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奈緒「知れば知るほど演じるのが苦しかったです」 鳥飼茜による漫画『先生の白い嘘』が映画化

ananweb / 2024年7月1日 22時0分

奈緒「知れば知るほど演じるのが苦しかったです」 鳥飼茜による漫画『先生の白い嘘』が映画化

鳥飼茜さんによる漫画『先生の白い嘘』は、親友の婚約者に関係を強要されながらも抗えない主人公・美鈴を軸に、男女間にある性の不平等を描いた問題作。本作の映画化で美鈴役のオファーを受けた奈緒さん。

割り切って考えられないことが多く、演じるのが苦しかったです。

「もともと私は、作品に込めたテーマについては、ご覧になった方がそれぞれに受け取ってくださればいいと思っているんです。でも今作に関しては、原作者の先生が伝えたいメッセージ…その想いを正しく伝える責任があると思いました。これはどの作品にも言えることですが、この映画で誰かが傷ついたり、辛い思いにならないようにと心から願ってはいて…。この作品を観ることを選んでくれた方々がどういった思いでご覧になるのかをちゃんと想像しながら、ちゃんと覚悟をもってやらないといけないなと思いました」

地味でおとなしい高校教師の美鈴は、自分とは真逆な親友の美奈子(三吉彩花)の婚約者・早藤(風間俊介)を否定しながらも従属してしまう自分への嫌悪ゆえ、感情を殺して生きる複雑なキャラクター。役の理解を深めるため、性被害に関して書かれた多くの書籍にあたったそう。

「世の中には美鈴のような思いをしている人が実際にいる。役を演じるうえで、どうしてもそこと向き合っていかなければいけなかったのですが、割り切った気持ちでは考えられないことが多くて…。知れば知るほど演じるのが苦しかったです」

画面に映る美鈴の空虚な表情のリアルさは彼女の抱えた闇の深さを想像させ、こちらも苦しくなるほど。

「こう見せたいとか、こういう感情で演じようということは正直考えていなくて。ただ、その場で湧き上がる感情みたいなものは、お芝居をしていたらどうしてもあるので、それを大切にしていました。4人の主要人物がいて、それぞれとの関係性が美鈴という人物を理解するうえですごく大きな部分。だから早藤くんや美奈子、そしてそこに現れた新妻くん(猪狩蒼弥)に対して自分の中で芽生えていく気持ち、初めて出合う感情を一個一個ちゃんと掬い取りたいと思っていました。そのうえで画面の中でどう見えてどう受け取られるかは、編集まで手がける監督さんやお客さんが決めてくださることですので、私は意識してないです」

重苦しく辛い場面が多いが、救いもある。ひょんなことから美鈴は、新妻から心を寄せられるようになる。猪狩さん扮する新妻との純粋でまっすぐな恋は、美鈴の、そして観客にとっても癒しのような場面だ。

「まさに新妻くんとの場面は、猪狩くんがまっすぐに現場にいてくださってこそ生まれたものでした。私自身は、まさかあんなに穏やかなものになるとは思ってもいなかったのでとても印象に残っています」

センセーショナルではあるが、希望を与えてくれる作品でもある。

「今は、性別の違いとか個性の違いについて考えたり主張もできる世の中になったと思うんです。この映画が、新しい視点や人との違いを、希望をもって受け入れるヒントになってくれたら嬉しいです」

『先生の白い嘘』 鳥飼茜の同名漫画を実写映画化。ひとりの女性が、自らの性に対する矛盾した感情や男女間の“性の格差”に向き合う姿を描く、人の根底にある醜さと美しさを映し出したヒューマンドラマ。R15。7月5日(金)公開。
©2024「先生の白い嘘」製作委員会 ©鳥飼茜/講談社 配給:松竹ODS事業室/イノベーション推進部

なお 1995年2月10日生まれ、福岡県出身。近作に主演ドラマ『春になったら』、舞台『Medicine メディスン』など。公開中の『陰陽師0』『告白 コンフェッション』のほか、9月には主演映画『傲慢と善良』が控える。

シャツ¥93,500 パンツ¥75,900(共にMSGM/アオイ TEL:03・3239・0341) イヤカフ¥374,000(oeau/Harumi Showroom TEL:03・6433・5395)

※『anan』2024年7月3日号より。写真・内山めぐみ スタイリスト・岡本純子 ヘア&メイク・竹下あゆみ インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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