたいポイントをチェック!
【POINT 1】医療費が必要になったとき“困りごと”があるか
金銭面、精神面で考えたときに不安がある人は、医療保険が支えになってくれることも。
・金銭面での困りごとに
貯蓄で医療費をまかなえるか不安な人や、貯蓄を削りたくない人、自営業者など収入が途絶える可能性がある人など、お金の面での心配を軽くしてくれるのが医療保険。制度や手当でどれだけカバーされるかも判断基準に。
・精神面での困りごとに
病気やケガで心身ともに不安な療養中、貯蓄を取りくずすことが精神的に負担になる場合も、医療保険によって安心感を得ることができる。また給付金を入院時の個室代に充てるなど、さらなる快適さを手に入れることも。
【POINT 2】病気やケガの際に利用できる制度や手当があるか
医療費の払い戻しが受けられる公的制度のほか、勤務先の手当との比較も判断材料に。
・高額療養費制度
保険適用の医療費が、1か月あたりの自己負担上限額を超えた場合に差額の払い戻しを受けられる制度。一般的な年収の人なら、負担額は月9万円ほどに。健康保険に加入していれば誰でも申請できる。
・傷病手当金
会社員の場合、病気やケガの療養で働けなくなった際でも条件を満たすと通算1年半まで、給与の3分の2ほどの手当を受け取れる。また勤務先によっては高額療養費制度の付加給付や、福利厚生制度や互助会などから別途お金が支給される場合も。いずれも自営業者にはない。
医療保険は、備えあれば憂いなし。
ケガや病気の際の不安を軽減してくれるのが、民間の医療保険。自分にとって必要かどうか、この機会にじっくり考えてみて!
次回は、2404号(7月3日発売)掲載予定です!
※『anan』2024年6月26日号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・宮尾仁美
(by anan編集部)
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