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不動産会社の経営者が教える! 生活動線から考える「選んではいけないNG間取り」

ananweb / 2024年6月29日 20時40分

不動産会社の経営者が教える! 生活動線から考える「選んではいけないNG間取り」

物件探しの際、知っておくと助かるトピックをご紹介します。『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、選んではいけない物件の特徴を教えてもらいました。今回ご紹介するのは、SNSでも人気が高い「回遊動線のある間取り」について。ぜひ物件探しの際の参考にしてください!

間取り検討時には生活動線をチェック!



――回遊動線とは、どのようなものですか?



石岡 家の中に行き止まりがなく、魚が回遊するようなイメージでスムーズに移動できる動線のこと。玄関からリビング、リビングからキッチン、キッチンから脱衣所、脱衣所から廊下など、自由に行き来できる間取りのことです。

また、ひとつの部屋に2、3か所の出入り口が設置されている場合なども回遊動線と呼びます。

一方で、リビングの入り口が1か所しかない場合、行き止まりになっているキッチンがある場合などは回遊動線がある間取りとはいえません。



――回遊動線のある間取りのメリットを教えてください。



石岡 移動距離をショートカットすることができます。廊下などの通路を通らず、家の中を近道で移動することができて便利です。たとえば朝の時間帯、混雑しがちな洗面脱衣室に2か所の出入り口をつくることで、渋滞を緩和することができます。

また玄関から直接、洗面脱衣室やお風呂にアクセスできるようにしておけば、外遊びで汚れた子どもがリビングを通らずにお風呂に直行することができる。リビングが砂や泥で汚されることもなく、来客中なども気にせずに済みます。

さらにキッチンと洗面脱衣所、ベランダを回遊動線でつなぐと、ストレスなく洗濯物を干すことができて便利ですし、小さいお子さんがいる人は、お子さんの様子を見守りやすいのも魅力です。

通行を妨げないように、壁が少ない間取りとなることから、実際のスペースよりも広く感じられるのもメリットといえそうです。



――それでは、デメリットとは?



石岡 下記にまとめてご紹介しますね。

NG1 収納スペースが少なくなる

回遊動線のある間取りにした場合、通り抜けのよさを重視するため、入り口を複数設けることになります。 そうなると壁面が減り、収納棚やクローゼットなどを設置するスペースが少なくなってしまいます。

大型のクローゼットや、ウォークイン・クローゼット、ウォークスルー・クローゼットなどが備わった物件を選んだり、設計してつくったりしておけばいいのですが、そうでない場合、収納スペースが不足してしまう可能性があります。

収納スペースが少ないと、物が出しっぱなしになり、雑然としたリビングや廊下になってしまいます。

回遊動線ありきで間取りを決めると生活スペースが犠牲になり、暮らしにくくなる恐れがあるので注意が必要です。

NG2 コストが高くなる

回遊動線を取り入れると、通路やドアが増えるため、材料費や施工費など建築コストが高くなる傾向にあります。

回遊動線をつくるためは広いスペースが必要です。延床面積が大きくなると、その分、建築費用も高くなってしまうのです。

また、開放感を意識しすぎると壁面が減ってしまい構造上弱くなってしまう可能性も。安全面を考慮し、耐震構造対策をすればさらに建築費の増加につながります。

回遊動線を検討する際には、費用対効果をしっかり考えましょう。

NG3 家族のプライバシーが確保しづらい

回遊動線を取り入れる場所を考慮しないと、家族のプライバシーが保たれない場面が出てしまいます。

たとえば洗面脱衣所に複数の出入り口をつくると混雑が緩和されて便利になる一方、人が頻繁に出入りすることになり、お風呂でゆっくり過ごせないと不満に感じる家族がいるかもしれません。

また子ども部屋など個室も、プライバシーの観点から回遊動線に組み込むのはおすすめではありません。

お子さんが小さいころは便利ですが、成長するにつれ、落ち着いて過ごすことできない、悪い意味での「オープンな空間」になってしまうからです。

「SNSで流行しているから」「好きなインフルエンサーがおすすめしていたから」と、ファッションやメイクのような感覚で回遊動線をつくると、かえって使い勝手の悪い住まいになる可能性があります。

もし取り入れたいのであれば、適切な場所に本当に必要な回遊動線をつくることを心がけてください。

Information



<教えてくれた人>
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。現在、TV CMを放送中。YouTube「ことり不動産TV CM」でも視聴可能。

取材、文・髙倉ゆこ

©Zaharia Levy/Adobe Stock

取材、文・髙倉ゆこ

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