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“子どもの性被害”を防止する法案が成立。しかし再犯防止には課題も?

ananweb / 2024年7月13日 21時30分

“子どもの性被害”を防止する法案が成立。しかし再犯防止には課題も?

意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「日本版DBS」です。

子どもを守るため、法案成立。再犯防止には課題も。

日本版DBSの創設を盛り込んだ、「こども性暴力防止法」が6月の国会で成立しました。子どもに接する仕事に就く人の性犯罪歴を、事業者がこども家庭庁を通して法務省に照会する制度で、2026年度をめどに施行されます。イギリスのDBS=犯罪歴照会制度を基に作られました。

保育所や学校、学習塾などで数々の子どもの性被害問題が起きていましたが、抜本的な対策は進んでいませんでした。これまで、犯罪履歴を開示することはプライバシーの観点からご法度とされてきました。しかし、性犯罪は再犯率が高いため、加害者を子どものいる職場から遠ざけることで被害を減らそうとしています。本法律では、学校や保育所などに対して、就労希望者の性犯罪歴を調べるよう義務付けます。学習塾や学童保育、スポーツクラブなどは任意とし、ベビーシッターや家庭教師は今後検討されることになっています。性犯罪の対象は不同意性交罪や児童ポルノ禁止法違反のほか、痴漢や盗撮などの条例違反も。拘禁刑終了後20年、執行猶予の場合は判決から10年、罰金刑は10年照会可能になります。

ただ、加害者を排除して終わりでよいのだろうかという論点もあります。性犯罪を繰り返してしまう人は性依存という、意思ではコントロールできない病気の可能性もあるんですね。アメリカでは13歳未満の子どもに対して性加害を犯した受刑者には、仮出所の前に男性ホルモンを抑制する化学的去勢が、テキサス州やカリフォルニア州ほか複数の州で導入されています。海外では、こうした薬物療法や認知行動療法を用いることが再犯防止に効果的といわれています。

日本版DBSの導入は大きな一歩かもしれませんが、その範囲はまだ限定的で検討の余地がありそうです。また、性加害者が働く場所を失い、孤立し、生活が成り立たなくなれば、別の犯罪に手を染める恐れもあります。子どもの性犯罪に限りませんが、犯罪者を排除したり厳罰化するだけでなく、加害者をケアする公的な枠組みを検討するというのも、本当の意味で再犯を防ぐためにはとても大事なことではないかなと思います。

ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。

※『anan』2024年7月17日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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